オールジャパンが安倍政治刷新唯一の方策
安倍政権の政権基盤が弱いとする判断の根拠は次の二つであるとしてきた。
一つは、主権者のなかで国政選挙で安倍晋三自民党に投票している者の比率が極めて低いこと。
2014年12月14日の総選挙比例代表選挙における自民党得票は、主権者全体の17.4%に過ぎなかった。
主権者の6分の1にしか支持されていないのである。
二つめは、安倍政権樹立を成立させている陰の主役が公明党であること。
安倍晋三自民党は選挙で全面的に公明党の支援を仰いでいる。
この公明党の支援があって初めて、安倍政権は樹立され得るのである。
そして、もうひとつ、安倍政権を樹立させ、安倍政権に衆参両院の過半数議席を付与することをもたらす重要な要因がある。
それは、非自公勢力が、選挙の際に、候補者を乱立させていることだ。
こうなると、候補者を一人に絞っている自公勢力が圧倒的に有利になる。
自公勢力は、衆参両院で過半数議席を占有し、取り分け衆議院では7割近い議席を占有している。
しかし、その権力基盤は、意外なほど脆弱なものなのである。
自公勢力は両党を合わせても、2014年12月の総選挙で、主権者全体の24.7%の得票しか得ていない(比例代表)。
つまり、4分の1の民意にしか支えられていない勢力なのである。
しかしながら、選挙で選出された議員が国会において衆院の3分の2以上の議席、参院の過半数議席を占有していることの意味は重い。
この状況が生じているからこそ、憲法破壊の戦争法案が制定されかかっているのであり、原発の再稼働が強引に推進されているのである。
日本の主権者に大きな不幸をもたらすTPPを止めることがなかなかできないのも、そのためである。
安倍政権の基盤が脆弱であると言っても、それだけで、安倍政権の暴走を止められるわけではない。
何よりも大事なことは、国会の議席構成を変えることだ。
安倍政権の基本政策路線に対峙する勢力に、衆参両院の過半数議席を付与することが問題を根本的に解決する基本になる。
そのための方策を明確にして、その実現を目指さなければならない。
その際、重要なことは、これを実現する主体が、主権者であるべきということだ。
政党ではなく、主権者が主導する必要性が著しく高まっている。
その理由は、既存の政党が、この国民的要請に正面から応えようとしないからである。
政党がやらないなら、主権者がやるしかない。
主権者が登場して、事態の刷新を図るべき局面が到来しているのだ。
政党に主導的役割を期待できないのは、二つの側面がある。
ひとつは、野党で議席数が多い、民主と維新が、自公補完勢力の性格を強く帯びていることだ。
戦争法案は、当然、廃案に追い込むべきであった。
この流れを阻止したのが、維新による修正案の提示だった。
修正案を提示して国会審議に実質的に協力し、与党による採決強行の環境を整えたのが維新である。
民主党も「反対」とは言いながら、肝心な部分で主張は極めて曖昧である。
維新や民主に所属する議員に大きな温度差があるから、所属議員のすべてが自公補完勢力というわけではない。
しかし、民主にしても、維新にしても、その中核部分に、自公補完勢力が居座っていることは間違いない。
これらの勢力に、日本政治刷新など、実現できるわけがない。
自公勢力に対峙する主権者勢力の一本化を妨げているもうひとつの要因が共産党の動きだ。
7月30日付毎日新聞は次のように伝えた。
「共産党の志位和夫委員長は30日の記者会見で、来夏の参院選での野党協力に ついて「沖縄に限って言えば米軍新基地建設反対の大義があるが、 全国的には国政の基本問題での一致やギブ・アンド・テークの条件が
存在するとは考えない」と述べ、沖縄県選挙区以外では行わない考えを示した。」
共産党が選挙協力を行わずに、全選挙区に候補者を擁立することは、自公勢力に対する支援になる側面が極めて強い。
日本政治刷新を主権者が主導しなければならないのは、こうした一種の「政党エゴ」を抑圧することが必要不可欠だからでもある。
たしかに、民主や維新が今のままの状況では、共闘の対象にはなり得ない。
この点を踏まえれば、共産党の主張にも一理あるということになるが、だからと言って、共産党各選挙区に候補者を擁立するなら、脆弱な安倍晋三政権が生き延びてしまう可能性が著しく高まってしまうのである。
こうした政党行動を打破できるのは主権者しかいない。
それを実現するのが、
オールジャパン:平和と共生
である。
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