安倍首相への米国二大命令が安保法制とTPP
安倍首相はこの通常国会で、戦争法案=安保法制を強硬に押し通す考えを有しているのだと思われる。
他方、TPPは米国でTPA法が成立したことにより、大筋合意に向けての各国協議が加速する可能性が高い。
戦争法案とTPP.
この二つが、現在の米国の対日政策の基幹をなしている。
戦争法案とは、
米国の米国による米国のための戦争に、
日本を組み込むための法律である。
日本国民の生命、自由、および幸福追求の権利
とは、基本的に関係がない。
米国の最大の産業は戦争産業である。
米国の軍事予算は年間5000億ドルから6000億ドル。
日本円に換算して60兆円から70兆円の規模に達する。
そのうち、最大の費目は人件費だが、武器、弾薬、兵器だけでも25兆円規模に達する。
日本の原発をなかなか止められない理由として、よく指摘されるのは、いわゆる「原子力ムラ」の規模が大きすぎて、この産業をつぶせない、というものだ。
しかし、原子力関連産業の規模は年間2兆円である。
2兆円規模の産業でも、
「大きすぎてつぶせない」
と言われるのだ。
これに対して、米国の軍事産業は60兆円から70兆円の規模、武器、弾薬、兵器に限っても25兆円の規模である。
米国の巨大資本にとって、何よりも重要なことは、この軍事支出の規模を維持することなのだ。
米国は安倍首相に、安保法制制定を命令した。
日本の集団的自衛権行使は、日本国民のためのものではない。
米国の軍事産業、軍産複合体の利益に資するためのものである。
日本は軍事支出を拡大し、米国の命令で、自衛隊を派遣することになる。
自衛隊は、日本を守るためではなく、米国の産軍複合体の利益を守るために米国が創作する戦争に駆り出され、血と命を提供することになる。
もうひとつ、米国が安倍晋三氏に命令していることがある。
それは、日本のTPP参加だ。
安倍晋三自民党は2012年12月16日の選挙で、
「TPP断固反対!」
と大書きしたポスターを貼り巡らせた。
日本の主権者は、安倍政権がTPP反対であると認識して投票行動をとった。
その安倍晋三氏が、3ヵ月後の2013年3月15日に、
「TPP交渉への参加」
を決めた。
安倍晋三自民党はTPPについて、6項目の公約を明示した。
そのなかには、
「国の主権を損なうようなISD条項には合意しない」
と明記されている。
ISD条項に、
「国の主権を損なうようなISD条項」
と
「国の主権を損なわないようなISD条項」
があるわけではない。
ISD条項は、
「必ず国の主権を損なう」
ものであるから、このようなISD条項には合意しない、という意味である。
誤解の余地が皆無になるように、単純に
「ISD条項には合意しない」
と表現しておくべきであったかも知れない。
ただ、それでは理由が明示されないから、「国の主権を損なうような」という説明文節が付加されたのであろう。
安倍晋三氏が4月29日の米国上下両院合同会議で述べたのは、
「安保法制を夏までに成立させること」
「日米でTPPを成し遂げること」
の二つだった。
この二つが、米国の安倍政権に対する「命令」の内容である。
いずれも、米国の強欲巨大資本の利益増大を目的とするもので、日本の主権者は、必ず損失を蒙ることになる。
したがって、日本の主権者は連帯して、
「安保法制を認めない」
「TPPに参加しない」
を必ず実現させなければならない。
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