翁長知事は辺野古本体工事着工を阻止できるか
沖縄県の翁長雄志氏の知事選公約は
「辺野古に基地を造らせない」
であって、
「辺野古に基地を造らせないふりをする」
ではない。
「辺野古米軍基地建設」
を阻止できるのか否か。
これが問われている。
仲井真弘多前沖縄県知事が、辺野古海岸の埋立申請を承認し、政府がこれに基づいて辺野古基地建設を進めているから、
「辺野古に基地を造らせない」
という公約を実現するのは容易ではない。
翁長知事が
「辺野古に基地を造らせない」
公約を守るには、
最速のスピード
と
最大限の手段活用
が必要不可欠である。
翁長知事は10月13日に埋立承認を取り消したが、
「最速のスピード」
の正反対の
「最遅行のスピード」
である。
とりわけ重要であるのは、辺野古基地建設の本体工事着工に必要な事前協議の協議書を受け取ってからの埋立承認取消であったことだ。
国は沖縄県と事前協議を行わなければ本体工事に着手できない。
したがって、事前協議書が提出される前に埋立承認を取り消し、本体工事着工のために必要な事前協議を実施できない状況を作る必要があった。
しかし、翁長知事は事前協議を受け取るまで、埋立承認を取り消さなかった。
事前協議を受け取り、本体工事着工の条件を整えたと見られるのである。
翁長知事が「辺野古埋立承認」を取り消した10月13日の翌日に、沖縄防衛局は国土交通相に対し「審査請求」と「執行停止の申し立て」を行った。
これに対して行政法研究者有志が23日に連名で、
「政府の行政不服審査制度濫用を憂う」
と題する「反対声明」を発表した。
しかし、安倍政権は10月27日の閣議で、翁長知事による米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先となる同県名護市辺野古沖埋立承認取消に対して、地方自治法による承認の代執行手続き開始を了解した。
また、石井啓一国土交通相は同日、承認取消処分の一時執行停止を決定した。
これを受けて、防衛省は辺野古海岸埋立の本体工事に着手する方針を示している。
「アリの一言」さまブログ
http://blog.goo.ne.jp/satoru-kihara
が、10月24日付記事
「緊急!辺野古取り消し「執行停止」前に「差し止め訴訟」を」
で極めて重要な点を指している。
「安倍政権がやろうとしていることは、政府機関同士の出来レースで、埋立承認取り消しを「執行停止」で無効化し、埋立工事を強行しようとする、まったく言語道断の脱法・違法行為です。
問題は、これに対してどうたたかうかです。
国交相が「執行停止」を決めれば、「承認取り消し」は消滅し、本体工事に着手できるというのが政府の言い分です。
「事前協議」はその本体工事のためのものであり、県がそれを「再開する」ということは、政府の本体工事強行のレールに自ら乗ることにほかなりません。
「県幹部」はこう言っています。
「仮に執行停止が決まった場合、決定は不当だと主張していく。ただ、行政上は承認の効力が復活するのであれば、それに合った対応をする必要がある」(24日付琉球新報)。
「不当だ」とは言い続けるけれど、「承認の効力が復活する」のだからそれに合わせる、つまり安倍政権の本体工事強行に「合った対応をする」というのです。
この翁長県政の方針は、安倍政権への重大な譲歩、いや事実上の工事強行の黙認であり、絶対に容認することはできません。」
「アリの一言」さまブログは、
国交相が「執行停止」を決める前に、沖縄県知事がその「差し止め訴訟」を起こすことが必要で、これを行わなければ、国による本体工事が着工され、工事が進行してしまうことを警告しているのである。
現実に進行していることは、
翁長知事は「辺野古に基地を造らせないふり」を示しているが、
「辺野古に基地を造らせない」公約を実現する行動を示していない、
というものである。
翁長氏の最終的な評価は、あくまでも
「辺野古に基地を造らせない」
公約を実現するのか否か、の一点にかかる。
翁長氏が知事選に際して「埋立承認取消」公約化を拒絶したことに対する批判は、翁長氏の行動が、
「辺野古に基地を造らせないための全力投球ではない」
ことを厳しく指摘するものである。
残念ながら、これまでの事実経過は、この批判があまりにも正鵠を射ていることを証明するものになっている。
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