人災なのに誰一人責任負わない無責任国家日本
反原発運動を展開してきた広瀬隆氏は2011年3月11日の原発事故が発生する半年前に、
『原子炉時限爆弾』(ダイヤモンド社)
東北地方太平洋岸には、過去に何度も巨大津波が押し寄せている。
明治29年(1896年)6月15日に発生したマグニチュード8.2-8.5の明治三陸地震に伴って、巨大津波が東北地方太平洋岸を襲ったことが確認されている。
この地震で、岩手県綾里では、津波の遡上高38.2メートルの記録が残されている。
広瀬隆氏は巨大地震と巨大津波が発生する可能性は十分あり、その際に、原発が津波に襲われたときに、電源を喪失し、メルトダウンが発生する危険があることを警告したのである。
この警告がそのまま現実化したのが2011年3月11日の東京電力福島第一原子力発電所で発生した過酷事故であった。
巨大津波が発生する恐れがあるにもかかわらず、津波対策を講じていない原子力発電所のことを広瀬氏は『原子炉時限爆弾』と表現したのである。
東電福島原発の津波対策の不備をして指摘したのは広瀬隆氏だけではなかった。
独立行政法人産業技術総合研究所が2010年8月に発行した公刊レポート
『平安の人々が見た巨大津波を再現する-西暦869年貞観津波-』
にも、過去に巨大津波が東北地方を襲来した事実が詳細に記述されていた。
このレポートの「はじめに」には、次のように記述されていた。
「このような研究成果が、巨大津波に対する「備え」に活かされることを期待しています。」
産業技術総合研究所は過去に発生した巨大津波の事実分析を基に、東京電力福島第一、第二原子力発電所の津波対策の不備を公式に警告していた。
その警告を無視したのが国と東京電力である。
そのためにあの原子力事故が発生したと言ってよい。
福島原発事故は「天災」によって引き起された回避不能の事故ではなく、適切な対応が講じられていれば回避することが可能であった「人災」である。
しかし、いまだに、誰一人としてこの事故の責任を認めた者はいない。
責任あるものが責任を明らかにすることが回避され続けている。
無責任国家日本の断片がここにも表れている。
IAEA(国際原子力機関)が東京電力福島第一原発事故の最終報告書をまとめた。
報告書は、
「勧告した安全評価を十分実施しなかった」
「国際的な慣行に従わなかった」
と、東電および規制当局の認識の甘さを厳しく批判している。
東電や日本政府は、事故発生時に「想定外」との弁明を繰り返し表明した。
しかし、IAEA報告書は、日本が何十年にもわたり原発の安全性を過信し、発生の確率が低い災害などに十分備えてこなかったと、東電や国の弁明を一蹴した。
実は、IAEAも日本の原発の安全性対策の不備を原発事故の前から指摘していたのである。
IAEAは福島の事故発生以前から、IAEA加盟国に対して、原発の安全性を評価する際に、機器の故障などによって大事故が発生し得るすべての可能性を把握する確率論的安全評価(PSA)の適用を勧告していた。
2007年の訪日調査では、
「日本には設計基準を超える事故について検討する法的規制がない」
と指摘して、過酷事故に十分備えることを求めていた。
ところが、日本政府や東京電力は、IAEAの勧告や助言を踏まえた抜本的対策は取らなかった。
IAEA報告書によれば、東電福島第一原発ではPSAを十分に適用せず、非常用ディーゼル発電機などの浸水対策が不足していた。
10年ごとに実施される定期安全レビューでも地震・津波予測の再評価が義務付けられていなかった。
過酷事故への対応や安全文化の体制整備において国際的慣行が守られていなかった。
IAEA報告書は福島原発事故発生に対する国および東電の責任を厳しく指摘する内容になった。
だが、この国では、問う責任を何ひとつ問わない状況が野放しにされている。
国家権力と大資本は「自分に甘く他人に厳しい」のである。
その淵源は、白井聡氏が指摘するように、敗戦の責任を隠蔽してきたところにあるのかも知れない。
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