戦争法強行制定風化は安倍政権の思うつぼ
憲法違反の戦争法が強行制定されて1年が経過した。
昨年8月30日の国会包囲行動には10万人を超える市民が参加した。
日本は日本国憲法を定めて
「戦争をしない国」
になることを決めた。
これは憲法の規定である。
ところが、安倍政権は、その憲法を改定せずに、憲法が定める規定の内容を勝手に変えて、日本を
「戦争をする国」
に変えてしまった。
敗戦後の日本は、
平和国家になる
基本的人権を守る
そして、
国民を主権者とする
ことを決めて、これを基軸とする憲法を定めた。
憲法は国の基本法である。
政治権力が勝手に変えてはならない。
そのために、憲法改正には高いハードルを設定した。
憲法の規定を変更することは許すが、そのための手続きは厳格に定めた。
安倍政権は憲法改定の手続きを経ずに、憲法解釈を変えた。
そして、その変更した解釈に基づく法律を制定した。
日本が直接攻撃を受けていないときに、武力の行使を容認する
集団的自衛権の行使を容認したのである。
この問題については日本政府は1972年10月に正式見解を示している。
その要旨は次のとおりだ。
憲法は、第9条において戦争を放棄し、戦力の保持を禁止しているが、前文において「全世界の国民が平和のうちに生存する権利を有する」ことを確認し、第13条において「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、国政の上で最大の尊重を必要とする」旨を定めることからも、わが国が自らの存立を全うし国民が平和のうちに生存することまでも放棄していないことは明らかで、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。
しかし、平和主義を基本原則とする憲法が、自衛のための措置を無制限に認めているとは解されないのであって、それは、あくまでも国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民の権利を守るためのやむを得ない措置として、はじめて容認されるものであるから、その措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである。
わが憲法の下で、武力行使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られるのであって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することを内容とする集団的自衛権の行使は、憲法上許されないと言わざるを得ない。
政府の公式見解として、
「他国に加えられた武力攻撃を阻止することを内容とする集団的自衛権の行使は、憲法上許されないと言わざるを得ない」
と明記している。
そして、この憲法解釈を40年以上にわたり維持してきた。
安倍政権が、安全保障をめぐる国際情勢が変化し、集団的自衛権の行使が必要になったと判断するなら、憲法改定の手続きを経て対応するべきである。
これが立憲主義の政治プロセスである。
安倍政権はこのプロセスを経ずに集団的自衛権を行使する体制を法制化した。
「戦争をする国」になるための法制で、「戦争法制」と呼ばれている。
憲法学者の圧倒的多数が「憲法違反」であるとし、主権者の過半数が「憲法違反」で反対している。
その法律が国会で強行制定された。
その「暴挙」から1年の時間が経過した。
時間が過ぎ去れば、事態の本質が変わるわけではない。
しかし、人々の記憶から、こうした重大事態の意識が遠のいている。
これこそ、まさに安倍政権が目論んでいたことである。
どのように「暴走」しようと、どのような「暴挙」を演じようが、時間が経てば民衆は忘れてしまう。
だから、何をやってもいい。
こんな本音が透けて見える。
このまま進めば、日本は憲法が定めた国とはまったく異なる、人権侵害国家、戦争国家に転落する。
「暴挙を風化」させず、一刻も早く、安倍政権そのものを消し去るための方策を打ち立て、政権刷新を実現しなければならない。
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