契約内容改ざん安倍政権年金詐欺にご用心
年金の支給開始年齢を70歳超に引き上げることを政府が検討していることが報じられている。
受給者の選択によるとのことだが、主権者国民は注意を怠れない。
政府はなしくずしで社会保障制度を主権者国民にとって不利な方向に改変をし続けてきているからだ。
年金の支給開始年齢引き上げを選択した場合に、給付額を上乗せするというが、上乗せの率が高くなければ受給者には不利になる。
平均寿命、平均余命が短期的に急増しているわけではないから、年金支給開始年齢の引き上げは、年金の総受取額の減少につながる可能性が高い。
また、当初は選択制で、選択した者だけが支給開始年齢を引き上げることになるだろうが、政府はいずれ、例外なく年金支給開始年齢の引き上げに踏み切る考えだろう。
要するに、年金支給総額の抑制を狙っているのだと考えられる。
そもそも、年金制度は民事上の一種の契約である。
契約である以上は、契約内容が明確でなければならず、同時に契約内容の変更には年金契約者と国の双方の合意が必要である。
政府の資金繰りが苦しいからといって、勝手に給付内容を切り下げることは許されない。
そもそも日本の年金制度では、年金加入者が拠出した年金保険料が年金加入者に還元されない仕組みになっている。
100の資金を投入したのに、100の資金が給付されない制度になっているのである。
年金給付額の支払い年金保険料に対する比率を「内部収益率」と呼ぶが、この「内部収益率」が1を超えていなければ、年金に加入する意味はない。
すでに高齢になっている国民の場合には、この内部収益率が1を超えているが、若年層になるにしたがって、内部収益率は低下し、現在の現役世代の多くで内部収益率が1を下回っている。
この場合、年金制度に加入せずに、年金保険料相当額を自分で積み立てた方が有利ということになる。
年金制度というものは、内部収益率が1を下回れば、年金制度からの離脱者が増加し、制度が自己崩壊する宿命を有しているとされる。
年金に加入するという意欲を失わせる制度では、年金加入者が減少して制度が崩壊してしまうのである。
こうした問題を踏まえて、年金制度の抜本的な改革が検討されたが、安倍自公政権は、その抜本改革の路線を放り出してしまった。
抜本的な年金制度改革とは、積み立て方式への移行である。
自分が積み立てた年金保険料を老後に受領する。
この方式であれば、加入者が損失を蒙ることがない。
年金保険料の積み立て状況を各個人が確認できるようにして、その積み立てた資金を老後に年金として受領する方式に移行させることが真剣に検討された。
しかし、この場合、これまでの年金給付で、年金積立金額以上の給付を行ってきた世代が存在するために、積み立て不足が発生し、その不足資金を工面しなければならなくなる。
これが財政負担になるとの理由で、合理的なシステムへの移行が放棄されたのだ。
結局、安倍政権は国民を騙しながら、国民から資金を巻き上げて、巻き上げた資金を老後に給付しない方向に制度改悪を進めている。
「一億総活躍社会」などの言葉が用いられてきたが、この言葉の真意は「一億総強制労働」である。
生産年齢にある国民は全員働けというのが「一億総活躍」の意味である。
生産年齢を超えた国民には、できるだけ速やかに逝去していただきたいというのが政府の願いであるのだと推察される。
だから、年金給付の水準をできるだけ切り下げるとともに、公的保険による国民医療の質を大幅に切り下げる制度変更が画策されている。
TPPへの参加は医療における自由化を一気に推進するものになると予想されている。
公的医療保険でカバーされない医療を拡大し、日本の医療を公的保険医療と民間保険医療の二本立てに移行させることが目論まれている。
公的医療保険にしか加入できない普通の国民は、十分な医療を受けられなくなるのである。
政府としては財政負担がかさむ高齢者には、できるだけ早くに逝去してもらいたいということなのだろう。
日本の人口は1億2700万人なのに安倍政権が「一億総活躍」と言っているのは、高齢者がこの中に含まれていないことを意味するのだと考えられる。
そして、働くことのできる国民には全員労働に従事してもらうが、その労働とは劣悪な低賃金労働である。
生産年齢人口は15歳以上65歳未満とされているが、安倍政権は生産年齢を超えた国民にも、70歳までは働けと言っていることになる。
国民の幸福を願い、国民の幸福のために行動する政府ではなく、国民を単なる税金の素としか捉えず、税金を納めなくなった高齢者に対して冷酷に対応する政府。
これが安倍政権の実相である。
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