TPP強行採決が浮き彫りにしたNHKの大腐敗
山本有二農水相は10月18日夜に開かれた衆議院議院運営委員会委員長の自民党衆院議員佐藤勉氏のパーティーで、
「野党が必ず強行採決するだろうと総理に質問するが、強行採決するかどうかはこの佐藤勉さんが決める。
だから私は、はせ参じた。」
と述べたが、11月4日の衆議院TPP特別委員会でのTPP批准案の強行採決を佐藤勉議院運営委員長は知らなかったと言っている。
安倍首相は10月17日の国会答弁で、
「我が党においては(1955年の)結党以来、強行採決をしようと考えたことはない」
と述べたが、11月4日の衆院TPP特別委で委員長の塩谷立氏は職権でTPP批准案の強行採決を行った。
11月4日の衆院TPP特別委は塩谷立委員長が2日に職権で開催を決定したものだが、議院運営委員会理事会で本会議開会をめぐる協議が続いている最中に、国会の規則を破って一方的に開会されたもの。
議院運営委員会では、佐藤勉委員長が、
「TPP特別委員会を開く状況に至っていない。与党に努力を求めたい」
と言明していた。
この議運委理事会が休憩になっている段階で、自民、公明と維新の3党が衆院TPP特別委で、TPP批准案を強行採決した。
TPP委の塩谷立委員長(自民党)や森山裕理事(同)は、佐藤氏に開会を連絡していなかったとのことである。
この事態を受けて、民進、共産、自由、社民の野党4党は、大島理森議長、川端達夫副議長、佐藤議運委員長に対して、
「TPP特別委が不正常な状況のなかで締めくくり総括質疑と採決が行われたものであり、決して受け付けないで欲しい」
と同特別委員会での強行採決を認めないよう申し入れた。
11月4日の塩谷委員長の職権による委員会開会の方針に対して、民進、共産、自由、社民の野党4党は同日午前、国会内での国対委員長会談を開き、暴言を繰り返した山本有二農水相に対する辞任要求に対し、与党・政府が何ら回答していないことに抗議。
この状況下で特別委を開くことはできないと確認し、野党が結束して対応することを確認していた。
野党4党の国会対策委員長は大島衆院議長らへの申し入れ後に記者会見を開いた。
共産党の穀田恵二氏は、
「ことの発端は農水相の2度にわたる国会と国政を無視した暴言だ。野党4党の辞任要求になんらかの回答が必要だ」
と述べた。
この余波を受けて、11月4日に開会予定だった本会議は流会となり、「パリ協定」批准も先送りされた。
毎日新聞報道によれば、
「大島理森衆院議長や竹下亘党国対委員長、佐藤氏らの当初の見通しでは、本会議でのパリ協定承認を優先し、その後の予定のTPP委での採決は7日に遅らせることも織り込んでいた」
とのことであるが、与党内部の連絡、調整の欠落により、国会運営が大混乱に陥っている。
この点について、民進党の泉健太議運委理事が
「佐藤氏がTPPの採決を知らなかったのに驚いた。
(大戦前の)関東軍と当時の日本政府のような、現場の暴走を抑えられないむちゃくちゃな国会運営だ」
と述べたことも報じられている。
民進党の蓮舫代表は、山本農水相に対する不信任案の提出も「視野に入っている」と述べているが、週明けの国会闘争を有効なものにする必要がある。
衆院を通過してしまうと、日本国憲法第60条および第61条の規定により、参院がに議案が送られて30日経過すると採決なしで自然成立してしまう。
臨時国会会期の延長幅にもよるが、TPP批准案の自然成立を阻止するには、批准案の衆院通過を1日でも先送りすることが重要である。
野党の対応が「日程闘争」に偏っているとの批判があるが、与党が「数の暴力」を前面に押し立てている以上、野党にとって日程闘争が最大の防御策になる。
当然のことながら、徹底審議、必要十分な審議が基本であるが、与党の姿勢が実態がなくても時間さえ経過したら「強行採決」である以上、日程闘争を徹底的に活用することは正しい戦術である。
日本国民に重大な影響を及ぼすTPP批准案が、必要十分な審議も行われぬまま、「強行採決」されたことは、日本の議会制民主主義の死を意味する。
この過程で改めて浮き彫りになったことは、日本のマスメディアが、メディアの役割を一切果たさず、単なる政治権力の御用広報機関に成り下がっているという事実だ。
とりわけ、NHKの腐敗ぶりは深刻だ。
日本偏向協会から日本腐敗協会にさらに名称を変えるべきである。
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