不況を景気回復と言い換える大本営NHK日曜討論
12月6日のNHKが『日曜討論』で経済問題を取り扱った。
NHKの偏向ぶりは目を覆うばかりである。
日本の四半期GDP成長率は本年4-6月期、7-9月期と2四半期連続でマイナス成長になった。
米国の定義では、リセッション=景気後退である。
日本の定義でも、常識で判断すれば、景気後退である。
それをNHKは
「緩やかな回復が続く日本経済」
と報道する。
第二次大戦で連戦連敗の日本軍について、連戦連勝と報じた大本営と変わらない。
圧巻はTPPだ。
甘利経産相を含む5名が出演して、全員がTPP賛成論者なのだ。
NHKは事前に出演候補者に詳細なヒアリングを実施する。
誰がどのような考え方を有しているのかを完全に把握する。
その上で、出演者を決定する。
この資料に基づいて番組の進行台本を作成し、質問を振り当てる。
したがって、その質問に出演者がどのような発言をするのかを事前に把握したうえで番組を構成する。
国会議員が出演する場合には、このような台本作りができないので、生放送の場合には、NHKにとって不都合な発言が飛び出す。
山本太郎議員などの発言がその典型例である。
事前にヒアリングを行い、NHKが創作したい番組に適する出演者を選ぶ。
完全な「やらせ番組」なのである。
出演者に「やらせる」のではなく、
NHKが仕組む方向に沿う発言を行う出演者を配置するのである。
これも「やらせ」の一種である。
放送法は、第4条に次の定めを置く。
(国内放送等の放送番組の編集等)
第4条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
日本経済について討論するというのなら、
日本経済の現状について異なる意見を持つ論者を出演させるべきである。
消費税について異なる意見を持つ論者を出演させるべきである。
また、TPPについて論じるなら、TPPについて異なる意見を持つ論者を出演させるべきである。
アベノミクス万歳、消費税増税万歳、TPP万歳を演出する番組なら、
政府広報番組
政府礼賛番組
と断り書きをつけるべきである。
甘利経済相は、実質賃金がプラスに転じたと発言したが、その最大の理由はインフレ率がゼロにまで低下したことだ。
アベノミクスは第一の矢で金融緩和によるインフレ誘導を掲げていた。
これが失敗したから、ようやく実質賃金がプラスになったのであり、アベノミクスが失敗したことを認めたに過ぎない。
企業利益が増加しても労働者の賃金は増えない。
安倍首相が経営者に賃上げを要請していると言うが、そんなことで賃金は増えない。
とりわけ問題になっているのは中低所得者の所得低迷である。
労働者の3割しか大企業には務めていない。その所得の高い大企業労働者の所得を伸ばすことが求められているのではない。
TPPの最大の問題であるISD条項について、何も触れないのはNHKが報道責任を放棄していることの表れだ。
同一労働同一賃金も、言葉を唱えれば実現するというものでない。
最低賃金の時給1000円を、罰則規定付きで法定化するなら話は別だ。
「そうなるといいね」と発言したところで、何の意味もない。
討論番組に意味を持たせるには、
「意見が対立している問題について」、
「できるだけ多くの角度から論点を明らかにする」
論者を出演させることが必要不可欠なのだ。
河野氏は自説を淡々と述べたが、NHKが河野氏を出演させた大きな理由は、河野氏がTPP賛成だからである。
NHKは政府に対峙する強力な論者を絶対に出演させない。
公共の電波の不正な利用を放送受信者は抗議するべきである。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
のご購読もよろしくお願いいたします。
上記メルマガを初めてご購読される場合、
2ヶ月以上継続して購読されますと、最初の一ヶ月分が無料になりますので、ぜひこの機会にメルマガのご購読もご検討賜りますようお願い申し上げます。
http://foomii.com/files/information/readfree.html
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第1310号「税制・TPP・労働規制改変で弱肉強食熱烈推進」
でご購読下さい。
『アベノリスク』(講談社)
の動画配信はこちら
著書と合わせてせて是非ご高覧下さい。
2011年10月1日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:525円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。
創刊月2011年10-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。
|
安保法制の落とし穴 価格:1,512円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本の奈落 (TRI REPORT CY2015) 価格:1,728円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本の真実 安倍政権に危うさを感じる人のための十一章 価格:1,620円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
日本経済撃墜 -恐怖の政策逆噴射- 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
20人の識者がみた「小沢事件」の真実―捜査権力とメディアの共犯関係を問う! 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:日本文芸社 |
オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下 価格:2,100円 通常配送無料 出版社:早川書房 |
アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪 価格:1,575円 通常配送無料 出版社:講談社 |
鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ) 価格:1,470円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く 価格:1,785円 通常配送無料 |
消費税増税 「乱」は終わらない 価格:1,470円 通常配送無料 |
国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る 価格:1,470円 通常配送無料 |
![]() |
消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す! 価格:1,000円 通常配送無料 |
日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の独立 価格:1,800円 通常配送無料 |
売国者たちの末路 価格:1,680円 通常配送無料 |
知られざる真実―勾留地にて― 価格:1,890円 通常配送無料 |
消費税のカラクリ 価格:756円 通常配送無料 出版社:講談社 |
href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4062880598/ref=as_li_ss_il?ie=UTF8&camp=247&creative=7399&creativeASIN=4062880598&linkCode=as2&tag=miyokotk2011-22" target="_blank">amazonで詳細を確認する
戦後史の正体 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 価格:798円 通常配送無料 |
![]() |
日米同盟の正体~迷走する安全保障 価格:798円 通常配送無料 |
検察崩壊 失われた正義 価格:1,365円 通常配送無料 |
検察の罠 価格:1,575円 通常配送無料 |
![]() |
「主権者」は誰か――原発事故から考える 価格:525円 通常配送無料 |
![]() |
原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:鹿砦社 |
« 「のうか」でなく「ぶんか」を守るための農業保護 | トップページ | 2016参院選まずは自公議席60以下に抑え込む »
「NHK問題」カテゴリの記事
- 戦争礼賛者重用する犬HK(2023.08.15)
- 目も当てられぬNHK報道の劣化(2023.07.20)
- 29万人主権者の負託は重い(2023.02.23)
- 壊される民主主義(2022.01.28)
- 拍車かかる「すがさまのNHK」偏向報道(2021.04.08)
« 「のうか」でなく「ぶんか」を守るための農業保護 | トップページ | 2016参院選まずは自公議席60以下に抑え込む »