軽減税率論じる前に消費税増税中止を論じるべき
国会論議が低調だ。
理由は安倍政権を脅かす大きな存在感のある政党が不在であるからだ。
共産党は安倍政権に対峙する政策路線を鮮明に提示している。
「たしかな野党」
と呼んでよいだろう。
ほかに、生活、社民も基本的には明確な政策方針を示している。
しかし、数の上で多数である民主と維新が迷走しているのだ。
自公と対峙する考えを持たないなら、いっそのこと、自公と合流すればよい。
そのような状況にあることが、この国の政治の行く末を暗澹たるものにしている。
安倍政権に対峙する政策を明示する、主権者多数の支持を受ける、国民政党の樹立が強く求められている。
現在の選挙制度を踏まえるなら、政策を軸に、主権者勢力が結集することが急務である。
民主や維新の対応に問題があることを指摘したが、これらの政党に所属するすべての議員、議員候補者が自公補完勢力というわけではない。
民主や維新に所属はしているが、自公政治に対峙する政策を明示する政治家も存在する。
民主や維新を解体して、真の主権者勢力の結集を図ることが求められている。
国会論戦で取り上げられたテーマに軽減税率問題がある。
民主党の玉木議員は軽減税率が金持ち優遇であると批判した。
この批判は曲者である。
私は軽減税率に賛成しない。
軽減税率は簡素とするべき税制を極めて複雑にする。
軽減される品目と軽減されない品目の線引きは困難である。
困難であるからこそ、この線引きが利権になる。
安倍政権が軽減税率導入を強行しようとしているのは、公明党が軽減税率を要求しているからだ。
安倍政権は公明党の協力なしに政権を維持できない。
自民党国会議員が多数誕生したが、そのほとんどが公明党、創価学会の支援を受けている。
この支援なくして当選を勝ち得る議員は極めて少数である。
こうした政治的事情で安倍政権は軽減税率導入を強行しようとしている。
この軽減税率について、民主党の玉木議員は金持ち優遇であるとの批判を展開している。
税収減少金額1兆円の多くが高所得者層の納税金額の減少に充当されてしまうことを指摘している。
しかし、この指摘はナンセンスである。
消費税の逆進性を論じるとき、問題にされているのは、
納税金額
ではなく
納税負担率
なのだ。
所得税との比較で考えればこの点が明確になる。
所得税に対して消費税が「逆進的」であると言われる理由は、
所得税率が累進税率であるのに対して、
消費税率は一律であるからだ。
所得税の場合、夫婦子二人(大学生)で働き手が一人である世帯の場合、働き手の年間収入額が325万円までは納税額ゼロである。
これ以上の収入があると納税の義務が発生するが、課税所得にかかる税率は所得の多寡によって異なる。
最も収入の多い人は、所得の45%を税金で納めなければならない。
地方税である住民税を加えると55%になる。
所得が多くなるほど税率が高くなる制度を累進税率制度と呼ぶ。
これは、税の負担について、
「応能課税」
という考え方が取られているからである。
「能力に応じた課税」を行っているのである。
所得の多い人に多額の税金を負担してもらい、これを財源にして、各種の社会保障支出などを行う。
これが所得の少ない人の生活を支える財源になる。
これが所得再分配制度である。
消費税でも所得が多い人は消費も多いのが普通だから、消費税負担額は大きくなる。
しかし、その負担の大きさは、所得税の比ではない。
消費税なら税率は8%や10%だが、所得税なら、最高で55%の課税となるからだ。
したがって、玉木議員が「逆進性」を批判するのなら、批判するべきは、軽減税率ではなく、消費税制度そのものでなければおかしいのだ。
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