「無辜の処罰」と「犯罪者の無罪放免」
日本の刑事司法は腐敗している。
刑事司法の第一の鉄則は
「冤罪の防止」
である。
しかし、これは教科書的な鉄則に過ぎず、現実にはこの原則は存在しない。
「冤罪の防止」
は
「無辜の不処罰」
とも言われる。
「無辜」
というのは
「罪のない者」
のことだ。
「無実の人間を処罰してはならない」
これが刑事司法の鉄則だが、現実は違う。
「たとえ10人の犯罪者を取り逃がしても、1人の無辜を処罰してはならない」
が「無辜の不処罰」だが、現実には
「たとえ10人の無辜を取り押さえても、1人の真犯人を取り逃がしてはならない」
というのが現実である。
犯罪者を一人残らず検挙するには、「疑わしきは罰す」の原則で、無辜の者が処罰されることはやむを得ない。
これが現実と言われる。
これでも問題だが、日本の現実はさらに異なっている。
私は日本の刑事司法の根本的な問題を三つに整理して示している。
第一は、警察、検察に不当に巨大な裁量権が付与されていること、
第二は、日本の刑事司法において基本的人権が尊重されていないこと、
第三は、法の番人であり、人権を守る砦であるはずの裁判所が警察・検察と一体化し、権力機関と化してしまっていること、
である。
刑事訴訟法は第1条に次の条文を置いている。
第一条 この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。
ここにある
「個人の基本的人権の保障」
が全うされていない。
また、
「刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現する」
ことも実現していない。
現実は刑事訴訟法の目的を実現するものになっていない。
第一の問題点の「不当に巨大な裁量権」とは何か。
端的に言うなら、
「無実の人間を犯罪者に仕立て上げる裁量権」
と
「犯罪者を無罪放免する裁量権」
である。
この裁量権が「恣意的に」活用されている。
その目的は
「人物破壊」
と
「利権」
である。
この「裁量権」が警察、検察の最大の「利権の源泉」である。
一つの具体例は、多くの企業が警察、検察OBの天下りを受け入れていることだ。
この現実が厳然と存在している。
一般の事案に関しては通常の警察、検察の役割が果たされることが多いが、
「人物破壊」
と
「利権」
に絡む分野では、日本の刑事司法は完全に破綻している。
法治国家と言えぬほど破綻している。
「絶望の腐敗国家」
と言うほかはない。
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