« TPP見直し否定で米国抜きTPP検討の矛盾 | トップページ | 米国離脱なら日本のTPP完全消滅を銘記 »

2016年11月29日 (火)

政治権力の片棒に過ぎない不正義の裁判所

受託収賄罪などに問われた岐阜県美濃加茂市の藤井浩人市長に対する控訴審で、名古屋高裁は11月28日、一審の無罪判決を取り消して懲役1年6月、執行猶予3年、追徴金30万円の逆転有罪判決を言い渡した。


高裁判決は、「プール浄水設備導入をはたらきかけるため現金30万円を渡した」などとする業者供述の信頼性を認め、検察側の主張に沿った判決を示した。


これに対し、藤井市長は公判後の記者会見で「まったく受け入れられない」と反発。


弁護団は速やかに最高裁へ上告する方針を示した。


この事件における証拠は、贈賄側の


「プール浄水設備導入をはたらきかけるため現金30万円を渡した」


だけであるが、一審ではこの証言を信用できないとして無罪判決が示されていた。


ところが、高裁では、この証言を「信用できる」として、一転有罪判決を示した。


しかし、藤井市長や弁護団が主張するように、高裁の逆転無罪判決は、一審判決を覆すだけの十分な証拠調べを行った上のものでなく、適正な手続きを欠いた不当な判断であると言える。


「逆転有罪にする」ことが最初に決められて、判決が示されたものであると評価せざるを得ない。


いかなる判決が示されようとも、


「心証」


という一言で片づけられてしまう。


このことが、日本の司法を暗黒に陥れている。

人気ブログランキングへ

普通の人々は、裁判所は中立公正の存在という「幻想」を抱いている。


しかし、これは事実と異なる。


裁判所は政治権力に支配される、権力機関の一翼である。


したがって、裁判所は、中立公正の立場から、法と正義に照らした判断を示す存在ではない。


政治権力の意向を受けて、歪んだ判断を示す特性を有しているのが裁判所の実態なのである。


すべての個人は、このことをしっかりと銘記しておく必要がある。


そして、


裁判所の判断を絶対と思わず、


裁判所の判断は、「一つの判断」であると考えるべきである。


「絶対視しない」ということが「相対化する」ということである。


裁判所の判断を「相対化」することが何よりも重要だ。

人気ブログランキングへ

ナチスドイツのような国があったとする。


この国で警察に捕まり、裁判を受けて有罪とされて、刑罰を科せられたとしよう。


そのときの評価は、


「刑罰を受けた者が絶対に悪い」


にはならない。


「ナチスドイツの判断と行動が間違っているかも知れない」


と判断するのが適正ということになるだろう。


これが「相対化」して裁判所判断を見る姿勢なのだ。


裁判所の判断だからと言って絶対視できない。


むしろ、警察や裁判所の判断が間違っているのではないか。


こう考える姿勢が「相対化する」ことの結果なのだ。


日本の裁判所は中立公正の存在ではない。


法と正義を守る、守護神の存在ではないのだ。


政治権力の支配下にある、もとより歪んだ存在なのだ。


だから、裁判所の判断を絶対視しないことが大事である。


それは「一つの判断」に過ぎないし、多くのケースで「歪んだ判断」なのだ。

人気ブログランキングへ

とりわけ、政治権力の意向が絡む事案では、この傾向が極めて強くなる。


小沢一郎氏の秘書が有罪判決を受けた事案もそうである。


私が有罪判決を受けた事案もそうである。


そして、今回の藤井市長の事案もそうである。


政治権力の意向を受けて、裁判所の判断が根底から歪められるのである。


判決は法的拘束力を持ち、重大なものであるから、冤罪被害者の被害は計り知れない。


後藤昌次郎弁護士が


「国家にしかできない犯罪。それは戦争と冤罪である」


の言葉を遺されたが、まさに、戦争にも匹敵する、国家による重大犯罪が冤罪である。


今回の事案では、郷原信郎弁護士が見事な弁護をしているが、国家権力がこれを潰しにかかったという側面が極めて強い。


最高裁で適正判断が示されることが望ましいが、


「裁判所が歪んでいる」


という前提に立てば、過大な期待も持てないのである。


実害があるから裁判に力を注ぐ必要はあるのだが、最終的には、裁判所判断が正しくないことがいくらでもあることを、私たちは知っておかねばならない。

人気ブログランキングへ

続きは本日の
メルマガ版
「植草一秀の『知られざる真実』」
第1603号「法も正義もないこの国の司法・検察の実情」
でご購読下さい。

『アベノリスク』(講談社)
動画配信はこちら
著書と合わせてせて是非ご高覧下さい。

2011101日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:540円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。

 創刊月201110-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。

 メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。

人気ブログランキングへ

反グローバリズム旋風で世界はこうなる~日経平均2万3000円、NYダウ2万ドル時代へ! ~(TRI REPORT CY2017)

