内閣改造でのもりかけ隠しを絶対に許さない
安倍首相が8月3日に自民党人事および内閣改造を行う。
内閣支持率が急落し、東京都議選で歴史的大敗を喫し、仙台市長選でも野党共闘候補に敗北した。
党勢を回復し、閣僚の顔ぶれを変えて、内閣支持の回復を目指そうということだろう。
しかし、この対応は、安倍首相が問題の本質を正しく捉えていないことを自白しているものであると言える。
安倍内閣に対する主権者国民の支持の低下は、政権閣僚に対する不支持の増加によるものではない。
安倍首相本人に対する不支持の急激な上昇によるものである。
内閣不支持の理由のトップは、「首相の人柄が信用できない」というもの、であり、メンバーの一新による内閣支持の回復を目指すのであれば、不支持の原因を取り除くことが必要で、それは、安倍首相自身が辞任することである。
また、内閣支持が急落している主因は、森友、加計、山口三兄弟疑惑に対して、安倍首相が真摯な姿勢を示していないことによる。
森友学園問題の核心は時価が10億円は下らないと見られる国有地が1億3400万円という破格値で払い下げられたことである。
この破格値払い下げが行われた背景に、安倍昭恵氏の深い関与があると見られている。
森友学園の籠池泰典前理事長は、安倍昭恵氏が小学校新設にあたり、100万円の寄付をしたと証言しているが、安倍昭恵氏サイドはこの指摘を否定している。
安倍昭恵氏が公の場に出て説明しない限り、真相究明は難しいのが現状で、安倍首相に真相を明らかにする意志があるなら、安倍昭恵氏の証人喚問を実現するべきだというのが、主権者国民多数の意見であると考えられる。
加計学園疑惑は、安倍政権が安倍首相の「腹心(ばくしん)の友」である加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園の要望を満たすために、加計学園による獣医学部新設認可を、適正な行政プロセスを歪めるかたちで実行したとの疑惑である。
獣医学部新設認可については、昨年8月の内閣改造から本年1月にかけて急進展した。
この間の国家戦略特区諮問会議の議事内容を見ても、獣医学部新設問題が一部のメンバーから唐突に示されて、これを山本幸三地方創生相が強引に決定に持ち込んだ事実が浮かび上がる。
国家戦略特区諮問会議の竹中平蔵氏、八田達夫氏、元愛媛県知事の加戸守行氏と山本幸三氏の連係プレーで、加計学園の獣医学部新設が強引に決定されていったと言ってよい。
「意思決定のプロセスに一点の曇りもない」
という諮問会議メンバーの言葉は、明らかに事実に反している。
この問題について、前川喜平前文部科学事務次官は、
「行政プロセスが歪められたことが問題」
だとするが、この言葉が強い説得力を持っている。
安倍首相は国家戦略特区諮問会議の議長を務めている。
この立場にありながら、国家戦略特区における獣医学部新設の事業者である加計学園理事長の加計孝太郎氏を飲食、ゴルフを繰り返していた。
一部の飲食費などについては、接待饗応されていたことも、安倍首相が言明している。
安倍首相は「李下(りか)に冠を正さず」という言葉を繰り返したが、言葉の意味を知らずに発言しているように見える。
「李下に冠を頻繁に正していた」
というのが現実であり、焦点は、
「李(すもも)をくすねていたのかどうか」
に移っているからだ。
客観的な事実は、「李をくすねていた」ことを示唆している。
森友問題にせよ、加計学園問題にせよ、問われているのは、安倍首相の政治私物化、政治腐敗なのである。
これらの問題を、内閣改造で対処するというところに、安倍首相の認識が決定的に不足していることが表れている。
内閣改造の前に、安倍首相が主権者国民に対する説明責任を果たすべきではないのか。
安倍昭恵氏および加計孝太郎氏の証人喚問が必要不可欠である。
森友問題では、安倍昭恵氏の深い関与を明らかにした籠池泰典夫妻が逮捕、勾留されるという卑劣な行動が示された。
中国の人権活動家である劉暁波氏が中国政府によって犯罪人にされたことを批判する資格など、安倍政権にはない。
森友学園の補助金受給に対する疑惑にメスを入れる前に、財務省が森友学園に激安価格で国有地を払い下げた疑惑にメスを入れるのが先であることは言うまでもない。
内閣改造をしようが、自民党役員を異動させようが、説明責任を果たさず、真実を告発する者を不当逮捕するような政権を、このまま存続させるわけにはいかない。
次の衆院総選挙に向けての主権者国民の側の対応を急がねばならない。
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