平昌五輪南北融和進展で安倍赤恥外交の孤立
韓国の平昌で開幕した冬季五輪・パラリンピック。
安倍首相が開会式に出席したが、開会式の主役の座は北朝鮮・朝鮮労働党第1副部長の金与正氏に完全に奪われた。
金与正氏は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の実妹で北朝鮮の実質ナンバー2の地位にある者と見られている。
金与正氏は金正恩委員長の特使として韓国の平昌五輪の開会式に合わせて訪韓した。
北朝鮮の金一族直系の人物が韓国に入るのは初めてのことである。
金与正氏は韓国の文在寅大統領と会談し、文在寅大統領の北朝鮮訪問を正式に招請した。
文在寅大統領と金与正氏は2月11日夜に、五輪に合わせて訪韓した北朝鮮の三池淵管弦楽団によるソウルでの公演で、席を隣り合わせにして観覧した。
文大統領は与正氏などの北朝鮮側特使に対話・交流の継続と拡大を求め「心を合わせ、難関を突破しよう」と話した。
五輪開催を契機に南北の対話、融和の端緒が開かれることは意義のあることである。
一連の対話が北朝鮮主導で進展していることを批判する主張があるが、東西の対立によって分断された朝鮮半島の人々が平和の確立と国家の統一を求めていることは間違いない。
現在の基本図式は、融和を進展させようとする北朝鮮および韓国の意向に対して、東アジアでの拠点と利権を死守しようとする米国が、南北の融和を阻止するとともに、東アジアの軍事的緊張を人為的に高めようとしているというものである。
日本は東アジアの一国として、この地域の平和と安定を第一に位置付け、対話による問題の平和解決を目指すべき立場にあるが、日本独自の外交路線を確立できずに、単純に米国に隷従する姿勢を示している。
11月9日に実施された日韓首脳会談で、安倍首相は平昌冬季五輪・パラリンピック期間中は延期となった米韓合同軍事演習の五輪期間後の対応について、
「演習を(さらに)延期する段階ではない。予定通り実施することが重要だ」
と主張した。これに対して、韓国の文在寅大統領は、
「(安倍)首相の話は、北朝鮮の非核化で進展があるまで演習を延期してはならない、という意味だと理解する」としたうえで、
「これはわれわれの主権、内政に関連した問題だ。首相が直接取り上げるのは困る」
と述べた。
安倍首相は文在寅大統領に「内政干渉をするな」と釘を刺された。
韓国が軍事演習をするのかどうかは韓国の問題であって、韓国が決めることだ。
文大統領の「内政干渉である」との発言は毅然としたものであり、正当なものである。
このような内政干渉の発言を平然とする安倍首相の姿勢は「恥ずかしい外交」と言わざるを得ない。
今後の進展がどうなるのか未知の部分は多いが、南北が対話を進展させて、融和を深めることは建設的なことである。
安倍首相は北朝鮮の核武装を問題視しているが、第2次大戦後の核保有のあり方についての考察が必要不可欠なのであり、北朝鮮がなぜ核武装に突き進むのかの原因に踏み込んで考察しなければ、本当の問題解決にはなり得ない。
戦後の核保有体制は、戦勝5大国が核兵器を独占保有するというものである。
これが「核拡散防止条約=NPT」の体制である。
これに対して、戦勝5大国も含めて、すべての核兵器保有を禁止するとの立場をかたちにしたものが「核兵器禁止条約」の体制である。
日本は国連が決議して制定した「核兵器禁止条約」に参加せず、背を向けている。
重大な問題は、NPTの体制が、戦勝5大国だけが核兵器を保有するという体制を敷きながら、現実には、5大国以外に核保有国が存在することである。
インド、パキスタン、イスラエルが核保有国であると見られている。
日本が北朝鮮による核保有を許さないとの主張を示しているときに、同時に、インド、パキスタン、イスラエルの核保有を非難し、「圧力」をかけているなら、一つの筋は通っているということになる。
ところが、安倍政権はインドの核保有を非難しているのか。
イスラエルの核保有疑惑を追及し、核保有を非難しているのか。
この点が何よりも重要な部分なのだ。
北朝鮮の核武装を排除するべきと考えるのは順当だが、北朝鮮がなぜ核武装に突き進むのか、その理由を考察しなければ、現実的な平和解決の道は閉ざされてしまうことになる。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
のご購読もよろしくお願いいたします。
上記メルマガを初めてご購読される場合、
2ヶ月以上継続して購読されますと、最初の一ヶ月分が無料になりますので、ぜひこの機会にメルマガのご購読もご検討賜りますようお願い申し上げます。
http://foomii.com/files/information/readfree.html
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第1967号「他国にまで軍事的緊張拡大強要の恥ずかしい外交」
でご購読下さい。
『アベノリスク』(講談社)
の動画配信はこちら
著書と合わせてせて是非ご高覧下さい。
2011年10月1日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:540円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。
