まずは小異を残して大同につく野党共闘の実現を
参院選が近づくなかで野党勢力の対応が注目される。
しかし、日本政治を変革するための道筋ははっきり見えていない。
日本政治における与野党対立のあり方についての考え方が明確に整理されていないからである。
二つの考え方がある。
第一は、与野党対立を政策による対立ではなく、政権交代可能な状況を作るという意味での対立とするという考え方である。
政策に対する対立が鮮明ではなく、類似した二つの政治勢力が存在し、比較的頻繁に政権交代が生まれる状況を作るというものだ。
主権者の政策に関する対立が大きくはなく、政策対立が、いわばニュアンスの違いに留まるようなケースでは、このような二大政党体制を構築して、ときどき政権交代を実現させれば良いということになる。
米国の2大政党体制がその類型であるとも言える。
これに対して、主要な政策において、主権者の意見が大きく二つに割れている状況下では、この政策対立を軸に、与野党の分化が生じるのが適正である。
英国の保守党と労働党との対立、あるいはフランスの保守とリベラルの対立などは、こちらの類型に属すると言えるだろう。
問題は日本である。
野党第一党の民主党は維新との合流を決めた。
野党勢力の結集という動きが本格化し始めている。
参院選を前にして、安倍一強体制を打破するためには、野党の結集は一定の合理性を持つ。
安倍政権の暴走に歯止めをかけて、憲法の本格的な破壊が実行されることを防ぐことを現時点での最優先課題に位置付けなければならないからだ。
そのためには、本年夏に実施される参院選で何としても自公与党勢力を後退させねばならない。
共産党はこの点を重視して、各選挙区に候補者を擁立するという従来の戦術を抜本的に修正した。
1人区での候補者擁立を取り下げ、野党共闘によって自公勢力の退歩を実現させる方向に全面的な協力姿勢を示している。
これに他の野党勢力が呼応しないことは、自公勢力への加担ということになる。
小異を残して大同につき、野党共闘を成立させることは、安倍政治を許さないと考える主権者の意思に沿う行動である。
しかしながら、野党の中心に位置する民主党と維新の党の政策方針を見ると、そこには大きな矛盾が内包されていることが分かる。
原発稼働、安保法制、TPP、辺野古基地などの問題について、自公の与党勢力と類似した政策方針を掲げる議員が多数存在するからである。
本来は、自公と類似した政策方針を掲げる議員は自公の側に移動して、自公政権と政策的に対立する方針を掲げる勢力が野党勢力として大同団結することが望ましい。
日本においては、
原発、憲法、TPP、基地、格差
という国の根幹に関わる重要問題について、主権者の考え方が大きく二分されている。
この状況を踏まえるなら、この政策の対立を軸に、二大勢力が分化することが政治を格段に分かりやすいものにすることになるだろう。
主権者は政策を基軸に、選挙での投票行動を通じて主権者が求める政権を樹立することができる。
オールジャパン平和と共生
は、この理念を提示し、その実現を目指す。
政策を基軸に党派を超えて主権者が主導して日本政治を変えることを目指すのである。
しかし、いま直ちにその実現を現実化させることは困難である。
政党分化の状況がその実現を促す体制になっていないからである。
民主党や維新は、いわば相反する政策主張がひとつの政党のなかでごった煮の状況にあり、主権者はこの党に特定の政策の実現を託せない状況になってしまっている。
いずれは、政策路線の対立を軸にこの勢力が二分されることが望ましいが、その動きは顕在化していない。
他方で、自公与党勢力を退歩させなければならないという喫緊の課題がある。
したがって、ここは、二つの段階に分けて、日本政治潮流の転換を図る必要がある。
まずは、政党の政策純化という課題を横に置いてでも野党勢力の結集を図ることが必要である。
そのための動きが民主と維新のなかからも生まれ始めている。
民主と維新が合流し、そのうえで生活と社民も合流するという大同団結の図式が見え始めているのだ。
合流してより大きな勢力になる野党が共産党と選挙協力を実施して選挙に臨むなら、大きな変化を引き起こすことができるはずだ。
政治の潮流を転換することは必ず可能になる。
最終的には政策を軸にした政党分化が進み、主権者が政権を選択することによって、望ましい政策が実現される状況を生みだす必要がある。
政治潮流を変えることはできるとの信念を持って、段階的に行動を進展させてゆかねばならない。
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