お金がすべてを支配している残念な真実
共和党がドナルド・トランプ氏を、民主党がヒラリー・クリントン氏を大統領候補に指名した。
民主、共和両党以外からもリバタリアン党のゲーリー・ジョンソン元ニューメキシコ州知事が大統領選への出馬を表明しているが、全米の15%の支持を得ることができなければ、大統領公開討論に参加できない。
1992年の大統領選でロス・ペロー氏以降は、この条件をクリアした人物は存在しない。
今回の大統領選でも、トランプ氏とクリントン氏の戦いになることは間違いないと見られている。
民主党党大会を経て、世論調査ではクリントン氏がトランプ氏をリードする状況が生まれているが、マスメディアが誘導する情報には裏があることを知っておかねばならない。
『政府は必ず嘘をつく』(角川新書)
の著者である堤未果氏がシリーズ第2作となる新著を刊行された。
『政府はもう嘘をつけない』(角川新書)
である。
堤氏は民主党でクリントンと氏名を争ったバーニー・サンダース氏について、
「トランプとバーニーは同じコインの裏と表だ」
と指摘する。
メディアの報道は圧倒的にクリントン寄りである。
主要国の首脳も、トランプ批判を積極化している。
たしかに、トランプ氏は「内向き」であり、他民族に対する排他性を色濃く表明している。
発言も過激でトラブル・メーカーでもある。
共和党の内部でもトランプ氏に対する批判が巻き起こっている。
しかし、この構図の背後にある構造を洞察しなければならない。
堤氏の新著表紙には
「お金の流れで世界を見抜け!」
と書かれている。
そう!
お金の流れを洞察することにより、陰に隠れている
「構造」
が見えてくる。
クリントン氏とトランプ氏の違いを見抜く「キーワード」は
「TPP」
である。
大統領候補指名受諾演説で、トランプ氏は、TPP批准阻止を明確に宣言した。
しかし、クリントン氏はTPP批准阻止を明言しなかった。
主要メディアがトランプ氏を攻撃する理由、
主要国首脳の多くがトランプ氏を批判する理由は、
トランプ氏が世界支配を進行させている巨大資本の支配下に置かれてはおらず、巨大資本がトランプ氏を支配し切れていないからである。
巨大資本の最重要要求項目のひとつがTPPなのである。
堤氏は「あとがき」で著書担当編集者に対する謝辞として、
「最後の最後まで質にこだわる私に辛抱強くおつきあい下さった編集者」
と記しているが、本書の冒頭から息をつかせぬ勢いで重要事実をちりばめた記述が始まっている。
良書となるには、
着想、エビデンス、表現力
の三つの要素が必要不可欠だと思うが、この条件を完璧に満たしている必読の書になっている。
米国の格差是正に対する期待を一身に背負って大統領に選出されたバラク・オバマ氏は格差是正の実績をまったく上げることができずに、8年間の任期を終えようとしている。
そのオバマ大統領はいま、懸命にトランプを叩き、クリントンの援護射撃に注力している。
そして、オバマ大統領は残された任期中にTPPを批准してしまう野望を捨てていない。
この背後にあるのが「お金の流れ」である。
オバマ氏にも、そしてクリントン氏にもウォール街、そして巨大多国籍企業の巨大資金が流入している。
巨大な「お金の流れ」を受け入れた以上、彼らはその「金主」の支配下に置かれることになる。
共和党の大統領候補がトランプ氏になる場合、トランプ氏に巨大資本から恐るべき圧力がかかることを5月4日付記事
「トランプ氏旋風を支える反エスタブリッシュメントの風潮」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-2920.html
に記述した。
トランプ氏の排他性を肯定しないが、これだけに目を奪われて、背後にある「構造」を見落とすことは許されない。
堤氏の著書
『政府はもう嘘をつけない』(角川新書)
を全国民がこの夏休みに熟読するべきだ。
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