二種類の原爆による実験だった広島長崎大虐殺
71年前の1945年8月9日午11時2分、米国は長崎にプルトニウム原子爆弾ファットマンを投下した。
原爆投下により長崎市の人口24万人(推定)のうち約7万4千人が殺害された。
負傷者も7万人超に達した。
8月6日の広島へのウラン型原爆の投下により、この年の年末までに14万人の人命が奪われた。
米国による民間人大量虐殺である。
2015年8月25日の、参議院安保法制審議特別委員会で山本太郎参院議員は米国の戦争犯罪問題を取り上げた。
山本太郎議員は、
「広島、長崎、それだけじゃない、東京大空襲、そして日本中が空爆、爆撃をされた。
それによって50万人以上の方々が亡くなっていますよ。
この50万人の中に、そのほとんどを占めるのが一般市民じゃないですか。
子供、女性、民間人への無差別攻撃、アメリカによる広島、長崎の原爆投下、それだけじゃなく、東京大空襲を含む日本全国の空爆、民間人の大虐殺、これは戦争犯罪ですよね、国際法違反ですよね、いかがですか。」
この質問に対して岸田文雄外務大臣は、戦争犯罪、国際法違反にあたるかどうかには触れず、アメリカの行為が
「国際法の思想的基盤にあります人道主義の精神に合致しない、このように我が国は理解をしております。
国際司法裁判所等におきましてもそうした議論が行われていると承知をしております」
と答弁し、質問に対して正面から答えなかった。
中国に対しては何から何まで批判一色に染め抜く安倍政権だが、米国のことになると明らかな戦争犯罪であるにも関わらず、何も言わない。
8月9日の長崎での平和祈念式典。
被爆者代表として「平和への誓い」を述べたのは長崎県被爆者手帳友の会会長の井原東洋一氏である。
井原氏は「平和への誓い」で次のように発言した。
「幼い頃、神の国日本、欲しがりません勝つまでは,などと教えられて過ごした私は、相次ぐ空襲に逃げまわり、防空壕で息を潜め、日本の敗戦は近い、と思っていました。」
「原子雲の下は、想像を絶する修羅場となり、日本人だけでなく、強制連行された中国人や動員された朝鮮人、戦時捕虜のアメリカ人や諸国の人々を含むおよそ7万4千人が無差別に殺され、虫や
鳥や植物などのすべての生き物も死滅しました。」
「翌日から救護活動に参加した母や姉兄などの体験で、惨劇の大きさを知りました。その母も姉も兄も、歯茎から血を出し、髪が抜けるなど長い間の苦しみに耐えながらも、次々に原爆症で亡くなりました。」
「広島に歓迎されたオバマ大統領は、空から死が降ってきた、と叙情的に表現されましたが、広島のウラン型原爆に対して、長崎にはプルトニューム型原爆が投下されたことから、私には、二種類の原爆による実験ではなかったのか、との思いがあります。」
「政府には、原爆症や被曝体験者の救済について、司法判断にゆだねず政治による解決を望みます。」
「しかし私たちは、絶対悪の核兵器による被害を訴える時にも、日中戦争やアジア太平洋戦争などで、日本が引き起こした過去の加害の歴史を忘れてはいません。」
「わが国は過去を深く反省し、世界平和の規範たる日本国憲法をつくり、これを守ってきました。」
「国会および政府に対しては、日本国憲法に反する、安全保障関連法制を廃止し、アメリカの核の傘に頼らず、アメリカとロシア及びその他の核保有国に核兵器の「先制不使用宣言」を働きかけるなど、核兵器禁止の為に名誉ある地位を確立されることを願っています。」
「地球市民とともに、核兵器廃絶の実現を!」
木村朗氏と高橋博子氏による
『核の戦後史』(創元社)
において、木村氏は広島と長崎への2発の原爆投下について、緻密な歴史事実の検証を通じて次の判断を示している。
終戦期において、日本の降伏は時間の問題であった。
しかし、米国政府は日本を最速で降伏させて戦争を終結させることより、別の目的で行動した。
それは、
ソ連の影響を最小限に抑制する。
しかし、日本が降伏する前に原爆を投下する。
この二つの事項を両立させる方策として、8月6日と8月9日の原爆投下が実行された。
他方で、高橋氏は次の衝撃的な事実を明らかにする。
原爆投下には「人体実験」の側面があり、人体被害は詳細に調査しながら一切の治療を行わず、また原爆による残留放射能を認めなかったことや内部被ばくの存在を認めなかったことなどである。
米国が設置したABCC(原爆傷害調査委員会)は被曝者の治療、救済を目的としたものではなく、原爆の影響調査を目的とする非人道的な機関であったのだ。
平和祈念式典で「平和への誓い」を述べた井原氏は、広島と長崎への原爆投下を
「二種類の原爆による実験ではなかったのか」
と糾弾し、オバマ大統領が広島で発言した
「空から死が降ってきた」
という言い回しを痛烈に批判した。
メディアは安倍首相の朗読原稿などではなく、被曝者代表の的確、痛烈な指摘を広く人々に伝える責務を負っている。
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