売国まっしぐらの安倍暴政日欧EPA&TPP11
一昨日の2月7日、「TPPプラスを許さない!全国共同行動」が主催する
「TPPプラス交渉をただす!院内集会」
が参議院議員会館で開催された。
野党国会議員が6名参加し、会場に入りきれない市民が参集し、密度の濃い集会が開催された。
今回の集会は、TPP11ならびに日欧EPA妥結を受けて、「TPPプラスを許さない!全国共同行動」が事前に質問事項を政府に投げかけ、政府の担当部局の職員が回答を示すという形態で実施された。
政府からは内閣官房、外務省、農水省から13名の職員が出席した。
集会は14時から17時まで開かれ、14時から15時までは、政府に投げかけた質問事項を参加者に説明することと国会議員からの発言時間に充当された。
15時から17時の2時間を活用して、政府からの回答と、その回答に対する再質問および再回答が実施された。
政府側の説明で冒頭、内閣官房TPP等政府対策本部からTPP11が3月8日にチリにおいて署名式を行うことで各国が準備を開始することで合意したことが報告された。
続いて外務省から日欧EPAの交渉妥結について報告があった。
その上で、内閣官房TPP等政府対策本部から日欧EPA等の経済効果分析について説明があり、さらに、農水省からTPP11および日欧EPAによる日本の農林水産物生産額への影響試算についての説明が行われた。
全国共同行動が用意した質問事項は、
1.TPP11の合意に関する懸念事項
2.日欧EPAにおける「食の安全」に関する懸念事項
3.政府の「影響試算」と「政策大綱」に関する疑問点
4.日欧FPAにおける「国有企業」「公共調達」等に関する疑問点
の4つのカテゴリーに分類して提示された。
これらの4つのカテゴリーのうち、第4のカテゴリーについては説明時間が無くなり、次回への積み残しとなった。
第1の「TPP11の合意に関する懸念事項」として、TPP11の新協定第6条の問題点が取り上げられた。
協定6条とは「TPP原協定の発効が見込まれる場合又は見込まれない場合に、いずれかの締約国の要請があった時は、TPP11協定の改正等を考慮するため、この協定の見直しを行う」というものである。
「TPPに反対する人々の運動」世話人の近藤康男氏が指摘したように、当初のTPP協定の決定を維持してしまうと、米国が離脱することによって日本への参加国および米国から輸入が増大し、日本の農林水産業が受ける影響がより甚大になる懸念がある。
どういうことか。
ひとつの例として牛肉の輸入を考えてみる。
TPPでは輸入急増時のセーフガード発動の要件を定めた。
TPPでは参加国からの輸入量が発効時点では年間59万トン、16年目には73.8万トンを超えるとセーフガードを発効できるとしている。
たとえば発効時にオーストラリアと米国からそれぞれ30万トンの輸入が行われたとすると、合計輸入量が60万トンとなり、セーフガードを発効できる。
しかし、TPPから米国が離脱したため、60万トンというセーフガードの発効条件は意味をなさなくなる。
オーストラリアから50万トンの輸入が行われ、これとは別にTPPの枠外で米国から30万トンの輸入が行われれば、輸入量は80万トンになるのにセーフガードを発効できなくなる。
当然のことながら、日本はこうした取り決めの「凍結」を求めなければならなかった。
しかし、日本は凍結を求めず、TPPの決定事項をそのまま受け入れた。
これに対して農林水産事業者から懸念が表明され、それが協定大6条に反映されたのだが、この条文が意味を持たないことは明白である。
協定第6条の表現は分かりにくいが、要するに、米国がTPPに入らない場合に「TPP11協定の改正等を考慮するため、この協定の見直しを行う」という「気休めの文言」が示されただけに過ぎない。
日本に対する輸出を拡大しようとする参加国が、日本が譲歩した水準を緩和する協定見直しに合意するわけがないのである。
全国共同行動を指揮している山田正彦元農林水産大臣が、政府の木で鼻をくくったような説明に対して、厳しい批判を示したのは当然のことである。
また、内閣官房の出席者はISD条項について、日本企業が参加国に投資を行う際に投資リスクを軽減する意味でISD条項が有効であるからこれを肯定するとの説明を示した。
しかし、2012年の総選挙に際して、安倍自民党は「国の主権を損なうようなISD条項には合意しない」ことを公約に明記した。
この点について私がこの自民党公約と政府の姿勢に矛盾があることを指摘したが、内閣官房の担当者は自民党公約を認識していなかった。
ISD条項を用いて外国企業が日本を提訴する場合、最終的な裁定権限が外部の裁定機関に委ねられることは主権喪失そのものであり、これがISD条項の根本的な問題である。
この点についての認識すらない者がこれらの協定の実務を担っていることは悲劇というようよりも喜劇に近い。
そして、政府が提示する影響試算は、その杜撰さを論評するのも憚られるような代物なのである。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
のご購読もよろしくお願いいたします。
上記メルマガを初めてご購読される場合、
2ヶ月以上継続して購読されますと、最初の一ヶ月分が無料になりますので、ぜひこの機会にメルマガのご購読もご検討賜りますようお願い申し上げます。
http://foomii.com/files/information/readfree.html
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第1965号「究極の売国協定TPP&日欧EPA驚愕の断面」
でご購読下さい。
『アベノリスク』(講談社)
