受動喫煙対策の意思がない金権安倍自民党
2月22日、自民党は受動喫煙防止対策としての健康増進法改定案を大筋了承した。
厚生労働省が昨年3月に公表した原案は、国際基準より緩い規制であったが、喫煙を例外的に認める飲食店を、30平方メートル以下を目安とするバーやスナックなどに限定していた。
しかし、今回大筋了承された改定案は、「客席面積100平方メートル以下」「資本金5000万円以下」などの要件を満たす既存の飲食店について、「喫煙可」と店頭に表示することで喫煙を認めた。
そのほかの飲食店は「原則屋内禁煙」だが、室内への喫煙室設置を認めている。
完全に骨抜きの改定案になった。
東京新聞が紙上で紹介しているように、今回の了承案は国際標準、五輪基準に程遠い。
過去の夏季五輪開催地の受動喫煙対策を見ると、
2008年の北京では、学校、病院は敷地内禁煙、飲食店、ホテルなどは屋内禁煙で喫煙室設置も不可とされた。
2012年のロンドンと2016年のリオデジャネイロででは、学校、病院、飲食店、ホテルなどは屋内禁煙で喫煙室の設置も不可とされた。
これに対して2020年の東京は、学校、病院などは敷地内禁煙となるが、飲食店、ホテルなどは「原則」屋内禁煙だが喫煙室の設置は可とされ、さらに、客席面積100平方メートル以下、資本金5000万円以下などの要件を満たす既存の飲食店について、「喫煙可」と店頭に表示することで喫煙を認めた。
(資料出所)東京新聞
大半の飲食店が、客席面積が100平方メートル以下で、資本金は5000万円以下である。
つまり、受動喫煙対策を、本腰を入れて実行する意思がないことが明らかにされたかたちである。
受動喫煙防止対策に対しては国際社会から強い要請がある。
日本政府が対応を検討したのは、こうした国際的な世論の高まりが背景にあるが、安倍政権はその実現に向けてのリーダーシップをまったく発揮できていない。
非喫煙者や妊娠中の女性、子どもが多く出入りし、多数の外国人観光客が利用する飲食店やホテルでの喫煙規制を徹底することが、国際社会が求める受動喫煙対策の核心である。
ところが、安倍自民党はその要請に正面から応えようとしない。
厚生労働省が当初提示した原案でさえも、国際標準には程遠い不完全なものであった。
しかし、この緩い厚生労働省案でさえも安倍自民党は了承できないのだ。
厚生労働省の原案は規模の小さな店舗では喫煙を認めるものとなっており、このこと自体が対策の不完全さを象徴していたが、それでも喫煙が認められる飲食店は30平方メートルを目安とするバーやスナックに限定されていた。
それが、自民党案では喫煙を認める範囲が飛躍的に拡大されたのだ。
背景は単純明快で、主要なものが二つある。
第一は「たばこ」が財務省利権であり、この財務省利権に与党の利権政治屋が群がっていること。
第二は、受動喫煙対策を嫌う飲食店事業者が与党の利権政治屋の支持者や支持母体であり、利権政治屋が利権を確保するために行動していることである。
「酒」と「たばこ」と「塩」は財務省利権のひとつである。
財務省天下り氷山の一角をよく紹介しているが、それは以下のものである。
日本銀行、日本取引所
日本政策投資銀行、国際協力銀行、日本政策金融公庫
日本たばこ、横浜銀行、西日本シティ銀行
が財務省にとっての最重要天下り機関なのだ。
たばこの有害性は科学的に立証されている。
大麻などが不法薬物として規制されているが、たばこは規制されていない。
その利権を握って離さないのが財務省なのである。
与党の利権政治屋には、たばこ利権がさまざまなかたちで還流している。
また、与党の利権政治屋は飲食店事業者などを支持者として抱えており、ただひたすら、その利権を守るために行動しているというわけだ。
要するに、政治家の見識と良識の欠落が、こうした結果を招いているということだ。
たばこを吸う自由はあるが、受動喫煙したくない人に受動喫煙を強制する権利はない。
たばこの有害性に対する認識が確立され、妊婦やこどもの受動喫煙を防止する必要性が、広く世界で認められているなかで、自分たちの金銭的な利益だけを優先して受動喫煙対策を骨抜きにするのが、現在の安倍自公政権と与党勢力なのである。
まさに「今だけ、金だけ、自分だけ」のスタンスとしか言いようがない。
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