白鵬が日馬富士擁護し貴ノ岩を切り捨てる理由
横綱日馬富士による傷害事件の捜査がこれから本格化する。
情報が錯綜しているが、大きな力で情報操作、情報誘導が行われている可能性についての認識が必要である。
大きな力とは、相撲協会・NHK・捜査当局の力のことである。
問題を矮小化して、できるだけ小さな問題で処理しようとする力が働いていると考えられる。
事件が表面化した以降に、大半のメディアを通じて強調されている情報は次のものだ。
1.事案の発生は10月25日夜で、被害届は10月29日に鳥取県警に提出されている。
2.11月2日に警察から相撲協会に照会があり、相撲協会が伊勢ヶ浜親方と貴乃花親方に問い合わせたが、貴乃花親方からは「階段から落ちた」との説明があった。
3.貴の岩は11月12日の九州場所初日から休場したが、11月13日に相撲協会に提出された診断書は11月9日付のもの。
4.10月29日の被害届が提出された際に提出された診断書には頭蓋底骨折の記述がなかったが、11月9日付診断書には頭蓋底骨折の記述があった。
5.11月13-14日の報道で、「ビール瓶で殴った」と伝えられたが、このことについて横綱白鵬は「ビール瓶では殴っていない」と証言した。
6.10月26日に日馬富士と貴乃岩が顔を合わせた際、握手をしている。
7.貴乃花親方の行動に相撲協会が振り回されている。
これらの情報が強調されて流布されている。
狙いは、事案自体は大きなものでなく、貴乃花親方の行動に問題があることを示唆するものになっている。
こうした情報誘導に警察当局が加担する可能性があるため、十分な監視が必要である。
相撲協会・NHK・警察検査当局は、さまざまな面で利害を共有している。
このことから、できるだけ相撲協会・NHKに与えるダメージが小さくなる方向で問題が処理される可能性があるのだ。
上記の諸点について、客観的に検討を加える必要がある。
三つの重要なポイントがある。
第一は、診断書の問題。
第二は、殴る際に素手以外の「凶器」が用いられたのかどうか。
第三は、「握手」の意味である。
診断書について脳外科の専門家は、傷害を受けた当初の診察では、頭蓋底骨折の可能性を認識できず、外的な損傷だけを記載した可能性が高く、その後に症状が悪化して再検査した際に、頭蓋底骨折などの傷害が明らかになった可能性を指摘している。
貴乃岩は11月5日から9日にかけて入院しており、この際に精密な検査を受けて、より正確な診断が可能になった可能性が高い。
貴乃花親方の対応が硬化したのは、精密な診断で、暴行による傷害が重大なものであることが判明したためであるとも考えられる。
この点と密接にかかわる問題が「凶器」である。
白鵬は、「ビール瓶で殴っていない」ことを強調するが、仮にビール瓶が手から滑り落ちてビール瓶で殴っていないとしても、カラオケの入力端末やマイクで殴ったとすれば大差がない。
「ビール瓶」に話題を集中させて、「ビール瓶で殴っていなければ暴行の態様が当初報道とは違う」ことを強調してもほとんど意味がない。
「頭蓋底骨折」や「髄液漏の疑い」などが診断されており、その原因が強い外部からの力による殴打が原因で、さらに素手以外の何らかの「凶器」が用いられていれば、「ビール瓶」でなくとも重大性にはいささかの違いもなくなる。
カラオケの入力端末やマイクもビール瓶に匹敵する「凶器」と判断できるからである。
10月26日に貴乃岩と日馬富士が握手をしたことについて、相撲関係者は、「横綱から手を差し出されれば、これを拒絶することが難しい」と述べる。
また、その際に、日馬富士から「また同じようなことを言えば殴るからな」との趣旨の発言があったとも伝えられている。
これが事実なら、「握手」は「和解=示談成立」をまったく意味しない。
日馬富士が一方的に「握手」を強要しただけということになる。
11月2日の段階で貴乃花親方が「階段から落ちた」と説明したのは、問題が拡大するのを防ぐための便法であった可能性がある。
傷害が軽微なものであれば、大事にせずに問題を収束させようと考えた可能性がある。
しかし、その後の再検査で傷害が極めて重大なものであることが判明し、そうである以上、問題を隠蔽してしまうことはできないと判断した可能性がある。
貴乃岩の受けた傷害の診断が、11月9日付診断書の通りであり、その原因が日馬富士による暴行にあることが明らかになるなら、これは、極めて重大な傷害事件ということになる。
(追記)
11/17夕刻時に、診断書記載事項について、診断書記述の病院から、「髄液漏」だけでなく、「頭蓋底骨折」も、診断事実ではなく、「疑い」であったとの説明が報じられた。「頭蓋底骨折」および「髄液漏」が、「事実」ではなく、単なる「疑い」で、事実がないということになれば、「傷害」の状況は大きく変化することになる。(追記ここまで)
「ビール瓶」でなくとも、何らかの「凶器」が用いられたとなれば、軽微に済ませることのできない重大事案ということになる。
メディアが目指している方向への情報誘導に騙されぬことが肝要だ。
また、警察・検察当局が相撲協会、NHKと結託して、問題を矮小化してしまう可能性についても厳重な監視が求められる。
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