NHK受信契約強制の前にNHKスリム化必須
テレビを購入してもNHK放送を視聴する意思がなく、実際にNHK放送をまったく視聴しない者に対して、NHKとの放送受信契約締結と受信料支払いを強制できるかについて、日本の腐敗した最高裁判所はこれを認める判決を示した。日本国憲法は個人の尊厳、自由権、財産権を保障しており、「契約の自由」は当然のことながら、これに含まれる。NHKは放送視聴をただ乗りされるのが嫌なら、放送電波にスクランブルをかければよい。受信契約を締結し、受信料を支払っている者だけが放送を視聴できるようにすれば、ただ乗りを回避できる。ところが、最高裁は契約の自由を否定した。日本の裁判所は「法の番人」ではなく「政治権力の番人」である。これ以上の堕落はない。
最高裁はNHKについて、「公共放送事業者としてNHKを設立し、民主的かつ多元的な基盤に基づきつつ自律的に運営される事業体として性格付け、これに公共の福祉のための放送を行わせることとした」とするが、現実のNHKは最高裁が述べているNHKとは異質のものである。NHKは「民主的かつ多元的な基盤に基づきつつ自律的に運営される事業体」ではない。安倍政権は放送法の規定を悪用してNHKに関する人事権を濫用し、NHKを私物化している。この結果として、NHKは政治権力に支配されてしまっており、「公共の福祉のための放送」を行っていない。NHKの政治的な偏向は安倍政権の下で一段と顕著になっており、その放送内容は放送法の規定にも違反するものである。
安倍政権が権力を濫用するとともに、権力を集中させていることから、日本の暗黒化が加速している。警察・検察・裁判所の腐敗と堕落も著しく、日本の刑事司法は「真っ暗闇」の状況に陥っている。
大みそかに放送されるNHKの紅白歌合戦には巨大な資金が注ぎ込まれている。それにもかかわらず、視聴率は40%にも届かない。誰が何のために忖度しているのか分からないが、50%超えもあり得るとの話が流布され、実際には40%にも届かなかった結果が明らかになると、民放で視聴率を稼いだ番組が登場したためであるとの解説や、視聴率は低かったが内容は良かった、などのコメントが流布されている。全体に「やらせ」の気配が濃厚に漂うが、最高裁判決を盾にNHKが放送受信契約締結や受信料支払いの強制に動くなら、その前に必ず実施しなければならないことが数多く浮上するだろう。
「契約の自由」を剥奪して、NHKによる財産権侵害を容認するなら、その前に、NHKの徹底的なスリム化が必要である。NHK職員の平均給与が1185万円、福利厚生を含めた平均年収は1780万円とも伝えられている。中間所得者層が破壊されて、圧倒的多数の労働者が低所得者層に陥れられているときに、契約の自由を侵害し、財産権を侵害するNHKの職員に対して、この厚遇は容認されないだろう。
そもそも、NHKが芸能番組やお笑い番組やドラマ制作やワイドショー的な番組を制作する必要性がない。膨大な番組制作費を国民から強制徴収する合理的根拠が存在しない。NHK予算やNHK人事に対する国会の承認が必要であるという一点だけが、NHKの肥大化、放漫運営の根拠とされるが、これは民意が正確に国会議席数に反映されないという現在のいびつな情勢がもたらしている、いわばあだ花のようなものだ。日本の主権者は早急に民意と国会議席の深刻な「ねじれ」を解消しなければならない。
NHKの人員を大幅に圧縮するとともに、平均年収を大幅に引き下げることが必要である。また、NHKの諸施設のスリム化も当然求められる。NHKは放送センターの改築計画を有しているが、国民の契約の自由と財産権を侵害する存在であることを踏まえて、放送センター新設について抜本的な見直しを行うべきである。
NHKの最大の問題は政治的偏向にある。NHKの最高意思決定機関である経営委員会の委員を内閣総理大臣が恣意的に選び、この経営委員会がNHKのすべてを支配すれば、NHKが政治権力の僕になることを防ぎようがない。NHKのすべての意思決定に政治権力が関与できない体制に移行させるべきである。そのためには放送法の抜本改正が必要になる。
突き詰めて考えると、すべての問題は、選挙を通じて安倍政権を生み出してしまっているところに根源がある。この意味で、日本の主権者の選択と行動に問題があることを認識する必要があるのだが、すべての問題がさらに悪化して、取り返しのつかない状態に到達する前に、事態の改善を図る必要がある。問題が山積しており、どこから手を付けてよいのか混乱するとの声が聞こえるのは無理もないが、全体を冷静に見つめるなら、やはり、根源にある政治権力の刷新こそ、最重要かつ最優先の課題であることが分かる。政権刷新にすべての力を集中させてゆくことが求められる。
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