辺野古基地最高裁判断を乗り越える対応不可欠
沖縄県と国が対立している問題について、最高裁が国勝訴の判決を確定させることが明らかになった。
しかし、そんなことは報道される前から分かり切っている。
日本の場合、裁判所は、
「法の番人」
ではなく
「行政権力の番人」
であるから、最高裁が行政権力の側に立つ判断を示すことは当然に予想されたことである。
無論、これは正しいことではない。
しかし、これが日本の現実である。
裁判所のなかに、法の正義を追求する裁判官は存在するが、それは例外的な事象である。
例外的に存在する裁判官が、例外的に正しい判断を示すが、そのような判断を示す裁判官は左遷される。
裁判官は常に行政権力から監視されている。
監視塔からすべての囚人の様子を監視できる監獄がある。
パノプティコン
と呼ぶ。
元裁判官で現在は弁護士の森炎氏が
『司法権力の内幕』(ちくま新書)
のなかで明らかにしている。
国と沖縄県が法廷で争って沖縄県が勝つことは基本的にあり得ない。
そして、その当然の結果が明らかになっている。
しかし、元々このことは織り込み済みである。
翁長雄志氏は2014年の知事選に際して、
「あらゆる手段を駆使して辺野古に基地を造らせない」
ことを公約として示した。
「辺野古に基地を造らせない」
ためには、
あらゆる手段を駆使して、
辺野古米軍基地建設を遅らせる、
時間を稼ぐことが重要なのである。
工事を遅らせ、時間を稼ぎ、
その間に政権交代を待つ。
「辺野古に基地を造らせない」
ためには、これしか方法はない。
しかし、容易なことではない。
できることをすべてやる。
しかも、最速の取り組みをつなげる。
可能性のあるものを例外なくすべて取り組む。
これをやり抜いて、初めて主権者との約束=契約を守ることができる。
ここで鍵を握る行動が
「埋立承認の取消」、「埋立承認の撤回」
であった。
辺野古米軍基地の本体工事に着手するには、
沖縄県との事前協議が必要不可欠であった。
国としては、辺野古米軍基地建設の本体工事に着手するために、
事前協議書を沖縄県に受理してもらう必要があった。
翁長知事が埋立承認の取消に動いたのは、沖縄県が事前協議書を受理した直後である。
つまり、翁長氏が埋立承認の取消や撤回に対する拒絶姿勢を長く維持したのは、本体工事着手のための事前協議書を受理するまでの時間を稼ぐためであったと推察されるのだ。
そして、国との裁判に入ると、
「最高裁の決定に従う」
などの言質を与えてきた。
こんな言質を沖縄県が国に与える必要などない。
最高裁が国寄りの判断を示すことは自明のことであり、
本当に「辺野古に基地を造らせない」ことを目指すなら、
こんな言質を与えてよいわけがない。
ひとつの裁判で裁判所が国寄りの判断を示したら、また別の裁判を起こす。
これを繰り返して時間を稼ぐ。
そして、時間を稼いでいる間に、政権の交代を待つのである。
この行動が正当化されるのは、この行動が沖縄県民の意思を反映する行動であるからだ。
翁長知事の行動は、
「辺野古に基地を造らせない」
という公約を、何としても実現するという気魄に欠けたものになっている。
いまからでも遅くはない。
まずは、埋立承認の撤回に進むべきである。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
のご購読もよろしくお願いいたします。
上記メルマガを初めてご購読される場合、
2ヶ月以上継続して購読されますと、最初の一ヶ月分が無料になりますので、ぜひこの機会にメルマガのご購読もご検討賜りますようお願い申し上げます。
http://foomii.com/files/information/readfree.html
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第1614号「翁長雄志知事は二の矢三の矢を射る必要がある」
でご購読下さい。
『アベノリスク』(講談社)
の動画配信はこちら
著書と合わせてせて是非ご高覧下さい。
2011年10月1日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:540円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。
創刊月2011年10-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。
|
反グローバリズム旋風で世界はこうなる~日経平均2万3000円、NYダウ2万ドル時代へ! ~(TRI REPORT CY2017) 価格:1,620円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
|
泥沼ニッポンの再生 価格:1,512円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
|
日本経済復活の条件 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意- (TRI REPORT CY2016) 価格:1,728円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
|
米国が隠す日本の真実~戦後日本の知られざる暗部を明かす 価格:1,728円 通常配送無料 出版社:星雲社 |
|
安保法制の落とし穴 価格:1,512円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本の奈落 (TRI REPORT CY2015) 価格:1,728円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本の真実 安倍政権に危うさを感じる人のための十一章 価格:1,620円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
日本経済撃墜 -恐怖の政策逆噴射- 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
20人の識者がみた「小沢事件」の真実―捜査権力とメディアの共犯関係を問う! 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:日本文芸社 |
オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下 価格:2,100円 通常配送無料 出版社:早川書房 |
アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪 価格:1,575円 通常配送無料 出版社:講談社 |
鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ) 価格:1,470円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く 価格:1,785円 通常配送無料 |
消費税増税 「乱」は終わらない 価格:1,470円 通常配送無料 |
国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る 価格:1,470円 通常配送無料 |
![]() |
消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す! 価格:1,000円 通常配送無料 |
日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の独立 価格:1,800円 通常配送無料 |
売国者たちの末路 価格:1,680円 通常配送無料 |
知られざる真実―勾留地にて― 価格:1,890円 通常配送無料 |
消費税のカラクリ 価格:756円 通常配送無料 出版社:講談社 |
href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4062880598/ref=as_li_ss_il?ie=UTF8&camp=247&creative=7399&creativeASIN=4062880598&linkCode=as2&tag=miyokotk2011-22" target="_blank">amazonで詳細を確認する
戦後史の正体 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 価格:798円 通常配送無料 |
![]() |
日米同盟の正体~迷走する安全保障 価格:798円 通常配送無料 |
検察崩壊 失われた正義 価格:1,365円 通常配送無料 |
検察の罠 価格:1,575円 通常配送無料 |
![]() |
「主権者」は誰か――原発事故から考える 価格:525円 通常配送無料 |
![]() |
原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体 価格:1,680円 通常配送無料 |
« 主権者連帯選挙勝利でも真価は結果で問われる | トップページ | オスプレイ墜落を「不時着」と伝える大本営NHK »
「辺野古米軍基地建設」カテゴリの記事
- あまり意味がない最高裁の判断(2023.09.05)
- 変わらぬ沖縄差別の基本構造(2022.05.15)
- 拡大する渡具知名護市長落選運動(2022.01.09)
- 25%基盤安倍内閣に38%民意が突き付けられた(2019.02.25)
- 辺野古埋立に賛成か反対か県民投票全員参加(2019.02.23)
« 主権者連帯選挙勝利でも真価は結果で問われる | トップページ | オスプレイ墜落を「不時着」と伝える大本営NHK »