米国抜きTPPは安倍晋三国会答弁に明白に違反
安倍政権の本質は
「売国政権」
である。
拙著『「国富」喪失』(詩想社新書)
の本当の意味のタイトルは、
『「国富」略奪』
であり
『「国富」献上』
である。
昨年秋冬の臨時国会で安倍政権はTPP承認案ならびに関連法案を強行制定した。
この国会審議で安倍首相はTPP最終合意案の見直しは絶対にしないと答弁している。
TPP最終合意案を見直ししない場合、米国抜きのTPP発効はない。
米国大統領選ではトランプ氏がTPPからの離脱を宣言していた。
トランプ氏が大統領選で勝利し、米国のTPP離脱可能性が高まった。
安倍政権は、仮に米国がTPPから離脱した場合には、米国の翻意を促す、としてきた。
TPP最終合意案を見直さない限り、米国抜きの11ヵ国でのTPP発効はない。
この点を明確にしておく必要がある。
ところが、安倍政権は、こうした過去の経緯について、一言の説明もなく、
米国抜きのTPPを日本が主導する
などという、ふざけた方針を示唆している。
御用新聞代表の日本経済新聞などは、
「日本が動かすTPP11」
と題する提灯記事を連載した。
国会審議での政府答弁を踏まえることもなく、ただ政府の御用聞きだけをするような報道機関は存在意義がない。
日本政府はなぜTPPに前のめりなのか。
2012年12月の総選挙で安倍自民党は
「TPP断固反対!」
と大書きしたポスターを貼り巡らせて選挙戦を戦った。
TPPが国益に反しているからTPP反対だったはずだ。
TPPは交渉参加国の6ヵ国以上、かつ、GDP比が85%を超える国が国内手続きを終えないと発効しない。
米国のGDP構成比が約6割、日本のGDP比が17%程度であるから、日米のいずれか1ヵ国でも国内手続きを終えないと、TPPは発効しない。
これが最終合意に盛り込まれたルールである。
したがって、米国抜きでTPPを発効させるには、最終合意を修正しなければならない。
これを安倍首相は、国会答弁で明確に否定しているのである。
この答弁があり、TPP承認案の採決があった。
安倍首相が国会審議での答弁を修正するなら、国会での採決も意味を持たなくなる。
議会制民主主義の基本事項を押さえて論議をすることもできなければ報道機関を名乗る資格はないと言える。
TPP交渉に参加した12ヵ国で、日本が輸出を伸ばすことのできる余地が大きいのは米国だけだが、米国が参加しなければ日本はメリットを受けることはほとんどない。
他方、日本の農林水産品の関税率が大幅に引き下げられれば、TPP交渉参加国は日本に向けての輸出を激増させることになるだろう。
つまり、米国抜きのTPP発効は、日本にとって「売国政策」以外の何者でもないということになる。
また、TPPの最大の特徴は、単なる関税引下げの枠組みではなく、各国の諸制度、諸規制を統合しようとするものである。
その制度変更に最大の力を発揮するのが
ISD条項
である。
ISD条項は、国家の決定の上位に、大資本の決定を位置付けるものだ。
つまり、日本の諸制度、諸規制を、大資本の意思に沿うかたちで改変することを内包するのがTPPの最大の特徴なのだ。
TPPは日本の主権者の利益を目的に構築された枠組みではない。
TPPは巨大資本の利益を目的に構築されたもので、このTPPを推進しているのが、いまの安倍政権なのだ。
そして、主要メディアは大資本の資金によって成り立つ存在なのだ。
大資本と売国政権が連携して、国民無視、国益献上の政策を熱烈推進しているのだ。
このことを日本の主権者多数が知らなければならない。
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