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2017年11月 9日 (木)

TPP訴訟が示す忖度裁判所の絶望的堕落

11月8日午後2時半から、東京高等裁判所前で、TPP交渉差止・違憲訴訟の控訴審第1回口頭弁論期日があった。


原告は高裁での審理を求めて証人申請をした。


杉原則彦裁判長はいったん必要なしとしたが原告代理人から承認申請の理由を説明されると被告に意見を求めた。


被告は1月までに反論を用意することとした。


裁判官は合議するとのべて休廷にし、開廷した直後に結審を宣言した。


ここで原告側代理人が裁判官の忌避を求め、閉廷した。


高裁は、はじめから審理終結を決めていた。


この日の法廷は判決期日を決めるためだけに開かれたと言ってもよい。


裁判所に実質審理を行う考えは毛頭ないのだ。


TPPは日本の司法主権を奪うISD条項を含む協定である。


司法主権が否定され、権限を失うことになるのは日本の裁判所である。


本来は日本の裁判所が原告となって、TPPの違憲性を問う裁判を起こしてもよい、そのような事案である。


ところが、東京高裁は問題に正面から向き合おうともしない。


自分自身の体験も含めて、私がこれまで見てきた裁判所で、法と良心に従う判断を示してきた裁判所は存在しない。


裁判所は「法の番人」ではなく、「政治権力=行政権力の番人」になっている。


裁判所に期待できるのは、例外的に存在する、下級裁判所の良心を持つ裁判官が担当する裁判だけである。

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日本の裁判所には法も正義も存在しないことが圧倒的に多い。


刑事司法の鉄則である


無罪推定原則


適法手続き


罪刑法定主義


冤罪の排除


などでさえ、完全に踏みにじられている。


このような現実を踏まえたときに、例外的に存在する善良な裁判官が担当することに期待して、訴訟を提起する闘争のあり方について、再考する必要があると考える。


国家権力によって不当な弾圧、不当な権利侵害が行われた場合に、これに抵抗することは当然必要である。


不当な冤罪であっても、刑事責任を追及されるなら、裁判で闘うことは、基本的には必要であるだろう。


しかし、裁判そのものが適正に行われないのであれば、その裁判を受けることによって、不当な判断が示される場合、その不当な判断について、裁判を受けることが一種の権威付けをしてしまうことになることも懸念するべきである。


つまり、正当性の主張を行うときに、偏向した裁判を活用することの是非を考察する必要があると思われるのだ。

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日本の裁判所は「法の番人」ではなく、「政治権力の番人」、「行政権力の番人」に成り下がってしまっている。


最大の理由は、裁判官の人事権が行政権力によって握られていることにある。


最高裁長官および判事の人事権は内閣にある。


下級裁判所の人事権は最高裁事務総局にある。


したがって、裁判官は行政権力=内閣の顔色を伺って仕事をしているのである。


法と正義、そして良心に従って裁判官の職務を行い、行政権力の意向に反する判断を示せば、人事上の不利益を蒙る。


裁判官のなかに、このことを覚悟の上で、法と正義、良心に従って判断を示す者がいるが、それは例外的な存在である。


圧倒的多数の裁判官は行政権力=政治権力の顔色を伺って判断を示している。


したがって、政治の不正、行政の誤り、あるいは、人物破壊工作による冤罪捏造などに対する「闘争」の方法として、「訴訟を提起する」、あるいは「裁判を受ける」という手法が適正であるのかどうか、検討する必要があると考える。


究極の解決策は、政治権力の刷新を図ることである。


政治権力を刷新して、裁判所のあり方も是正する。


これが必要だ。


しかし、政治権力を刷新できるまでは、問題が残存する。


その解決策として、公的な裁判所に代わる、民間の裁判所を創設することを検討するべきである。


「影の内閣」ならぬ「影の裁判所」である。


在野の叡智を結集して、「法と正義」に基づく法的判断を下すのだ。


公的な裁判所が不当な判断を示した際、この在野の「影の裁判所」が適正な判断を示せば、正当性の根拠を得ることができる。


また、冤罪によって名誉を毀損された場合も、この「影の裁判所」によって一定の名誉回復を実現できる。


「裁判所の判断は絶対でない」ことを誰にでも分かるかたちで示すことが重要であると考える。


腐りきった裁判所であるから、裁判所の存在そのものを「相対化」することが必要なのだ。

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