民衆の覚醒なくして戦争亡者の暴走を防げない
「原爆 水爆大好きな
戦争亡者の親玉よ
お前の親や兄弟が
女房や子供が
恋人が
焼けて爛(ただ)れて
死ぬだろう
苦しみもがいて死ぬだろう」
5月3日の中日新聞1面トップに、美輪明宏氏の作詞・作曲「悪魔」の歌詞が紹介された。
この日の日本経済新聞には、梯久美子氏の「愛の顛末-小林多喜二5-」が掲載された。
「多喜二が赤坂区福吉町(現在の港区溜池)の路上で特高刑事に逮捕され、築地警察署内で死亡したのは、昭和8年2月20日のことである。
自宅に運び込まれた遺体の服を脱がせたとき、仲間たちは息を呑んだ。
こめかみに傷、首には細引きで締められた跡があり、喉仏が折れていた。
下半身は赤黒い内出血で割れそうにふくれあがり、股の上には釘か錐(きり)が打ち込まれて肉がえぐられた跡が無数にある。
手の指の一本は逆向きに折られていた。」
プロレタリア文学の作家として知られる小林多喜二は特高警察によって、拷問の末、殺された。
ファシズムと戦争。
この歴史の事実の記憶が風化して、不幸な歴史がいま甦ろうとしている。
美輪明宏氏は、
「国民を守る」「国を守る」
という耳当たりのいい言葉で、改憲の議論が進むことにいら立ちを隠せない。
「改憲して戦争に参加できるようにって、どうして学習能力がこんなにもないのか」
そんな政治家を舞台に立たせたのは、国民の選択だった。
そのことをもう一度考えてほしいと美輪さんは歌い、語り続けている。
「無辜の民衆が戦争に駆り出されるのではない。
選挙民に重い責任があるのです」
(「中日新聞」より引用)
安倍晋三氏が日本国憲法を破壊している。
憲法第9条には次の文字が刻まれている。
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」
「集団的自衛権の行使」とは、
国際紛争を解決する手段として、
国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使
を行うことである。
憲法第9条に反していることは、小学生でも分かる。
したがって、「集団的自衛権の行使」を容認するためには、憲法改定が必要である。
安倍晋三氏が憲法改定を訴えて、正規の手続きを踏んで集団的自衛権の行使を容認するのなら、それはひとつの考え方である。
しかし、憲法改定が難しいからといって、憲法解釈を変更して集団的自衛権を容認することは許されない。
なぜなら、憲法が明確に集団的自衛権の行使を禁止しているからである。
それにもかかわらず、強引な手法で集団的自衛権を認めるのは、安倍氏の幼児性を示す暴挙としか言いようがない。
しかし、このような為政者を生み出していることに最大の責任を負うべきは、実は国民自身なのである。
安保法制で、
「自衛隊派遣に例外なく国会の事前承認を必要とする規定を条文に盛り込む」
ことで自民党と公明党が合意したと報じられている。
「平和と福祉の党」である公明党が協議に参加しているから、明確な歯止めがかかっているとの評価があるが、実態はまったく異なる。
安保法制のうち、例外のない事前承認を定めるのは国際平和支援法だけであって、他国を武力で守る集団的自衛権の行使については、国会における事前承認が義務付けられない。
事後承認が容認されるのである。
日本が戦争国家に転落する引き金を引くのは「集団的自衛権行使」であり、これに国会の事前承認が義務付けられないのである。
事前承認が義務付けられるのは
「国際平和支援法」
だけであって、
「武力攻撃事態法」
「重要影響事態安全確保法」
には、事前承認が義務付けられない。
「周辺事態」を「重要影響事態」と名称を変えて、日本が軍隊を世界中に派遣する体制が整えられるのである。
日本の主権者は、いま何が起きているのかを把握して、日本が戦争国家に転落するのを絶対に阻止しなければならない。
続きは本日の
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