森友疑惑本丸捜査を完全放棄する腐敗検察
森友学園に対する国有地の不正払下げ疑惑が国会で審議されたが、安倍政権は事実解明をせずに逃げ切る構えである。
国有財産が不正に低い価格で払い下げられることは、国に対して損失を与えることを意味する。
財政法は国有財産を適正な対価なくして処分することを禁止している。
この財政法に違反する行為である。
財務省、あるいは近畿財務局の職員が、国有財産を不正に低い価格で払い下げたのなら、刑法の「背任罪」が成立する。
すでに、刑事事件として告発状が提出され、検察がこれを受理している。
当然のことながら、適正な捜査が行われなければならないが、検察は全く動いていない。
その一方で、国有財産の不正払下げに関する重要な情報を提供されてきた森友学園の籠池泰典前理事長夫妻を補助金を不正に受領した疑いで、「詐欺罪」で起訴し、籠池氏夫妻を長期勾留している。
現段階で籠池氏夫妻の犯罪は確定していない。
確定していない被告に対しては、無罪を推定しなければならないし、当然のことながら、基本的人権が尊重されなければならない。
刑事訴訟法は第1条に次の条文を置いている。
第一条 この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。
刑事事件に対する捜査、訴訟手続きの基本は、
「公共の福祉の維持」
だけでなく、
「個人の基本的人権の保障とを全うしつつ」
「事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現すること」
である。
日本の警察・検察行政においては、
「個人の基本的人権の保障」
が著しく軽視、あるいは無視されている。
これが日本の警察・検察・裁判所制度の三大欠陥のひとつである。
籠池氏夫妻による補助金受領に問題があったとしても、その摘発は、基本的に補助金適正化法によるべきであり、科される罪刑は罰金刑が妥当であると法律専門家も述べている。
それにもかかわらず、検察は、森友事案の核心である国有地不正払い下げ疑惑については、必要な操作も証拠の保全もまったく行わずに、重大な不正を告発した籠池氏夫妻を別件で逮捕、起訴し、不当な長期勾留を続けている。
しかも、籠池氏に対しては接見交通権も剥奪するという、人権無視の対応を示している。
10月22日に実施された衆議院総選挙に際して、籠池氏夫妻がさまざまな情報発信することが、安倍政権にとっての大きな脅威であると判断されたのであろう。
また、国会での予算委員会審議に際して、籠池氏夫妻が、さまざまな事実関係を明らかにすることを大きな脅威であると判断したのだろう。
そのために、人権を蹂躙することは、国家権力の濫用以外の何者でもない。
森友学園への国有地払い下げの価格決定に関して、
財務省の前理財局長である佐川宣寿氏は、本年3月15日の衆議院財務金融委員会において、
「そういう価格につきまして、こちらから提示したことも
先方からいくらで買いたいといった希望があったこともございません」
と答弁している。
しかし、その後に存在が明らかになった、近畿財務局と籠池泰典氏の折衝を録音した音声データのなかで、
籠池氏が
「「1億30000万円が云々」というものよりも、ぐーんと下げていかなあかんよ」
と発言し、これに対して、近畿財務局の池田靖国有財産統括官が、
「理事長がおっしゃる0円に近い金額まで、私はできるだけ努力する作業をいまやっています」
と答えている。
「1億3000万円」は、国が森友学園に対して支払う土壌改良費の金額で、払い下げ価格がこれを下回ると、国の収入が差し引きマイナスになってしまうから、1億3000万円以下の金額にはならないと財務省側が説明していたことから出る表現である。
籠池氏側は、払い下げ価格が「実質ゼロ」になる1億3000万円に近づけることを求めたのだと考えられる。
このことについて、近畿財務局の池田靖国有財産統括官が、
「理事長がおっしゃる0円に近い金額まで、私はできるだけ努力する作業をいまやっています」
と述べた音声データの存在が明らかになった以上、
「そういう価格につきまして、こちらから提示したことも。先方からいくらで買いたいといった希望があったこともございません」
という佐川宣寿前理財局長の国会答弁が虚偽答弁であったことは明白である。
このような、紛れもない事実の認定さえ国会ができない、あるいは、政府がごまかすに至っては、もはや議会制民主主義は崩壊していると言わざるを得ない。
日馬富士騒動に関心が引き付けられているなかで、このような重大問題が闇に葬られることを、日本の主権者は絶対に許してはならないのである。
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