の動画配信はこちら
著書と合わせてせて是非ご高覧下さい。
2011年10月1日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:540円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。
創刊月2011年10-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。
![]() |
あなたの資産が倍になる 金融動乱に打ち勝つ「常勝投資術」~(TRI REPORT CY2018)
価格:1,620円 通常配送無料 |
|
「国富」喪失 (詩想社新書) 価格:994円 通常配送無料 |
|
反グローバリズム旋風で世界はこうなる~日経平均2万3000円、NYダウ2万ドル時代へ! ~(TRI REPORT CY2017) 価格:1,620円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
|
泥沼ニッポンの再生 価格:1,512円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
|
日本経済復活の条件 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意- (TRI REPORT CY2016) 価格:1,728円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
|
米国が隠す日本の真実~戦後日本の知られざる暗部を明かす 価格:1,728円 通常配送無料 出版社:星雲社 |
|
安保法制の落とし穴 価格:1,512円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本の奈落 (TRI REPORT CY2015) 価格:1,728円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本の真実 安倍政権に危うさを感じる人のための十一章 価格:1,620円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
日本経済撃墜 -恐怖の政策逆噴射- 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
20人の識者がみた「小沢事件」の真実―捜査権力とメディアの共犯関係を問う! 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:日本文芸社 |
オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下 価格:2,100円 通常配送無料 出版社:早川書房 |
アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪 価格:1,575円 通常配送無料 出版社:講談社 |
鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ) 価格:1,470円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く 価格:1,785円 通常配送無料 |
消費税増税 「乱」は終わらない 価格:1,470円 通常配送無料 |
国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る 価格:1,470円 通常配送無料 |
![]() |
消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す! 価格:1,000円 通常配送無料 |
日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の独立 価格:1,800円 通常配送無料 |
売国者たちの末路 価格:1,680円 通常配送無料 |
知られざる真実―勾留地にて― 価格:1,890円 通常配送無料 |
消費税のカラクリ 価格:756円 通常配送無料 出版社:講談社 |
戦後史の正体 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 価格:798円 通常配送無料 |
日米同盟の正体~迷走する安全保障 価格:798円 通常配送無料 |
検察崩壊 失われた正義 価格:1,365円 通常配送無料 |
検察の罠 価格:1,575円 通常配送無料 |
「主権者」は誰か――原発事故から考える 価格:525円 通常配送無料 |
原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体 価格:1,680円 通常配送無料 |
« 安倍昭恵氏証人喚問拒絶なら安倍首相は辞任せよ | トップページ | 日欧EPA影響試算は試算ではなく根拠なき妄想 »
「TPP」カテゴリの記事
- 安倍政治が売国政治である決定的な証拠(2018.08.18)
- 『タネはどうなる?!』種子法廃止と種苗法運用改変(2018.07.20)
- 日欧EPA影響試算は試算ではなく根拠なき妄想(2018.02.10)
- 売国まっしぐらの安倍暴政日欧EPA&TPP11(2018.02.09)
- TPP推進安倍政権支援は馬鹿主権者だけだ(2017.11.12)
« 安倍昭恵氏証人喚問拒絶なら安倍首相は辞任せよ | トップページ | 日欧EPA影響試算は試算ではなく根拠なき妄想 »