貧困大国日本悪魔の税制消費税再増税を阻止
消費税再増税の再先送りの可能性が濃厚になっている。
世界的に格差問題が重要性を増しているが、その中核国のひとつが日本である。
相対的貧困率という指標がある。
世帯1人あたりの可処分所得について、それを低い方から並べた時に、人数にしてちょうど真ん中にあたる人を基準として、所得がその半分に満たない人の割合のことをいう。
この比率が日本全体で16.1%、子供のいる世帯では16.3%になっている。
国際比較上は、2009年のユニセフ・イノチェンティ研究所の発表では、1人当たりGDPが大きい先進20か国のなかで日本はワースト4にランクされるとのことだ。
とりわけ問題は、1人親世帯の貧困率である。
厚生労働省の2012年発表では、ひとり親世帯の貧困率は54.6%。に達している。
OECD報告でも、日本のひとり親世帯の相対的貧困率はOECD加盟33ヵ国中、何とナンバーワン(ワーストワン)になっている。
かつて日本は一億総中流社会とも言われたが、いまや、世界有数の格差大国になっている。
格差拡大の大きな要因は新自由主義の経済政策である。
グローバルな巨大資本の利益拡大を優先する経済政策である。
その中核が労働規制の緩和である。
企業が利益を拡大するためにもっとも力を注いでいるのが労働コストの削減だ。
正規労働を減らし、非正規労働にシフトさせることによって、労働コストの大幅な引き下げが可能になる。
2001年に樹立された小泉純一郎政権の時代から、この新自由主義経済政策が猛威を奮い始めた。
その路線を継承し、強化しているのが第二次安倍晋三政権である。
安倍政権が掲げる「成長戦略」とは、大資本の利益を「成長」させる戦略である。
その柱とも言えるのが労働規制の緩和だ。
派遣労働法の改正は企業による正規労働から非正規労働へのシフトをさらに後押しするものである。
国税庁調査では正規労働者と非正規労働者との間に埋めようのない格差が広がっている実態が明らかにされている。
正規労働者の平均年収が478万円であるのに対して非正規労働者の平均年収は170万円である。
非正規労働者が労働者全体の4割を占めるに至っている。
フルタイムで働いても年収が200万円に届かない労働者が1000万人を超えている。
このような状況を作り出しておいて、出生率を高めようなどと唱えるのは、西に進みながら、東を目指そうと号令をかけているのに等しい。
こうした新自由主義経済政策路線の最終兵器がTPPである。
TPPに入ると、ISDS条項によって、日本の諸制度の米国化が強制されることになる。
日本は大資本の収奪の場と化すことになるだろう。
冒頭の話題に戻るが、日本の格差拡大を強化している大きな要因に税制の改変がある。
25年前、日本の税収構造は次のものだった。
所得税 27兆円
法人税 19兆円
消費税 3兆円
これが2015年度には次のように変質した。
所得税 16兆円
法人税 11兆円
消費税 17兆円
所得税は平均世帯で年収325万円までは無税であるのに対して、高額所得者は55%の税率(住民税を含む)を課せられる。
これに対して、消費税は、所得ゼロの国民からも、貧困者からも、超富裕者と同じ税率で税金をむしり取る。
「悪魔の税制」と言って差し支えないだろう。
零細事業者は消費税を価格に転嫁できないから、本来ならば納税義務ゼロであるのにもかかわらず、多額の消費税負担を転嫁させられてしまう。
2017年4月に消費税率を10%に引き上げることはあり得ないことだが、安倍政権がその方向に急激に接近を図っている。
続きは本日の
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