憲法破壊断念せぬなら安倍政権を退陣に追い込む
集団的自衛権の行使は日本国憲法が禁止している。
砂川事件最高裁判決が示されたのは1959年12月16日。
この判決のなかで、
「憲法第9条は日本が主権国として持つ固有の自衛権を否定していない」
との判断を示した。
この裁判では集団的自衛権についてはまったく争点になっていない。
その後、集団的自衛権を含む、日本の自衛権発動について、政府見解が示された。
1972年10月のことである。
この政府見解では、日本は主権国家として自衛権を有しているとの見解が示された。
国連憲章第51条は自衛権として個別的自衛権と集団的自衛権を明記しており、日本は主権国家として個別的および集団的自衛権を有するとの見解が示されている。
しかし、日本国憲法の制約があるため、集団的自衛権についてはその行使が容認されないとの見解が示されたのである。
爾来、40年以上もこの見解が憲法解釈として示され続けてきた。
安倍政権は、憲法を改定して集団的自衛権行使を容認することを目指したが、憲法改定のハードルが高く、憲法改定が容易ではないことから、憲法を改定せずに集団的自衛権の行使を容認する方針を定めて行動している。
しかし、集団的自衛権の行使は現行憲法下では容認されないとの憲法解釈を日本政府が明示してきたことを踏まえれば、この判断に根本的な無理がある。
1972年政府見解は、
「わが国が、国際法上右の集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然といわなければならない」
としながらも、
「他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されない」
としているのだ。
1972年政府見解は容認される自衛のための措置について次のように記述した。
「平和主義をその基本原則とする憲法が、右にいう自衛のための措置を無制限に認めているとは解されない」
「あくまでも外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の擁利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの擁利を守るための止むを得ない措置として、はじめて容認されるものであるから、その措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである」
としたうえで、
「わが憲法の下で武カ行使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られるのであって、したがって、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されないといわざるを得ない」
と示したのである。
自国が攻撃された急迫不正の事態に対処して、必要最小限度の範囲で自衛のための措置をとることは容認されるが、
他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は容認されない
ことを明記した。
安倍政権の集団的自衛権行使容認は憲法違反であることは明白である。
だからこそ、憲法学者の大半が安保法制を違憲であると判断しているのである。
憲法をなしくずしで破壊しようとする安倍政権の暴走を許してはならない。
これは日本の主権者の責務である。
このタイミングで市民は何を為すべきであるのかを考える勉強会が開催される。
多くの市民の積極的な参加が求められる。
第2回「日本政治の行方を考える市民と国会議員の勉強会」
日 時 平成27年6月12日(金)17時~19時半
場 所 衆議院第一議員会館地下1階 多目的ホール
テ ー マ 「日本政治の劣化を食い止めよう
-国民が主役の政治を-」
講 師 天木直人(外交評論家)
植草一秀(経済評論家)
孫崎 享(元外務省情報局長)
森田 実(政治評論家)
上原公子(元国立市長)(予定)
(あいうえお順)
資 料 代 お一人1,000円
参 加 受 付 当日、会場にて(事前申込不要)
連 絡 先 伊東法律事務所内 伊東章弁護士
FAX 03-3985-8514
東京銀座総合法律事務所内 辻惠弁護士
FAX 03-3573-7189
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第1166号「政策基軸に主権者主導で政権奪還を成し遂げる」
でご購読下さい。
『アベノリスク』(講談社)
の動画配信はこちら
著書と合わせてせて是非ご高覧下さい。
2011年10月1日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:525円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。
創刊月2011年10-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。
日本の奈落 (TRI REPORT CY2015) 価格:1,728円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本の真実 安倍政権に危うさを感じる人のための十一章 価格:1,620円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
日本経済撃墜 -恐怖の政策逆噴射- 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
20人の識者がみた「小沢事件」の真実―捜査権力とメディアの共犯関係を問う! 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:日本文芸社 |
オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下 価格:2,100円 通常配送無料 出版社:早川書房 |
アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪 価格:1,575円 通常配送無料 出版社:講談社 |
鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ) 価格:1,470円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く 価格:1,785円 通常配送無料 |
消費税増税 「乱」は終わらない 価格:1,470円 通常配送無料 |
国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る 価格:1,470円 通常配送無料 |
![]() |
消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す! 価格:1,000円 通常配送無料 |
日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の独立 価格:1,800円 通常配送無料 |
売国者たちの末路 価格:1,680円 通常配送無料 |
知られざる真実―勾留地にて― 価格:1,890円 通常配送無料 |
消費税のカラクリ 価格:756円 通常配送無料 |
戦後史の正体 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 価格:798円 通常配送無料 |
![]() |
日米同盟の正体~迷走する安全保障 価格:798円 通常配送無料 |
検察崩壊 失われた正義 価格:1,365円 通常配送無料 |
検察の罠 価格:1,575円 通常配送無料 |
![]() |
「主権者」は誰か――原発事故から考える 価格:525円 通常配送無料 |
![]() |
原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体 価格:1,680円 通常配送無料 |
« 違憲立法で引き際誤れば安倍政権は早期退陣 | トップページ | [オールジャパン平和と共生]連帯運動へのご賛同を »
「集団的自衛権行使憲法解釈」カテゴリの記事
- 妖怪の孫の憲法破壊手口(2023.05.03)
- 戦争法強行制定風化は安倍政権の思うつぼ(2016.09.19)
- 1年経っても集団的自衛権憲法違反は不変(2016.08.25)
- テロの標的にされる日本(2016.07.03)
- 憲法の破壊!「やられたらやり返す!」だけだ(2015.09.19)
« 違憲立法で引き際誤れば安倍政権は早期退陣 | トップページ | [オールジャパン平和と共生]連帯運動へのご賛同を »