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2016年6月30日 (木)

英国EU離脱国民投票で強欲資本が錯乱状態

6月23日の国民投票で、英国の主権者はEU離脱を選択した。


投票率は72.1%とかなり高い数値を記録した。


投票結果が明らかになり、投票に行くべきだったと考える人もいるだろう。


自分の投票を誤ったと考える人もいるだろう。


しかし、それは選挙や投票の常である。


日本の2014年の総選挙など、投票率は52.66%。


比例代表選挙で自民党に投票した有権者は全体の17.4%、自公を合わせても24.7%にとどまった。


それでも自公が衆議院議席全体の68%を占有した。


これこそ、選挙後に後悔した人がどれほど多い選挙であったかと思う。


英国ではEU離脱について1年に及ぶ論議があり、その論議を踏まえて主権者が結論を示した。


52対48の投票結果は、僅差とも言えるが、それなりに票差が出たとも言える。


賛否両論はあるだろう。


しかし、英国国民投票後の報道には極めて不自然な点がある。


日本の報道が、ほぼ全面的に投票結果を批判、誹謗中傷するものであるということだ。


これは異常な事態である。


英国の主権者が示した結果に、さまざまな論評があることは当然だろう。


しかし、日本の報道において、EU離脱を決定した英国の主権者の判断を一方的に誹謗中傷することは不当である。

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報道の反応はヒステリックなものであると言わざるを得ない。


たしかにEUからの離脱を唱えた保守党のボリス・ジョンソン氏や、マイケル・コーブ氏の影響力が大きかったことは事実であり、ボリス・ジョンソン氏が残留派から離脱派に転向したことも事実だが、それだけで離脱派を糾弾することは適正でない。


日本の集団的自衛権行使についても、行使容認への解釈変更に賛成だった憲法学者が反対に転向し、選挙に出馬するなどという事例も見られている。


政策課題についての主張が変化することはあり得るし、そのことだけでその転向を批判することは必ずしも適正でない。


メディアのヒステリックな反応を見ると、メディアを支配する勢力にとって、今回の英国民のEU離脱判断が、絶対に阻止しなければならない重大問題であると捉えられていることが浮かび上がる。


それは、一言で表現するなら、


「反グローバリズム」


の気運の高まりに対する極度の、そして、尖鋭的な警戒感であると考えられる。


英国の主権者がEU離脱の決断を示した最大の誘因は、


「自分の国のことは自分で決める」


という主張の訴求力にある。

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日本の報道では、EU離脱を、あたかも間違った悪の主張であるかのように扱うものが圧倒的多数を占めるが、設問を別のものに差し替えたときに同じ主張が成り立つのかどうかを考えてみるべきだ。


世界連邦政府なるものが創設されて、日本がそれに参加しているとしよう。


これに対して、日本が世界連邦政府から離脱して、日本としての独立を回復するべきだとの主張が表れたとする。


このときに、世界連邦に残留することが絶対善で、世界連邦からの離脱、日本の独立性回復の主張が絶対悪だと言い切れるか。


ものごとには必ず陰と陽がある。


すべてが陰のものもなければ、すべてが陽のものもない。


陰と陽は必然的に存在する組合せであって、その陰も陽もある全体を総体としてどう捉えるのかが重要になる。


1980年代以降、世界市場におけるグローバリズムの波が強化されてきた。


グローバリズムというのは、世界支配を目論む巨大資本が、世界を一つの市場として包含し、その世界市場からの収奪を完遂することを目指す強欲巨大資本の運動法則を指す。


経済政策運営における新自由主義の主張と表裏一体をなすものである。


このグローバリズムは、経済活動における国境の撤廃を目指すものでもあり、その運動は、当然のことながら、強欲巨大資本の具体的態様である多国籍企業の利益極大化の要請とピタリと重なるものだ。


英国の主権者がEUからの離脱を求めた理由には多種多様なものがあると考えられるが、底流に21世紀に入ってさらに尖鋭化しているグローバリズムの荒波に対する市民の違和感、抵抗感があることは間違いない。


日本が考えなければならないことはTPPへの対応である。


TPPは国家主権を捨てて、日本を全体として強欲巨大資本=多国籍企業

=グローバリズムの推進母体に献上するものであると言ってよい。


英国民のEU離脱に理解を示すことは、日本国民のTPP拒絶に理解を示すことと同義だと言ってもよい。


これが日本メディアのヒステリックとも言える英国EU離脱敵対視報道の大きな背景であると考えられる。

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