安倍首相のこじつけリーマン級危機説に異論噴出
伊勢志摩サミットで積極財政の合意を取り付けようとした安倍首相の目論見は失敗に終わる見通しである。
そもそも、緊縮財政を実行している日本が、積極財政を提唱していることが喜劇である。
安倍首相は今日から始まったG7サミットで、現在の経済状況が
リーマンショック後の経済状況と同等であることを訴えたが、
参加者から「危機」の表現は強すぎるとの批判を受けた。
安倍首相は、
原油などの商品価格の下落率がリーマンショック前後と同等になっている、
新興国・途上国の投資伸び率がリーマンショック後と同等になっている、
新興国等への資金流入がリーマンショック後と同等になっていること
などを根拠に、現在の政界経済が
リーマンショック時の危機に匹敵するものであると訴えたようだ。
しかし、これは安倍首相が得意とする
「こじつけの論理」
でしかない。客観的な正当性を欠いている。
ものごとの、ある側面だけを針小棒大に捉えて、自分に都合の良い解釈を示すのが「安倍流」だが、他のG7首脳には通用しないだろう。
経済全体の体温とも言える株価の推移を見ると、
NYダウはリーマンショック後の安値
6500ドル水準から1万8000ドル水準へと2.8倍の水準に大暴騰している。
ドイツの株価もリーマンショック後の安値に対して2.8倍の水準にある。
英国株価も1.8倍、日本株価も2.4倍の水準だ。
あまりにも不自然な言動を繰り返すと、世界から嘲笑を浴びるだけになることを自覚するべきだろう。
2014年から2016年にかけて中国株価が乱高下し、他方、原油価格が急落したことは重要事実で、このために世界経済が影響を受けていることは事実だが、これとリーマンショック=サブプライム金融危機を同列に扱うことは適正でない。
安倍首相が
「リーマンショック前後の経済危機と同等の経済危機」
をこじつけで強弁したのは、参院選を控えて消費税再増税再延期を打ち出さざるを得ないためであると見られる。
2014年12月総選挙の直前にあたる同年11月18日、安倍首相は消費税再増税の18カ月延期を表明した。
その際に、
「来年10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。
再び延期することはない。
ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。」
「平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします。
3年間、3本の矢をさらに前に進めることにより、必ずやその経済状況をつくり出すことができる。
私はそう決意しています。」
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2014/1118kaiken.html
(動画の7分48秒以降の部分)
と述べた。
「消費税再増税の再延期はない」と断言している。
その消費税再増税を再延期するというのだから、追及されるのは当然のことだ。
この問題をクリアするため、現在の世界経済が「リーマンショック前後の経済危機に匹敵する」という「作り話」をでっち上げようとしているわけだ。
サミット後、安倍首相は消費税再増税再延期を打ち出し、参院選に臨むものと見られる。
衆院選については、先送りして2016年から2018年までの好機を見定める方向に傾いていると思われるが、安倍政権の政局時計の歯車は明らかに狂い始めている。
サミットでは日米同盟の強化をアピールする予定であったが、沖縄での米軍関係者による卑劣で凶悪な事件が表面化して、同盟そのものの矛盾が表面化することになった。
オバマ大統領が広島を訪問することが目玉となったが、
「謝罪なき広島訪問」
は広島を侮辱するものである。
広島は物見遊山の観光地ではないのだ。
沖縄の事件についてもオバマ大統領は謝罪すらしていない。
米軍のトップに大統領が位置し、その配下の米軍関係者による凶悪犯罪について、トップが謝罪するのは当然のことだ。
植民地での凶悪犯罪については謝罪する必要がないと判断しているのだろう。
参院選で安倍政権与党が敗北すれば、衆院選に向けて野党共闘が加速する。
株価は安倍政権発足後から2015年6月までが上り坂。
2015年6月からは下り坂に転じているが、この下り坂の先には
「まさか」
が控えているようだ。
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