価格:1,620円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

泥沼ニッポンの再生

価格:1,512円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

日本経済復活の条件 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意- (TRI REPORT CY2016)

価格:1,728円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

米国が隠す日本の真実~戦後日本の知られざる暗部を明かす

価格:1,728円 通常配送無料

出版社:星雲社
amazonで詳細を確認する

安保法制の落とし穴

価格:1,512円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

日本の奈落 (TRI REPORT CY2015)

価格:1,728円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

日本の真実 安倍政権に危うさを感じる人のための十一章

価格:1,620円 通常配送無料

出版社:飛鳥新社
amazonで詳細を確認する

日本経済撃墜 -恐怖の政策逆噴射-

価格:1,680円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

20人の識者がみた「小沢事件」の真実―捜査権力とメディアの共犯関係を問う!

価格:1,680円 通常配送無料

出版社:日本文芸社
amazonで詳細を確認する

オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下

価格:2,100円 通常配送無料

出版社:早川書房
amazonで詳細を確認する

アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪

価格:1,575円 通常配送無料

出版社:講談社
amazonで詳細を確認する

鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ) 鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ)

価格:1,470円 通常配送無料

出版社:飛鳥新社
amazonで詳細を確認する

金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く 金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く

価格:1,785円 通常配送無料

出版社:ビジネス社
amazonで詳細を確認する

消費税増税 「乱」は終わらない 消費税増税 「乱」は終わらない

価格:1,470円 通常配送無料

出版社:同時代社
amazonで詳細を確認する

国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る 国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る

価格:1,470円 通常配送無料

出版社:祥伝社
amazonで詳細を確認する

消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す! 消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す!

価格:1,000円 通常配送無料

出版社:飛鳥新社
amazonで詳細を確認する

日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却 日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却

価格:1,575円 通常配送無料

出版社:青志社
amazonで詳細を確認する

日本の独立 日本の独立

価格:1,800円 通常配送無料

出版社:飛鳥新社
amazonで詳細を確認する

売国者たちの末路 売国者たちの末路

価格:1,680円 通常配送無料

出版社:祥伝社
amazonで詳細を確認する

知られざる真実―勾留地にて― 知られざる真実―勾留地にて―

価格:1,890円 通常配送無料

出版社:イプシロン出版企画
amazonで詳細を確認する

消費税のカラクリ 消費税のカラクリ

価格:756円 通常配送無料

出版社:講談社

href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4062880598/ref=as_li_ss_il?ie=UTF8&camp=247&creative=7399&creativeASIN=4062880598&linkCode=as2&tag=miyokotk2011-22" target="_blank">amazonで詳細を確認する

戦後史の正体 戦後史の正体

価格:1,575円 通常配送無料

出版社:創元社
amazonで詳細を確認する

日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土

価格:798円 通常配送無料

出版社:筑摩書房
amazonで詳細を確認する

日米同盟の正体~迷走する安全保障 日米同盟の正体~迷走する安全保障

価格:798円 通常配送無料

出版社:講談社
amazonで詳細を確認する

検察崩壊 失われた正義 検察崩壊 失われた正義

価格:1,365円 通常配送無料

出版社:毎日新聞社
amazonで詳細を確認する

検察の罠 検察の罠

価格:1,575円 通常配送無料

出版社:日本文芸社
amazonで詳細を確認する

「主権者」は誰か――原発事故から考える 「主権者」は誰か――原発事故から考える

価格:525円 通常配送無料

出版社:岩波書店
amazonで詳細を確認する

原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体 原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体

価格:1,680円 通常配送無料

« TPP見直し否定で米国抜きTPP検討の矛盾 | トップページ | 米国離脱なら日本のTPP完全消滅を銘記 »

警察・検察・裁判所制度の近代化」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 政治権力の片棒に過ぎない不正義の裁判所:

« TPP見直し否定で米国抜きTPP検討の矛盾 | トップページ | 米国離脱なら日本のTPP完全消滅を銘記 »

有料メルマガご登録をお願い申し上げます

  • 2011年10月より、有料メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」の配信を開始いたします。なにとぞご購読手続きを賜りますようお願い申し上げます。 foomii 携帯電話での登録は、こちらからQRコードを読み込んでアクセスしてください。

    人気ブログランキング
    1記事ごとに1クリックお願いいたします。

    ★阿修羅♪掲示板

主権者は私たち国民レジスタンス戦線

  • 主権者は私たち国民レジスタンスバナー

    主権者は私たち国民レジスタンスバナー

著書紹介

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
2025年6月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

関連LINKS(順不同)

LINKS1(順不同)

LINKS2(順不同)

カテゴリー

ブックマーク

  • ブックマークの登録をお願いいたします
無料ブログはココログ