いじめ問題対処に「学校に行かない権利」確立すべき
東日本大震災で発生した東京電力福島第1原子力発電所の放射能事故の被害を免れるために自主避難した子供が避難先の学校で陰湿ないじめに遭っていたことが明らかになった。
「いままでなんかいも死のうとおもった。でも、しんさいでいっぱい死んだから、つらいけどぼくはいきるときめた」
差別といじめに苦しんだ子供の手記が11月15日、弁護士によって公表された。
学校もいじめを把握しながら放置していた。
弁護士の会見では、
「今までいろんな話をしてきたけど、(学校は)しんようしてくれなかった」
「なんか先生に言(お)うとするとむしされた」
などの子どもの悲痛な手記の内容が明らかにされた。
男子生徒は同級生から「賠償金があるだろう」などと言われたうえで、同級生らとゲームセンターで遊んだ際、その代金の支払いを負担させられていた。
家にあった親の金を持ち出して、1回につき約10万円、これまでに150万円ほどを支払ったという。
学校は生徒が家から金を持ち出していることを把握していたが、生徒の親に対してそれを伝えていなかった。
生徒の親が学校にいじめ被害を訴えたのが2014年5月。
校内で2度調査が行われたが、「重大事態」として市教育委員会に報告することはなかった。
2015年12月に親が市教育委員会に第三者委員会による調査を求め、この11月2日に第三者委員会が報告書をまとめた。
この事態に対応して林文子横浜市長が横浜市教育委員会に対して原因の調査を支持したことが伝えられている。
学校のまったく誠意のない対応が明らかになっているが、その最終責任は横浜市にある。
さらに言えば、日本政府にある。
横浜市、そして政府は、親から子供を預かり、教育を行っている。
その教育の場で、こうしたいじめがあり、そして、訴えがあったのに、しっかりとした調査も対応も示してこなかった。
横浜市の林文子市長は、
「大変苦しく、つらい気持ちが伝わってきました。このような思いをさせてしまったことに胸が苦しい気持ちでいっぱいです。」
と述べたが謝罪の言葉を示さない。
まずは、このような対応について、行政トップとして謝罪するのが当然の対応である。
今回の問題は福島原発事故との関連で報じられているが、問題の本質は福島事故とは関係がない。
学校におけるいじめの問題、そして、そのいじめの問題に正面から向き合わない学校、教育委員会、そして行政府の問題なのだ。
日本国憲法には次の条文がある。
第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
国民は教育を受ける権利を有し、親は保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負っている。、
しかし、その普通教育を提供する学校において、子どもの人権が守られていないなら、親は子女を学校に送り出すことなどできない。
その結果、国民の教育を受ける権利も侵害される。
東大農学部の鈴木宣弘教授が、いまの日本の風潮を
「今だけ、金だけ、自分だけ」
の
「三だけ主義」
であると批判している。
学校や行政府の対応も、
「今だけ、金だけ、自分だけ」
になってしまっている。
不足しているのは「想像力」。
相手の立場に立ってものごとを考える「想像力」が欠落している。
学校や行政府にこれが欠けている。
それがそのまま子どもたちにも伝わっている。
そのために「いじめ」が消滅しない。
学校も行政府も、「いじめ」が存在することを認識しながら、対処しない。
「今だけ、自分だけ」
の精神で対応しているからだ。
このような問題のある学校に子女を送り出す義務を国民は負っていない。
「不登校」は人権を守るための権利であることを確認する必要がある。
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