梓澤和幸氏新著『改憲』日常と共存する独裁と戦争
72年前の8月6日午前8時15分、米国は広島に原子爆弾リトルボーイを投下した。
きのこ雲の下に、抱き合う黒焦げの親子、無数の遺体が浮かぶ川、焼け崩れた建物。
幾万という人々が炎に焼かれ、その年の暮れまでに14万人もの命が奪われた。
さらに米国は3日後の8月9日、米国は原子爆弾ファットマンを長崎に投下した。
長崎でも、この年の年末までに7万4千人の命が消し去られた。
『東京が壊滅する日』(ダイヤモンド社)
を著した広瀬隆氏は、
「原爆投下のすべての目的が、財閥が得る巨額の収入にあったことは動かし難い事実である」、
広瀬氏は原爆と原発が、
「双子の悪魔」
であると指摘する。
グローバルな強欲巨大資本が、
飽くなき利益追求のために
「原爆と原発」
の開発、使用、拡散に突進してきた。
その活動はいまも続いている。
8月9日の今日、長崎市の平和公園で開かれた平和祈念式典で、田上富久長崎市長は平和宣言を読み上げた。
田上市長は、本年7月の国連での核兵器禁止条約採択を
「被爆者が長年積み重ねてきた努力がようやく形になった瞬間だった」
讃える一方で、この条約に対する日本政府の対応について、
「条約の交渉会議にさえ参加しない姿勢を、被爆地は到底理解できない」
と批判した。
このことを、
朝日新聞「長崎市長、平和宣言で政府批判 「姿勢理解できない」」
東京新聞「72回目 長崎原爆の日 核禁止条約「参加を」 平和宣言、政府に迫る」
と伝えたが、
読売新聞「被爆72年「長崎原爆の日」5400人が黙とう」
NHK「長崎 原爆の日 田上市長が核兵器禁止条約の意義強調」
と伝え方がまるで違う。
情報は「伝え方が8割」なのだ。
こうしたなかで、弁護士の梓澤和幸氏が新著
『改憲 どう考える 緊急事態条項・九条自衛隊明記
ありふれた日常と共存する独裁と戦争』(同時代社)
を刊行された。
安倍首相が憲法改定の方針を示すなか、次の臨時国会で改憲案が発議され、その後、国民投票、憲法改定施行のスケジュールも想定されている。
「憲法」という固いテーマであるが、しかし、私たちの生存そのものに関わる重大なテーマである。
梓澤氏はこの重大テーマの重大な問題点を、どうしてもすべての国民に知ってもらいたいとの熱い想いから本書を執筆されたのだと思う。
私に評論をする能力はないが、新著はまぎれもなくみずみずしい「文学作品」である。
作家加賀乙彦氏の影響と薫陶を受けた梓澤氏が渾身の力を注いで書き上げた「文学作品」が世に放たれたと言ってよいだろう。
本書の第一章は1943年3月に筆者が群馬県桐生市で生を受けたところから始まる。
開戦から2年、筆者の父君に召集令状が来た。
そして、筆者が中学生になったころに住み込みの店員さんから聞いた、その人の父君の戦死の話。
運命にただひたすら従うほかなかった人々の人生。
梓澤氏は本書あとがきを次の言葉で結ぶ。
「ある地域における紛争がもつ不可避的な拡大の恐ろしさ(核兵器を使う戦争-アメリカ政府の中にいたある人が政権部内で聞いたところによれば、少なく見て犠牲者は六億人)を考えれば、その責任を権力者だけに帰すわけにはいかない。
私にとって、憲法について書くということは、戦争と戦後の時代を生き、また逝った人たちのことを言葉にするということでもあった。
日々を生き、自然と人を愛した人たちの切実な思いをこめて、語り伝えるように書きたかった。それを踏みにじるものの真実も・・・・・、
それは、自分自身を含めて共に時代を「支えているものの責任」を明らかにするということでもあった。瞳を輝かせる子どもたちのために-。」
本書の内容については改めて紹介させていただく。
私たち、そして私たちの子や孫の未来のために、いま私たちは日常の裏側で進む「事態」を把握し、行動しなければならない。
そのための第一歩に、まずは、梓澤氏が著された『改憲』をこの盆休みにじっくりと読んでいただきたいと思う。
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