創刊月2011年10-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。
あなたの資産が倍になる 金融動乱に打ち勝つ「常勝投資術」~(TRI REPORT CY2018)
価格:1,620円 通常配送無料 |
「国富」喪失 (詩想社新書)
価格:994円 通常配送無料 |
反グローバリズム旋風で世界はこうなる~日経平均2万3000円、NYダウ2万ドル時代へ! ~(TRI REPORT CY2017)
価格:1,620円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
泥沼ニッポンの再生
価格:1,512円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本経済復活の条件 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意- (TRI REPORT CY2016)
価格:1,728円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
米国が隠す日本の真実~戦後日本の知られざる暗部を明かす
価格:1,728円 通常配送無料 出版社:星雲社 |
安保法制の落とし穴
価格:1,512円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本の奈落 (TRI REPORT CY2015)
価格:1,728円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本の真実 安倍政権に危うさを感じる人のための十一章
価格:1,620円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
日本経済撃墜 -恐怖の政策逆噴射- 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
20人の識者がみた「小沢事件」の真実―捜査権力とメディアの共犯関係を問う! 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:日本文芸社 |
オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下 価格:2,100円 通常配送無料 出版社:早川書房 |
アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪 価格:1,575円 通常配送無料 出版社:講談社 |
鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ) 価格:1,470円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く 価格:1,785円 通常配送無料 |
消費税増税 「乱」は終わらない 価格:1,470円 通常配送無料 |
国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る 価格:1,470円 通常配送無料 |
消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す! 価格:1,000円 通常配送無料 |
日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の独立 価格:1,800円 通常配送無料 |
売国者たちの末路 価格:1,680円 通常配送無料 |
知られざる真実―勾留地にて― 価格:1,890円 通常配送無料 |
消費税のカラクリ 価格:756円 通常配送無料 出版社:講談社 |
戦後史の正体 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 価格:798円 通常配送無料 |
日米同盟の正体~迷走する安全保障 価格:798円 通常配送無料 |
検察崩壊 失われた正義 価格:1,365円 通常配送無料 |
検察の罠 価格:1,575円 通常配送無料 |
「主権者」は誰か――原発事故から考える 価格:525円 通常配送無料 |
原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体 価格:1,680円 通常配送無料 |
« 日欧EPA影響試算は試算ではなく根拠なき妄想 | トップページ | 下町瑞穂加計に森友腐敗のふるさとトックリ県 »
「安倍暴政」カテゴリの記事
- あまりにも見苦しい安倍晋三氏の弁明(2020.12.27)
- 安倍強制起訴議員辞職劇場予告編(2020.12.25)
- 安倍秘書逮捕強制捜査公判請求不可欠(2020.12.05)
- 安倍晋三氏辞職勧告決議は必定(2020.11.26)
- 1025衆院選突撃学芸会政治のあざとさ(2020.09.05)