刑事訴訟法改悪+共謀罪=治安維持法
安倍政権は、重大犯罪の計画を話し合うだけで罪に問えるようにする
「共謀罪」
の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を9月召集の臨時国会に提出する検討を始めた。
菅義偉官房長官は8月26日の記者会見で
「国際社会と協調して組織犯罪と戦うことは極めて重要」
と指摘し、テロ対策強化などを目指して国連が2000年に採択した国際組織犯罪防止条約の締結に向けて
「法整備を進めていく必要がある」
と述べた。
「共謀罪」の名称を
「テロ等組織犯罪準備罪」
に変え、対象となる集団を絞り込むなど要件を見直すことにしている。
安倍政権は
「2020年の東京五輪・パラリンピックを見据えたテロ対策強化」
を大義名分にして、
「共謀罪」
の名称を
「テロ等組織犯罪準備罪」
に変えて法制化を目指すが、この法制は日本国憲法が保障する基本的人権を侵害するもので、現行憲法下での制定は違憲立法である。
また新たな憲法破壊行為が浮上しているのである。
日本弁護士連合会は「共謀罪」への反対を明示している。
日弁連は次のように指摘する。
「刑法では、法益侵害に対する危険性がある行為を処罰するのが原則で、未遂や予備の処罰でさえ例外とされています。
ところが、予備よりもはるかに以前の段階の行為を共謀罪として処罰しようとしています。
どのような修正を加えても、刑法犯を含めて600を超える犯罪について共謀罪を新設することは、刑事法体系を変えてしまいます。
現在の共謀共同正犯においては、「黙示の共謀」が認められています。
共謀罪ができれば、「黙示の共謀」で共謀罪成立とされてしまい、処罰範囲が著しく拡大するおそれがあります。」
6月13日付メルマガ記事
「警察・検察・裁判所が腐敗しきっている日本」
に斎藤まさし氏に対する不当判決について記述した。
斎藤まさし氏に対する公訴事実は、選挙告示前に、斎藤さんが静岡市長選に立候補した高田とも子陣営と「共謀」して、バイトを使って街頭で「高田とも子です。よろしくお願いします。」という呼びかけと共にチラシを配ることを業者に依頼したことが、「事前運動罪」であって「利害誘導罪」となる「公職選挙法違反」である、というものでだった。
この裁判では、斎藤氏が関与した行為が公選法違反に該当するのかどうかという点と、「共謀」があったのかどうかという点が争点になり、いずれの視点からも斎藤氏は無罪になる事案であった。
公選法違反の論点についての詳細の説明は割愛するが、「共謀」については無罪の決定的証拠が存在した。
「共謀」を証言した人物の証言の信ぴょう性を裁判所自身が否定せざるを得なかったのである。
「共謀」が立証されなかったのであるから、当然、斎藤氏は無罪とされねばならなかったが、裁判所は不当な有罪判決を示した。
その根拠として用いられたのが、
「未必の故意による黙示的な共謀」
だった。
現行法体制の下でも、
「黙示的な共謀」
という、極めて曖昧な概念で「共謀」が成立したとの認定が行われいている。
そして、新法制は「共謀」の存在だけで犯罪としてしまうものであり、その運用が際限なく拡大することは間違いない。
つまり、政府が敵対視する人物は、何もしていなくても、この法制を用いて逮捕、拘留、起訴、有罪に持ち込むことが可能になるのである。
「暗黒の安倍政治」
の正体が一段と鮮明に表れ始めている。
日弁連が指摘しているように、
現行刑法では、
法益侵害に対する危険性がある行為を処罰するのが原則で、
未遂や予備の処罰でさえ例外とされている。
ところが、「共謀罪」は「予備」よりもはるかに以前の段階の行為を
共謀罪として処罰しようとするもの
であり、現行法体制の根幹を破壊するものである。
このことが意味することは、基本的人権の尊重が破壊されるということである。
安倍政権は衆参両院の多数勢力を盾に、
TPP
緊急事態条項
を強行突破する構えを示しているが、
ここに、
共謀罪
が正式に加わることになる。
共謀罪は、すでに改定された刑事訴訟法とセットで運用されることになり、事実上の
治安維持法
が制定されることを意味するものだ。
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