上海G20声明政策総動員の有言実行が鍵
中国の上海で2月26‐17日、G20財務相・中央銀行総裁会議が開催された。
27日に発表された声明には、
均衡の取れた成長や市場の安定などG20の経済目標の達成に向けて
「個別および集団的に、金融、財政、構造上のあらゆる政策手段を活用する」
と明記された。
金融、財政、構造上の政策手段を総動員する
方針が明記されたのである。
しかしながら、具体策は明記されなかった。
総論賛成だが、各論は明示できなかったのが実態である。
G20会合を受けた週明けの東京市場では、日経平均株価が寄り付き後、250年高まで上昇したが、大引けは161円安と沈んだ。
G20での合意に切実感がないことが影響したと考えられる。
『金利・為替・株価特報』2016年2月29日号
http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html
タイトルは、
「アベノミクス失政明白で政策は抜本修正へ」
である。
アベノミクスは
金融緩和、財政出動、成長戦略、の三つを提示したものである。
そのアベノミクスの失敗が明らかになり、政策の抜本転換が強く求められているのである。
アベノミクスという固有名詞が使われているが、その内容は目新しいものではない。
マクロ経済政策において、
財政金融政策の同時発動
を示しただけなのである。
成長戦略は、大資本の利益拡大を追求するものだが、短期的に大きな変化を引き起こすものではない。
したがって、中短期の日本経済に影響を与えるのは財政・金融のマクロ経済政策であり、この点に関してアベノミクスは当初、金融緩和・財政出動のポリシーミックスを示していた。
金融緩和政策はインフレ誘導を目指すものであったが、結局、インフレ誘導は成功しなかった。
日本の消費者物価上昇率は現在、前年同月比ゼロの水準で推移している。
「インフレ誘導は可能である」
と主張した論者は、現実のデータの前に、敗北を認めるほかはない。
日銀副総裁の岩田規久男氏は、2年度に公約を実現できなければ、辞任して責任を明らかにすると国会で明言したのだから、まずは、職を辞してけじめをつけるべきである。
インフレ誘導派は量的金融緩和政策によってインフレ率を上昇させることが可能であると主張した。
しかし、短期金融市場残高をいくら積上げたところで、金融機関の与信活動が活発化しなければマネーストック=マネーサプライは増加しない。
マネーストックの増加なくして、インフレ率の上昇は生じないのである。
黒田東彦氏が1月29日に、突然のマイナス金利導入を打ち出した最大の理由は、量的金融緩和政策ではインフレ誘導ができないことを認識したことにある。
日銀執行部は確約した公約を実現できず、その責任を明らかにする前に、インフレ誘導に向けての手段を変えた。
こうした責任回避、無責任体質が日銀に対する信認をさらに低下させることになる。
しかし、あまりにも準備不足であった。
日銀政策決定会合での評決では、5対4の僅差でのマイナス金利導入決定になったが、賛成票5票は、安倍政権が起用した政策決定会合メンバーだけだった。
安倍政権発足以前に起用されたメンバーは全員が反対票を投じた。
政策論議が十分に行われず、「数の力」で決定を押し通す姿勢は、日銀の政策決定プロセスとして大きな問題を残すものになった。
政策論議の的がずれているのだ。
いま必要なことは、財政政策の路線転換である。
超緊縮の財政政策が日本経済の悪化を加速させている。
この本質に気付かず、この本質を是正する措置が必要であるのに、そこに対処しない。
これが今回G20会合における日本政府の対応のまずさである。
機動的、積極的な対応が求められているが、安倍政権の対応は遅すぎる。
続きは本日の
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