数合わせでなく政策・政見基軸に離合集散すべき
安倍政権に逆風が吹き荒れたのに昨年10月の総選挙では安倍政権与党に3分の2議席維持を許してしまった。
野党の責任は重い。
野党陣営が安倍政権退場を実現できなかった理由は、安倍政権与党に政策路線で対峙して大同団結することができなかったからである。
選挙直前に希望の党が創設された。
この党が安倍政権打倒にすべてを集約し、呉越同舟ですべての勢力の糾合を図っていたなら安倍政権打倒は実現したと考えられる。
その方向に事態が進む気配も存在した。
しかし、希望の党の小池百合子代表と民進党の前原誠司代表は、この方向で進む話し合いをしてはいなかった。
安倍政権を終焉させるための大同団結を模索したのではなく、民進党を分裂させて第二自公=自公補完勢力を創設することが目指されていたのである。
このことは、小池百合子氏が民進党の全員を合流させることについて、その考えが、
「さらさらない」
と明言し、さらに安保法制および憲法改定で考えが異なる者を
「排除します」
と明言したことで明らかになった。
「安倍政治を終焉させる」という一点ですべての勢力を結集するということであれば、日本政治を大きく変革できたはずだが、そうではなく、新たに自公補完勢力を創設するということであれば、反自公陣営の大同団結など実現しようがなかったのである。
この意味で、民進党の前原誠司氏の行動は万死に値する。
民進党の代表選で明らかになった党内の路線対立を踏まえて、党を分離・分割するという話であれば、本来は代表選の段階で断行するべきものであった。
「全員合流」を匂わせながら、実は裏側で小池百合子氏と、安保法制および憲法改定に賛同する者だけが合流するとの合意をしていたとすれば、完全な裏切り行為、詐欺行為である。
前原誠司氏が政治生命を完全に失うことになるのは当然の成り行きである。
安倍政権を退場させなければならない重要な選挙に際して、野党は自ら野党分断の道を突き進んだ。
その結果として、主権者の4分の1しか投票していない自公与党勢力に国会の3分の2以上の議席を付与することになったのである。
メディアは「安倍一強」というが、「安倍一強」は議席配分についてのみあてはまる現象である。
安倍自公に投票した者は主権者全体の4分の1しかいないのである。
安倍自公以外に投票した主権者の方が多いのだ。
主権者の半分は選挙に行かなかった。
選挙に行った半分の主権者の半分弱が自公に投票し、半分強が非自公に投票したが、反自公票が割れて自公が3分の2議席を確保したまでなのである。
ただし、紆余曲折の末に民進党の分離・分割が進展したことは、唯一の収穫だった。
自公政治を支持する勢力と自公政治に対峙する勢力が同じ政党に同居していたのでは、主権者はこの政党を支持しようがない。
そのいびつな状況にようやく変化が生じた。
しかし、分離・分割は完遂されておらず、旧民進党勢力はもたもたと「数合わせの遊戯」にいそしんでいる。
希望と民進党の統一会派創設がつぶれた。
すると、今度は民進党と立憲民主党の統一会派創設が論じられている。
欠落していることは、政策を軸に離合集散を検討するという基本姿勢だ。
そもそも政党とは、政策と政見を共有する者の集まりであるはずだ。
誰が好きとか嫌いとか、そのような低次元で考えてもらっては困るのだ。
「永田町の数合わせ」をやめて、基本政策、基本理念を基軸に、旧民進党の完全分離・分割を実現させるべきだ。
その際、政党交付金残高は議員数に応じて比例按分するべきだ。
この資金は主権者国民が拠出しているものだ。主権者国民に正当に説明できる資金配分を行うべきである。
主権者国民が求めているのは、安倍政治に対峙する勢力が大同団結することだ。
つまり、立憲民主党を基軸に、安倍政治に対峙する勢力が結集することが何よりも重要である。
そして、その上で共産党を含めて野党共闘の体制を強固に構築するべきである。
この方向に事態が進むように、主権者がプレッシャーをかけなければならない。
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