アベノミクスの不都合な真実
安倍政権の経済政策はアベノミクスと表現されているが、アベノリスク、アホノミクス、アベコベノミクスなどの呼称も併せて用いられている。
権力にすり寄る御用マスメディアが、アベノミクスが成功しているかのように報道するから、市民が実態と真実を把握できない。
アベノミクスを客観的に評価すると、アベノミクスが失敗していることは明白であり、また、極めて有害な内容を含んでいることも明らかである。
アベノミクスが失敗であると言えるのは、アベノミクスとして提示された当初の課題がまったく解決されていないからである。
アベノミクスは当初、三つの政策を掲げた。
三本の矢などと呼ばれている。
金融緩和強化
財政政策発動
成長戦略
である。
金融緩和強化は、インフレ誘導を実現するための方策として提示されたものである。
安倍政権は、この方針を明示して日銀人事に介入した。
政治が日銀人事に介入することは、本来的に望ましいことではない。
日銀幹部人事は5年に1度行われるが、たまたまそのときに政権の座にある者が、個人的な趣味嗜好で日銀人事を支配すると、金融政策運営の安定性、継続性が阻害される。
この問題は横に措くとして、安倍政権は日銀人事にまで介入して、インフレ誘導の政策を推進することを宣言した。
しかし、インフレは実現せず、同時に、インフレ誘導政策が間違った政策であることが明らかになった。
2015年9月の消費者物価上昇率は前年比0.0%で、インフレ率を前年比2%以上にするという公約はまったく実現しなかった。
ただし、これは国民にとっては不幸中の幸いだった。
インフレ率が上昇していた時期は、インフレの分だけ実質所得が減少した。
主権者は、より深刻な状況に追い込まれていたのだ。
インフレ誘導が失敗して、インフレ率がゼロに回帰したために、労働者の賃金伸び率が、ようやくプラスに回帰しつつある。
「アベノミクスが失敗して国民は助かった」
というのが実情だ。
インフレ誘導は企業に利益を付与する政策であって、労働者、消費者、生活者には不利益を付与する政策なのである。
財政政策は、2013年は補正予算で日本経済を支える方向に進んだが、2014年は消費税大増税で、日本経済を転落させる方向に進んだ。
日本経済は2014年に不況に陥り、2015年後半に再び不況に転落している。
日本経済を浮上させるために財政政策を活用するという方針は、第2次安倍政権の発足当初しか、実行されなかったのだ。
第三の矢とされる成長戦略は、まだ本格的には動いていないが、その基本方向が間違っている。
「成長」は大企業利益の「成長」であって、国民所得の「成長」でもないし、国民生活の「成長」でもない。
企業の利益だけを「成長」させること。
これが「成長戦略」の核心である。
だから、「成長戦略」が実行されることは、国民にとっては不幸なことなのだ。
アベノミクスによってもたらされた
『日本経済の真実』
『不都合な真実』
を象徴しているのが、
株価の上昇とGDPの停滞
である。
アベノミクスが始動した2012年11月以降、日本株価は大幅に上昇した。
その最大の理由は、企業収益の拡大である。
他方、日本のGDPはまったく成長していない。
「成長戦略」を看板に掲げているのに、肝心かなめのGDPが成長していない。
2015年も4-6月期と7-9月期が連続してマイナス成長になった。米国流の定義に当てはめれば、景気後退に転落している。
GDPが減っているのに、企業収益が拡大しているということは、労働者の所得が大幅に減っているということを意味している。
主権者である国民、生活者、消費者、労働者の所得が圧縮され、その圧縮された部分が大企業の利益に付け替えられているのである。
この真実を知ったときに、どれだけの国民、労働者、主権者が、
「それでも安倍政権を支持する」
と述べるだろうか。
主権者は、この日本経済の真実を知ったうえでアベノミクスの評価をしなければならない。
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