五輪は競技場・エンブレム・開催の順で白紙撤回か
2013年9月7日。
南アメリカアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれたIOC総会。
安倍晋三氏はこう述べた。
「(福島第1原発の)状況はコントロールされている。
東京にダメージが与えられることは決してない」
「汚染水の影響は、福島第一原発の港湾内の〇・三平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている
さらに完全に問題のないものにするため抜本解決に向けたプログラムを決定し、着手している。」
だが、福島第一原発では毎日汚染水を含む大量の地下水が漏えいしている。
IOC総会の1ヵ月前には福島原発の地上タンクから約三百トンの処理水が漏出。
外洋につながる排水溝に沿って処理水と同じ特徴を示す高濃度の放射性ストロンチウムなどを含む水が確認され、外洋に漏れた極めて高い可能性が明らかになった。
港湾内の水についても、東電は、外洋と完全にブロックされた状態ではなく、水が行き来していると説明している。
東京招致委員会の竹田恒和委員長は、ブエノスアイレスで開かれた記者会見で次のように述べた。
「福島から250km離れているのでみなさんが心配するような危険性は東京には全くない」
「福島から離れていなければ心配しなければならない」ことを示す発言だった。
東京オリンピックのペテンはここから始まっている。
ペテンとは錬金術のこと。
オリンピックを誘致して、私腹を肥やすことだけを考える者が群がっている。
シロアリ・ハイエナオリンピックと命名するのが良いだろう。
国立競技場を建設するのに2500億円の巨費を流し込む策謀が張り巡らされた。
問題が発覚していなければ工費は3000億円を超えていただろう。
国民から血税を吸い上げて、利権業者と利権政治屋が私腹を懐にする。
テレビドラマ「水戸黄門」が描く悪代官と利権業者の癒着の構造が浮かび上がる。
政府と財務省は財政危機を叫び、庶民を踏みつぶす消費税大増税を強行している。
年金給付を切り、生活保護を切り、保険料だけを引き上げている。
その一方で、シロアリ利権につながる財政支出はだだ漏れで拡張させているのだ。
国立競技場建設計画は主権者の批判によって白紙撤回に追い込まれた。
白紙撤回した以上、責任問題が処理されなければならないが、トカゲのしっぽ切りのように文科省局長が更迭されただけで、何ひとつ責任が明らかにされていない。
巨大な競技場があちこちに建設されているのだから、この際、新国立競技場の建設自体を取り止めにするのが正しい対応である。
ペテンのシロアリ・ハイエナオリンピックの醜聞はこれに留まらない。
大会エンブレムデザインの盗用疑惑が浮上した。
ベルギーのリエージュ劇場のロゴとデザインが酷似していることが指摘された。
色の組合せは、スペイン・バルセロナのデザイン事務所「ヘイ・スタジオ」によるスマートフォンの画面用「壁紙」に酷似していると指摘された。
東京オリンピックのエンブレムを考案したのは佐野研二郎氏。
さらに、佐野研二郎氏は、サントリービールに対して8月13日、自身が手がけた販促用のトートバッグを数点を取り下げるよう依頼した。
サントリービールはこれを受けて、佐野氏がデザインした景品のトートバッグ30点のうち、8点を取り下げた。
ネット上ですでに指摘されてきたように、佐野氏による「デザイン」が、他の作品と酷似していることを背景としたものだ。
完全なる「盗用」と認定される可能性の高いものが含まれている。
競技場建設計画の白紙撤回に続いて、エンブレムの撤回は不可避の情勢である。
すべての根本に、オリンピック利権に群がるシロアリやハイエナの構図が観察される。
次に問題になるのは、
「フクシマ事故は完全にコントロールされている」
という安倍晋三氏の「虚言」だろう。
世界に与える混乱を最小化するには、できるだけ早期にオリンピック開催を返上することが必要であると思われる。
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