競技場・エンブレムの次は五輪開催そのものの撤回
多くの人がオリンピック招致に血道を上げてきた理由は
利権
である。
なかには、純粋に、日本でスポーツの祭典を開きたいと思う人もいるだろう。
しかし、オリンピック招致活動を担ってきた主体の大半は、
利権
目当てに活動してきたのである。
その醜い断片が日本の主権者の目のなかに飛び込んできている。
そもそもの胡散臭さは、2013年9月7日の安倍晋三氏のスピーチのなかにあった。
「(福島第1原発の)状況はコントロールされている。
東京にダメージが与えられることは決してない。」
「汚染水の影響は、福島第一原発の港湾内の〇・三平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている
さらに完全に問題のないものにするため抜本解決に向けたプログラムを決定し、着手している。」
2020年の東京オリンピック招致は、このペテンからスタートしている。
「フクシマがコントロールされている」
「汚染水が港湾内で完全にブロックされている」
というのは、
完全なウソ=虚偽=ペテン
である。
フクシマ放射能事故によって、首都圏は深刻に放射能汚染されている。
フクシマの悲劇が表面化するのはこれからである。
オリンピック招致のエネルギーは、
利権漁り
に発している。
オリンピックを開くから競技場を新設する。
オリンピック競技場という名の利権の巣窟に、無数のシロアリが群がった。
その結果が2520億円という建設費だった。
諸外国のオリンピック開催例を見ても、メインスタジアム建設費用はすべて700億円以下に抑えられている。
シロアリの暴走が加速して、主権者の知ることろになった。
建設計画が白紙に戻されたが、再度提示された建設計画では、工費が
1550億円になった。
550億円というなら分かる。
なぜ、1550億円の巨額予算を主権者が粉砕しないのか。
シロアリの数が減っただけで、シロアリに食い荒らされるオリンピックの基本図式は何ひとつ変わっていない。
埼玉にも、横浜にも、巨大スタジアムがあるのだから、これらを利用すればよいのだ。
オリンピックのためだけに、巨大は費用を投入する必要はまったくない。
そもそも、オリンピックを日本で開催する必然性が皆無なのだ。
オリンピックを招致するなら、消費税増税を、向う10年は完全に封印することを宣言するべきだ。
財務省は財政危機を叫び、所得のない人からも冷酷に富裕者と同じ税率で税をむしり取る消費税増税に突き進んでいる。
オリンピックに注ぎ込むお金があるなら、その分を消費税増税抑制に回すべきだ。
財務省の事務次官経験者がオリンピック組織委員会の事務局長をしていること自体が根本的な矛盾だ。
オリンピックを開催するような余裕があるなら、消費税増税は、少なくとも10年は封印することを宣言するべきなのだ。
競技場に加えて、エンブレムのスキャンダルも表面化した。
8月14日付ブログ記事
「五輪は競技場・エンブレム・開催の順で白紙撤回か」
を掲載した。
予測通り、競技場が撤回され、エンブレムが撤回された。
次は、オリンピック開催の撤回だ。
こんな醜態を晒し続けて、もはやオリンピックを開催する資格もない。
エンブレムを取り下げた佐野研二郎氏は、いまなお、「盗作でない」と主張しているが、
「STAP細胞はありまーす」
とまったく同じ響きである。
電通、経産省、デザイナーの癒着の構造の断片が垣間見えただけに過ぎないのだ。
審査の際に名を伏せたと言っているが、審査の前にデザインを伝達しておけば、名前など伏せても、恣意的に選べる。
反論が反論として機能していないのだ。
写真を無断借用したことが理由のように言われているが、そうではなく、原案がヤン・チヒョルト氏の作品に酷似していることが発覚したためである。
ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)では、
2007年9月に佐野研二郎
2013年10月、佐野研二郎の弟子で東京五輪エンブレム審査員の長嶋りかこ
2013年11月に、ヤン・チヒョル(Jan Tschichold)
の展覧会が開かれた。
佐野研二郎氏は、2013年11月にツイッターで
「いまのgggのヤンチヒョルトもやばい」
とツイートしている。
この展覧会で展示されたヤン・チヒョル作品と佐野研二郎氏の原案が酷似しているのだ。
そして、佐野研二郎氏、長嶋りかこ氏、サントリー・トートバッグの高崎卓馬氏が東京五輪エンブレム審査員でつながっている。
醜悪な癒着構造の闇は深い。
競技場とエンブレムだけで、100億円近くの巨大な損失が発生する。
責任者は私財で賠償できないなら、まずは辞職して責任を明らかにするべきである。
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