英米仏韓投票結果違いをもたらしている主因
昨年6月の英国国民投票、
11月の米国大統領選、
そして、この5月7日の仏大統領選、
5月9日の韓国大統領選と、
重要な選挙や国民投票が実施されてきた。
フランスの大統領選では中道でEUを肯定するマクロン氏が、
韓国大統領選では米国主導の韓国統治に異を唱える文在寅(ムン・ジェイン)氏が、
最終局面まで優勢を維持している。
1980年代以降、世界を席捲してきた新自由主義の流れ。
グローバリズムの進行に対して、世界の各地で反攻の旋風が巻き起こっている。
「グローバリズム」
とは、
「大資本の利益を極大化するために、国境を超えて、市場原理のみによって経済社会を動かすことを目指す運動」
のことだ。
同時に大資本は軍産複合体の利益を極大化するために、
「戦争を創作」
し続けている。
その結果として、大量の難民が生み出され、その難民が欧州を中心に押し流されている。
英国では
グローバリズムにNOの意思が明示され、
米国でも、
グローバリズムにNOの意思が表明された。
しかし、フランスではグローバリズムにNOの意思を表示する勢力が勝利できない可能性が高まっている。
他方、韓国では米国主導政治にNOの意思が示される可能性が高い。
これらの投票結果の差をもたらしている最大の背景は、
選挙の図式にある。
反グローバリズムの主張は二つの系譜に分散される傾向を有する。
第一は、政府の分配政策の見直し、生存権強化政策を求める主張。
政府がすべての国民に保証するナショナルミニマムの引き上げ、所得再分配強化を軸とする社会民主主義政策を重視する主張である。
第二は、排外主義的な主張。
外国からの移民の激増によって、国家財政が悪化する、本来の国民の生活が圧迫されることを重視して、移民の流入を制限すべきとの主張である。
英国の国民投票では、これらの両者が、ともにEUからの離脱という主張で合流できた。
その結果として、EU離脱の判断が示された。
米国の場合、民主党のサンダース氏が社会民主主義的な政策を提唱する一方、共和党のトランプ氏が排外主義的な傾向を有する主張を提示した。
民主党の指名候補がクリントン氏になったため、サンダース支持者の多くが棄権もしくはトランプ氏支持に回った可能性がある。
その結果として、トランプ氏が勝利した。
クリントン氏は明らかにグローバリズム支持者であると見なされたのである。
フランスの場合、反グローバリズムの支持者が三つに割れた。
ルペン氏支持、メランション氏支持、アモン氏支持の三つだ。
そして、決選投票には、この3名のうち、ルペン氏だけが勝ち残った。
メランション氏の支持者の多くは棄権に回る可能性が高い。
ルペン氏の排外主義が強すぎると考えているからだ。
アモン氏の支持者はマクロン氏支持に回る。
この結果として、中道でEU肯定派のマクロン氏が優勢となっている。
韓国の大統領選では中盤まで支持を伸ばしていた安哲秀(アン・チョルス)氏が米国主導を基礎に置きながら、テレビ討論であいまいさを露呈したために支持を失った。
明確な右派路線を提示した自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏に保守派の支持を奪い返されて、結果として米国主導路線に異を唱える文在寅氏のリードが生まれている。
安氏と洪氏が候補の一本化を実現させると、選挙結果は逆転する可能性もある。
つまり、選挙・投票結果は、選挙・投票の図式に大きく左右される。
「小異を残して大同につく」ことが選挙に勝利する最重要の事項なのである。
日本でも、この点を的確に踏まえた戦術を採用すれば、いつでも政治刷新を実現できる。
このことを忘れてはならない。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
のご購読もよろしくお願いいたします。
上記メルマガを初めてご購読される場合、
2ヶ月以上継続して購読されますと、最初の一ヶ月分が無料になりますので、ぜひこの機会にメルマガのご購読もご検討賜りますようお願い申し上げます。
http://foomii.com/files/information/readfree.html
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第1735号「「腐ったリンゴは隣のリンゴを腐らす」民進党 」
でご購読下さい。
『アベノリスク』(講談社)
の動画配信はこちら
著書と合わせてせて是非ご高覧下さい。
2011年10月1日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:540円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。
創刊月2011年10-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。
「国富」喪失 (詩想社新書)
価格:994円 通常配送無料 |
反グローバリズム旋風で世界はこうなる~日経平均2万3000円、NYダウ2万ドル時代へ! ~(TRI REPORT CY2017)
価格:1,620円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
泥沼ニッポンの再生
価格:1,512円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本経済復活の条件 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意- (TRI REPORT CY2016)
価格:1,728円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
米国が隠す日本の真実~戦後日本の知られざる暗部を明かす
価格:1,728円 通常配送無料 出版社:星雲社 |
安保法制の落とし穴
価格:1,512円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本の奈落 (TRI REPORT CY2015)
価格:1,728円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本の真実 安倍政権に危うさを感じる人のための十一章
価格:1,620円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
日本経済撃墜 -恐怖の政策逆噴射- 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
20人の識者がみた「小沢事件」の真実―捜査権力とメディアの共犯関係を問う! 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:日本文芸社 |
オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下 価格:2,100円 通常配送無料 出版社:早川書房 |
アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪 価格:1,575円 通常配送無料 出版社:講談社 |
鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ) 価格:1,470円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く 価格:1,785円 通常配送無料 |
消費税増税 「乱」は終わらない 価格:1,470円 通常配送無料 |
国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る 価格:1,470円 通常配送無料 |
消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す! 価格:1,000円 通常配送無料 |
日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の独立 価格:1,800円 通常配送無料 |
売国者たちの末路 価格:1,680円 通常配送無料 |
知られざる真実―勾留地にて― 価格:1,890円 通常配送無料 |
消費税のカラクリ 価格:756円 通常配送無料 出版社:講談社 |
戦後史の正体 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 価格:798円 通常配送無料 |
日米同盟の正体~迷走する安全保障 価格:798円 通常配送無料 |
検察崩壊 失われた正義 価格:1,365円 通常配送無料 |
検察の罠 価格:1,575円 通常配送無料 |
「主権者」は誰か――原発事故から考える 価格:525円 通常配送無料 |
原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体 価格:1,680円 通常配送無料 |
« 連休明け予算委焦点は昭恵夫人の参考人招致 | トップページ | 値引き交渉詳細を酒井康生弁護士から聴取すべし »
「政策連合(平和と共生)=ガーベラ革命」カテゴリの記事
- 命・独立・成長掲げる「憂国連合」(2024.11.30)
- 衰退する日本政治を立て直す(2024.09.05)
- 総選挙に向けての国会イベント(2024.08.21)
- 9/4PM3ガーベラの風国会イベント(2024.08.17)
- 二つの日本政治根本課題(2024.06.26)