麻生財務相は金融市場動向を把握していない?
安倍晋三政権の基本政策路線は
新自由主義
と言われている以外に、
反知性主義
とも言われている。
8月1日付中日新聞に元東大総長の佐々木毅氏が『時代を読む』という論評欄に寄稿した文章で、安倍政権の反知性主義を厳しく論断した。
佐々木氏は、安倍政権が国立大学の人文社会科学系の学部・大学院に対し、組織の「廃止」に言及した形で見直しを求めた通知について、
「「社会的要請」を金科玉条のように掲げているが、政策担当者の知的水準の劣化が漂う。」
「大学という組織は「人間の知的可能性に対する社会の畏敬」に基礎を置くというのが私の見解である。
その強みは現実を次々に知的に乗り越えていくところにあり、政府が「社会的要請」という枠組みで封じ込めようとするのは不遜な話である。
その限界をわきまえず組織の「廃止」に言及するのは、先進国の政府のすべきことではない。」
安倍政権は文系学部の「廃止」を求める通知を出した。
「社会的要請」に合致しない学問は排除するとしているわけだが、この姿勢そのものが、まさに反知性主義なのである。
安倍政権にとって「知性」は最大の脅威、敵なのであると思われる。
麻生太郎氏が漢字をあまり読めないことが発覚して話題を呼んだが、安倍晋三氏も漢字を正しく書けないと揶揄されたことがあった。
文書作成がキーボード操作によることが多くなり、漢字を正確に書くことができない人が増えているのは事実で、この程度の問題をとやかくあげつらうことは、あまり意味のあることではないだろう。
しかし、国の重要な職責を担う人々が、その職責に関わる事項について無知であったり、事実関係を正確に把握していないとなると話は別だ。
内外の株式市場で株価が急落して、適切な政策対応が求められている。
8月25日の東京市場では、日経平均株価が前日比733円下落して、17806円で引けた。
8月10日からの15日間で、日経平均株価は3002円、率にして14.4%も下落した。
中国の株価が急落して、その影響がグローバルに広がっている状況にある。
この事態に直面して、財務相の麻生太郎氏が、内外市場での株価急落について記者会見で見解を求められた。
報道によると、麻生氏は、
「中国の景気減速懸念に端を発した世界同時株安について「リーマンショックの時とはまったく質が違う」との見方を示した。
かつての米リーマン・ブラザーズの破綻は市場で予想がされておらず、大きなショックとなったが、中国バブルについては「何年も前から言われており、ついに来たかという感じで、みんな驚くことはなかったと思う」とを話した。」
と伝えられている。
中国株価急落に関連して、麻生氏は、中国バブルについて
「何年も前から言われており、ついに来たかという感じで、みんな驚くことはなかったと思う」
と発言したが、この発言は、現実とまったく符合しない。
上海総合指数を見ると、同指数は2007年10月に6124ポイントの史上最高値を記録したのちに、2008年10月に1664ポイントにまで暴落したのち、2009年8月に3478ポイントまで反発したが、、それ以来、2014年7月に2000ポイント水準に到達するまで、丸5年間の長期株価低迷相場を続けてきた。
その2000ポイントの株価が、昨年10月ころから急騰し、本年6月に5178ポイントの高値を記録した。
その大暴騰した上海総合指数が、その後急落し、8月25日には3000ポイントを割り込んだのである。

どういうことか。
中国株価の「バブル」と呼べる状況は、2015年に入って初めて発生したものなのである。
2009年8月から2014年7月までの丸5年間、中国株価は長期低迷、右肩下がりの停滞を続けてきたのである。
これに対して、麻生太郎氏は、
「(中国バブルは)何年も前から言われており、ついに来たかという感じで、みんな驚くことはなかったと思う」
と述べている。
財務大臣の職にある者が、事実をまったく把握せずに、会見でこのようなでたらめを、得意顔で話していることについて、事実を知る者は、みんな驚いているのだ。
漢字を読めなくても実害は多くはないが、経済財政政策を所管する財務大臣が、金融情勢について、事実をまったく把握していないのは、あまりにもマズイことだと痛感する。
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