7月10日衆参ダブル選強行に突き進む安倍首相
7月10日に投開票日を迎えると見込まれている参議院議員通常選挙。
熊本県で大地震が発生し、衆参ダブル選の可能性はなくなったとの報道が相次いだが、確証はない。
安倍晋三氏の行動を常識の判断で捉えることはできない。
国民のことよりも、常に自分のことが先に来る。
自分の利益になるなら、国民の不利益など考慮することはない。
だから、衆参ダブル選の可能性を否定し切れない。
4月24日の衆議院議員補欠選挙では、北海道5区で自公は辛勝した。
共産党を含む野党連合の力の強さが確認された。
安倍自民党は野党連合の強さを改めて実感したはずである。
このことが、逆に衆参ダブル選の背中を押すことになる側面がある。
参院選と衆院選を別々に実施する場合、安倍政権に対峙する野党勢力は、それぞれの選挙において、反安倍政治の主張を鮮明に示すだろう。
まずは参院選が勝負になる。
野党は32ある1人区での候補者一本化に力を注ぐことになる。
そして、主権者に対しても野党連合、野党と市民の連合を広く訴えることになる。
北海道5区の選挙が示した現実は、自公と野党連合の実力が伯仲しているという現実だった。
投票率が5割で、自公と野党連合は、基本的に互角だ。
主権者の25%の支持を得ている。これが基礎票になる。
投票率が上昇すると、野党連合に有利に働く。
北海道5区の選挙では、無党派層の約7割が野党連合に投票したと見られている。
投票率が10%上昇する場合、7%が野党連合に、3%が自公に向かうことになる。
25+7>25+3
これが、野党連合勝利の方程式である。
参院選が単独で実施される場合、野党連合に向けての各野党の行動はより強固になる可能性が高い。
これは、安倍政権にとっての脅威である。
この、野党連合の結束を崩すための方策が衆参ダブル選なのだ。
衆議院選挙の選挙区における野党候補一本化の準備はまだ進んでいない。
つまり、衆議院総選挙における野党候補一本化の動きが本格化する前に、総選挙を実施することが、安倍政権にとって有利であるとの判断が持たれている可能性がある。
そして、もうひとつ、重要な要因がある。
それが消費税再増税についての判断だ。
消費税再増税を再延期する場合、安倍政権はこれを衆院解散の大義名分に用いる可能性が高い。
「絶対に再延期はないと断言した」
消費税率の再引上げを再延期する可能性が高い。
このこと自体、政策の失敗を物語る証左そのものであるが、安倍首相は居直り強盗のごとく、これを宣伝材料にして総選挙を実施する可能性がある。
安倍首相に良識と常識は通用しないのだ。
消費税再増税の再延期は年内に決定することが必要である。
7月に参院選を実施して、秋以降に消費税再増税の再延期を決めて総選挙を実施するという可能性はあるが、この場合、参院選で野党連合が消費税再増税問題を争点化すると安倍政権としては戦いにくい。
また、参院選と衆院選が別々に実施される場合、野党連合がそれぞれの選挙で協議を重ねて共闘体制を強化する可能性も高くなる。
こうした点を考慮すると、安倍首相が7月10日に衆参ダブル選に突き進む可能性を否定できない。
各種報道で「衆参ダブル選の可能性は消えた」との観測が広がっていること自体が、逆に警戒を要する環境なのである。
「安倍政治を許さない!」陣営は、7月10日の衆参ダブル選の可能性を排除せずに準備を進めるべきである。
参院選では、まずは32の1人区の候補者一本化に注力するべきだ。
衆院選では野党候補一本化が十分に実現できない選挙区が発生するだろう。
その際に重要になるのは、主権者によるオールジャパン候補の選定である。
原発、憲法、TPP、辺野古、格差の主要問題についての候補者公約を集約し、主権者が支援できる候補を、一選挙区一候補者に絞り込むのだ。
主権者が求める政策を掲げる候補者を一人に絞り込むことができれば、主権者の投票をこの候補者に集中させればよい。
公約で主権者と相容れぬ候補者が乱立すれば、それらの候補者で票を食い合うことになるから、主権者が支持する候補者の当選可能性が高まる。
「主権者によるオールジャパン候補一本化」の行動が極めて重要な意味を持つことになるだろう。
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