最悪の愚策「真珠湾攻撃」から学ぶべきこと
5月13日、元外務省国際情報局長である孫崎亨氏による
『日米開戦の正体――なぜ真珠湾攻撃という道を歩んだのか』
(祥伝社)
帯には
「史上最悪の愚策を解き明かす」
とある。
タイトルを見るだけで強い関心をそそられる。
出版社による概要は次のものだ。
「歴史上最悪の愚策といわれる「真珠湾攻撃」。
なぜ、日本は、勝てる見込みのないこの戦いを仕掛けたのか。
皇族、軍人、政治家、外務官僚といった、国策に関わった当事者たちの「生」の声を紹介しつつ、日露戦争の勝利から始まった「真珠湾攻撃への道」の真実に迫る衝撃の書、ついに刊行。」
著者の孫崎亨氏は次の言葉を発している。
「この本の特色は、私の解説を主眼にしたものではないということです。
当事者の生の声をできるだけ紹介したいと考えました。
後世の人間が「後知恵」で解説するのではなくて、当時の人々自らの声で歴史を語ってもらいたいからです。
歴史にはいろんな選択肢があった、異なった道があった、その中でなぜ真珠湾攻撃という選択をしたのか。
戦後70年の今こそ、日露戦争から真珠湾攻撃までの歴史を検証し、この「なぜ」を徹底的に考えたいと思います。
日本は今、大変な曲がり角にいます。
「こんな時代はなかっただろうか」と考えてみると、まさにありました。
真珠湾攻撃のときでした。
敗戦から70年。
安倍晋三氏は敗戦50年の際に村山富市首相が総括した、
「侵略、植民地支配、痛切な反省、心からのお詫び」
の文字を消し去ろうとしている。
そして、日本国憲法の規定に違反する集団的自衛権の行使を容認する違憲立法を強行しようとしている。
「平和主義」を捨て去り、「戦争主義」に突き進む安倍晋三政権。
私たちは歴史を振り返り、日本の進路を誤らないようにしなければならない。
著者は本書のなかでこう記す。
「英国オックスフォード大学で最も権威のある学部が歴史学部です。
今日、歴史学に100名の教授陣を揃えています。
学部生1500名、大学院生500名、凄い規模です。
米国でも名門イェール大学の歴史学部は最も権威ある学部で、学生の15~20%が歴史を専攻します。」
私の高校時代の恩師が授業のなかで繰り返しこう述べた。
人間が座標軸を定めるには哲学と歴史を学ぶことが必要不可欠である。
孫崎氏は米国歴史協会のサイトに掲載されているピーター・N・スターンズ(歴史学者。ジョージ・メイソン大学教授)の論評、「なぜ歴史を学ぶか」(Why Study History?)が一つの答えを出していると指摘する。
「歴史は人間や社会がどう動くかを示す情報の倉庫である」
「人間の行動を実験するわけにはいかない。
歴史こそ実験室といえる。
歴史だけが人間、社会の行動の広範な証拠を提供してくれる」
歴史は人間社会がどう動くかを理解するために貴重なのです。
歴史は昔を知るためだけの学問ではありません。
今を理解するためです。
孫崎氏はさらに続ける。
なぜ今真珠湾攻撃を学びたいと思ったのか。
それは、真珠湾攻撃が日本の歴史上最大の愚策だからです。
本書を読み進めると、真珠湾攻撃がなぜ「日本の歴史上最大の愚策」であったのかが浮き彫りになる。
この歴史の真実を学ぶことは、知的欲求を満たすことを目的とするものではない。
今の日本、今の日本の愚策を理解するために、歴史を見つめることが求められているのだ。
孫崎氏が一刻も早い本書の刊行を望んだのは、いま日本が戦争への道を転げ落ち始めているからなのである。
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