税金投入招致資金を賄賂充当なら五輪開催返上だ
国際陸上競技連盟元会長で国際オリンピック委員会(IOC)前会長のラミアン・ディアク氏の息子に関係するシンガポールの口座に、2020年オリンピックの東京招致を行った招致委員会が不正資金を支出した疑いについての報道が極めて少ない。
2013年7月と10月に「東京2020年五輪招致」という名目で
2億2300万円の送金があったことを把握した
と、フランス検察当局が5月12日に発表した。
日本のメディアは第一報を伝えたが、この巨大疑惑を大々的に報道しない。
招致委員会はシンガポールの「ブラックタイディングス社」にコンサルタント費名目で約2億3000万円を支払った。
IOCが東京招致を決定した総会は、2013年9月7日にアルゼンチンのブエノスアイレスで開かれた。
日本では、2013年4月に猪瀬直樹都知事(当時)が「イスラム諸国はけんかばかり」と発言してイスラム諸国の反発を招いた。
7月には東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発の汚染水漏れが海外に伝わった。
このような状況下で「ブラックタイディングス社」代表のイアン・タン氏が招致委員会に売り込みをかけてきたという。
2013年8月にモスクワで陸上世界選手権が開催され、陸上関係者を中心にIOC委員が集まる。
招致委員会は電通に照会をかけ、タン氏が2015年北京世界選手権招致で実績があることを確認してタン氏のブラック社と契約を締結したということである。
JOCはコンサルティング会社と正規に契約を締結し、資金を支払ったのであれば問題はないとの趣旨の説明を示しているが、この主張は正しくない。
IOC委員は公務員ではないから刑法上の賄賂罪は成立しないという。
だから、招致委員会がIOC総会で東京招致を決定するため、買収工作を行っても問題はないという主張なのか。
あるいは、仮に買収工作があったとしても、買収を実行したのはコンサルティング会社であって、コンサルティング会社に対して「招致実現に向けての各種対応」を依頼した招致委員会には責任がないと主張しているのか。
現段階では詳細が明かではないが、問題の本質はそんなところにはない。
毎日新聞記事によると、2020年東京招致活動総経費は
88億4900万円
であり、このなかの
40億9800万円が国際招致活動費用、
7億8600万円が海外コンサルタント費用
である。
問題は、この招致活動の原資に、
東京都の負担金34億5600万円が含まれていることである。
招致活動の総経費の負担は、民間からの寄付や協賛金を集めていた招致委員会が53億9300万円、東京都が34億5600万円負担した。
ただし、会計処理上、海外コンサルタント費用は、東京都の負担金ではなく、招致委の経費負担分から支出されたという。
しかしながら、これは詭弁である。
2020年東京五輪招致活動に対して東京都の資金負担があり、その招致活動のなかで、仮に買収工作があったということなら、それは税金が買収工作に用いられたという理解が正当である。
「普通の支出」と「汚れた支出」があり、費用負担に「東京都」と「民間資金」があり、東京都の負担した資金は「普通の支出」にだけ充てられて、東京都の負担金は、「汚れた支出」には充てられていない、と言っても通用しない。
東京五輪の招致活動に税金が投入されており、
その税金を財源の一部とする招致活動費から、買収工作資金が支出された、ということになる。
まずは、買収工作があったのか無かったのか。
フランス検察当局の捜査から、この事実を明らかにする必要がある。
仮に「買収工作」があった場合、招致委が具体的に買収工作を確認していたのかどうかは重要でない。
「買収工作」のような「裏金的な資金提供」などの可能性がないのに、ペーパーカンパニーに近いコンサルタント会社への2億円を超す資金提供は説明不能であるからだ。
その説明が可能であるなら、直ちに説明責任を果たすべきである。
東京五輪の費用は、この立候補の段階で7340億円とされていたが、五輪組織委の森喜朗会長は昨年7月に「2兆円を超すかもしれない」と述べた。
そして、拡大する五輪開催費用に血税が投入されるのである。
五輪を推進しているのは、五輪で甘い汁を吸おうとする吸血勢力だけである。
その中核にマスメディアが位置し、マスメディアは、自分たちの利益、利権のために、
「五輪招致に国民も賛成」
という、事実無根の話をでっち上げている。
五輪招致のために買収工作を行い、その費用の一部が税金で賄われているということになると、
五輪開催地を決定する権限を有する人物の私腹を肥やすことに血税を注ぎ込むということになる。
こんなことに同意する主権者は皆無だろう。
五輪招致費用には税金が投入されている。
その費用から「買収工作資金」が支払われることを、日本の納税者は同意しない。
コンサルタント会社に支払われた資金が「買収工作」に用いられたことが判明する場合には、その時点で、東京五輪開催返上を決定しなければならない。
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