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2015年6月25日 (木)

TPP容認はグローバル強欲巨大資本派の証し

原発、憲法(戦争放棄)、TPP


という三つの問題を基本政治問題と位置付けている。


政治の対立軸として、この三つを明確に位置付けることが重要であると考える。


その際、TPPは自由貿易を推進するもので、主権者に恩恵を与えるものであるから、容認しても良いのではないかとの主張がある。


つまり、TPPは容認して、原発再稼働と憲法(戦争)破壊に反対しようという主張がある。


しかし、この主張は極めて危険である。


三つの問題のなかで、日本の制度、規制、国民生活にもっとも広範に、かつ、重大な影響を与える問題が、実はTPPなのである。


TPPの実体は、


日本の米国化


であり、


日本の国家主権の簒奪(さんだつ)


である。


TPPが恐ろしいのは、その「強制性」にある。


三つの問題のなかで、根源的にもっとも重大で、もっとも深刻な影響を国民生活に与えるのがTPPなのである。


そして、このTPPこそ、米国の対日侵略戦略の中核に置かれている最終兵器とも言える政策戦略なのである。

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TPPの早期妥結のカギを握るTPA法が米国で成立することが確実な情勢になった。


TPA法は通商交渉の権限を大統領に委ねる貿易促進権限法のことである。


大統領が通商交渉で条約に合意しても、議会がその内容を認めなければ、条約は修正を迫られる。


貿易促進権限法は、政府が合意した自由貿易協定を議会に諮る際、合意内容に修正を加えることを認めないとするものである。


議会は政府が合意した協定を認めるか認めないかの判断しかできなくなる。


協定参加国は、合意内容に変更が加えられないとの前提で、最終合意をすることができるため、TPP交渉の合意成立には米国でTPA法が制定されることが必要不可欠であるとされてきた。


TPA法が成立すると、TPP交渉参加国は7月中にも閣僚会合を開き、合意を成立させる可能性がある。


TPPがいよいよ現実のものになる可能性が高まっているのである。

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TPPが日本国民に幸福をもたらすものであるなら反対する必要はない。


しかし、TPPは間違いなく、日本国民に重大な不幸をもたらす。


だからこそ、日本国民は総意でこれに反対し、できるだけ速やかにTPPから脱退しなければならない。


TPPの何が問題なのか。


一部農産品の関税が撤廃されたり、関税率が引き下げられたとしても、それは、保護されてきた農家が困るというだけの話であって、安価な輸入品を購入できるようになるわけだから、一般国民にとっては歓迎すべきことではないのか。


これが、TPPに対する一般的な受け止め方であるだろう。


日本のマスメディアが、こうした事実を矮小化し、事実を歪曲する情報操作を行ってきた結果である。


しかし、農産物について、関税を撤廃し、輸入を制限しないという方針を掲げる国の方が実は少ない。


食料は生存のための根源的な資源である。


人間は食糧なしに生きてゆくことができない。


逆に言えば、一国の食料を支配してしまえば、その国を支配することも可能になる。


だからこそ、農産物については、「経済的安全保障」の最重要の項目として、各国が特段の配慮を行なっているのが現実なのである。


日本の農業を改革し、生産性を高め、持続可能な発展性のある産業に強化しなければならないことは当然のことだ。


しかし、それは日本が主体的に取り組む課題であって、外国政府や外国資本に強制される筋合いのものではない。

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TPPがもたらす問題は農業にとどまらない。


すべての分野において、日本の諸制度、諸規制が、強制的に変更させられてしまう点に最大の問題がある。


現時点ですでに明らかになっている懸案事項のなかで、とりわけ重大であるのが、医療制度と食の安心・安全が根底から崩壊する可能性が極めて高いことである。


すべての国民に必要十分な医療を供給することを保障する制度が破壊される。


食の安心、安全を守る諸規制が破壊される。


そして、何よりも重大な問題は、ISD条項によって、日本の諸制度、諸規制を決定する権限を日本が国家として失うことである。


原発にしても、TPPによって再稼働を止めることが不可能になる可能性が高いのである。


TPPこそ、三大政治問題のなかの「核心」であると言っても過言ではないのである。


「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」


http://tpphantai.com/


が5月15日、国を相手に国を相手に、TPP交渉の差し止めと違憲確認を求める訴訟を東京地裁に起こした。


一人でも多くの国民がこの運動に参加して、日本を破壊し、外国資本が日本を収奪するための強制性を持つ枠組みから日本が脱却することを、必ず実現してゆかねばならないと考える。

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