論議すべきは軽減税率ではなく増税中止
軽減税率の報道が大々的に展開されているが、こんなことで主権者は問題の本質を見誤ってはならない。
あるべき税制を考えるなら、過去25年の日本の税収構造の変化を踏まえることが、まず優先されるべきだ。
いま論議されていることは、現在の8%の消費税率を2017年4月に10%に引き上げる際に、一部品目に限って、税率を8%に据え置くことである。
消費税の逆進性を緩和する
などの言葉が使われるが、問題の本質からはまったくずれた論議である。
逆進性を緩和する、
消費税の問題点を是正する、
ということであるなら、
生活必需品の非課税
税率ゼロ
を検討するべきだろう。
8%に据え置くか、10%に引き上げるか、
などという話は、枝葉末節の論議だ。
それすら認めようとしない財務省の姿勢は言語道断を言わざるを得ない。
もともと、消費税を5%以上に引き上げる際に、
消費税を引き上げる前に、官僚利権を断ち切る
という話があった。
その話について、何も進展がないのである。
財務省は消費税増税について提案するなら、その前に、財務省の天下り利権の縮小について、具体的な提案を示すべきである。
財務省の天下り利権の氷山の一角である、一部機関への天下りを根絶すること。
最低限でも、これを実行する必要がある。
氷山の一角の一部機関への天下り
とは、
日本銀行、日本取引所
日本政策投資銀行、国際協力銀行、日本政策金融公庫
日本たばこ、日本郵政、
横浜銀行、西日本シティ銀行、
への天下りを、まずは全面廃止するべきだ。
「我が身を切る改革」
をやってから、消費税増税の負担を求める、というのが、最低限の条件であるだろう。
この点に頬かむりをして、消費税大増税を規定路線であるかのように振る舞う財務省の基本姿勢を、主権者国民が糾弾する必要がある。
25年前の税収構造はこのようなものだった。
所得税 27兆円(91年度)
法人税 19兆円(89年度)
消費税 3兆円(89年度)
だった。
これが2015年度は
所得税 16兆円
法人税 11兆円
消費税 17兆円
になっている。
富裕者の負担を徹底的に軽くして、中低所得者の負担を際限なく重くしているのである。
そこで出てくる論議が軽減税率だが、所得の少ない人々の生活を真剣に考えるなら、
生活必需品非課税
の検討以外にあり得ない。
メディアが、
「10%を8%にするなどという些末な論議をするのではなく、
生活必需品は無税、非課税にすることなどを検討するべきだ」
との報道を大々的に展開するのなら分かる。
それを、
「軽減税率の適用範囲を生鮮食料品にするか、加工食品や外食にまで広げるのかについて、自民党と公明党の合意がなかなか成立しない」
などという、些末な論議を延々と繰り広げている。
そもそも、いま論じるべきテーマは、2017年4月の消費税10%の中止もしくは延期である。
法人税が減税に次ぐ減税、消費税が増税に次ぐ増税、ということを、主権者は絶対に容認できないはずだからだ。
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