大阪市民の積極行動と賢明判断に心からの敬意を表す
大阪都構想の住民投票で大阪市民が賢明な判断を示した。
投票率は66.83%。
大阪府知事選とのダブル選となった2011年の市長選での投票率60・92%を5・91ポイントも上回った。
日本政治を立て直すには主権者が参政権を行使し、正しい判断を示す必要がある。
大阪市民の責任ある行動に心から敬意を表したい。
僅差で「反対」が「賛成」を上回った。
この住民投票は、大阪都構想の是非そのものよりも、今後の日本政治の方向に強い影響を与えるという側面により重要な意味があった。
したがって、私はブログ、メルマガ記事で、大阪都構想の是非ではなく、安倍晋三政治の暴走を阻止するための判断を重視して投票してほしいと訴えた。
僅差ではあったが、私が期待した通りの結果が示された。
このことを率直に喜ぶとともに、賢明な判断を示された大阪市民に心から感謝申し上げたい。
もちろん、主権者の意見、判断はさまざまである。
特定の考えだけが正しく、それ以外が間違っているということではない。
重要なことは、問題をよく論議して、主権者が参政権を放棄することなく、熟慮して権利を行使することである。
そのうえでの決定であるなら、民主主義のルールに沿って、決定を認めてゆくしかない
私は日本の地方自治を根本から刷新するべきだと考えている。
「地域のことは地域が決める」
というのが地方自治の本旨である
「主権者の主権者による主権者のための政治」
を実現する基礎は地方自治にある。
地域に基本的にすべての権限を付与する。
そして、すべての地域が地域独自の意思決定を行う。
これが本来の地方自治である。
その際に重要なことが二つある。
一つは一つの自治体の人口数を平準化することだ。
いま一つは中央政府の権限を基本的に地方政府に付与することである。
そして、各自治体が独立性のある政治、行政を実現する。
これを目指すべきである。
具体的には、日本を人口40万人規模の300自治体に再編するべきだ。
現在の村のなかには、人口200人という村もある。
しかし、200人の村にすべての地方自治の権限を付与することは難しい。
最大の問題は人材の層の厚さだ。
人口40万人規模で平準化させる目的は、人材の層の厚さを平準化することである。
現在の小さな自治体の庁舎は、広域自治体の支所として活用し、人口40万人規模の陣容を確保するべきだ。
こうすれば、すべての自治体が必要十分な独立行政の体制を確立することができるだろう。
この面から考えれば、人口が210万人の大阪市を五つの自治体に分割するという発想は決して間違っているものではない。
しかし、現行の特別区の制度で分割しても、各自治体の独立性は著しく制限されたものにしかならない。
日本全体の問題であり、大阪だけが単独で特別区を創設しても、その効果は極めて限定的だ。
今回の住民投票が重要な意味を持ったのは、都構想の是非を判断する住民投票だったからではない。
投票結果で大阪都構想が実現すれば、橋下市長が任期いっぱいで市長を辞任して、来年夏の参院選に出馬し、安倍晋三氏と憲法改定に突き進むことが予想されていたからである。
こちらの問題の方が、はるかに重大で、影響の大きいものだったのだ。
幸い、都構想が否決されて、橋下徹氏は任期満了後に政治家を辞めることを明言した。
記者会見では、過去に「2万パーセントない」と断言して、のちに翻したことについても質問が飛んだ。
橋下氏は今回はウソをつく必要がないから、ウソはつかないと明言したが、憲法改定を推進する勢力が執拗に橋下氏の国政進出を画策する可能性が残されている。
しかし、政治家がウソをつくことが、現在日本政治の劣化の最大の原因になっていることを、私たちは忘れてはならない。
万が一にも橋下氏が参院選に出馬する行動を示したときには、そのときこそ、大阪市民は怒りの鉄槌を橋下氏に下すべきである。
大阪都構想住民投票は、暗黒の日本政治に一筋の光差し込ませる重要な契機になったと思われる。
人々が大同団結して、参政権を間違いなく行使すれば、道は拓けるのである。
「オールジャパン平和と共生」連帯運動に大いなる勇気と希望を与える住民投票となった。
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第1148号「大阪都構想否決が示す政権奪還勝利の方程式」
でご購読下さい。
『アベノリスク』(講談社)
の動画配信はこちら
著書と合わせてせて是非ご高覧下さい。
2011年10月1日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:525円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。
創刊月2011年10-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。
日本の奈落 (TRI REPORT CY2015) 価格:1,728円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本の真実 安倍政権に危うさを感じる人のための十一章 価格:1,620円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
日本経済撃墜 -恐怖の政策逆噴射- 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
20人の識者がみた「小沢事件」の真実―捜査権力とメディアの共犯関係を問う! 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:日本文芸社 |
オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下 価格:2,100円 通常配送無料 出版社:早川書房 |
アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪 価格:1,575円 通常配送無料 出版社:講談社 |
鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ) 価格:1,470円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く 価格:1,785円 通常配送無料 |
消費税増税 「乱」は終わらない 価格:1,470円 通常配送無料 |
国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る 価格:1,470円 通常配送無料 |
![]() |
消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す! 価格:1,000円 通常配送無料 |
日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の独立 価格:1,800円 通常配送無料 |
売国者たちの末路 価格:1,680円 通常配送無料 |
知られざる真実―勾留地にて― 価格:1,890円 通常配送無料 |
消費税のカラクリ 価格:756円 通常配送無料 |
戦後史の正体 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 価格:798円 通常配送無料 |
![]() |
日米同盟の正体~迷走する安全保障 価格:798円 通常配送無料 |
検察崩壊 失われた正義 価格:1,365円 通常配送無料 |
検察の罠 価格:1,575円 通常配送無料 |
![]() |
「主権者」は誰か――原発事故から考える 価格:525円 通常配送無料 |
![]() |
原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体 価格:1,680円 通常配送無料 |
« 憲法違反の安倍政権TPP参加推進政策を糾弾 | トップページ | 維新民主メルトダウンは日本政治再建への朗報 »
「政策連合(平和と共生)=ガーベラ革命」カテゴリの記事
- youtube開設とデモ・イベント動画(2025.06.08)
- 民主主義が機能している韓国(2025.06.05)
- しょぼい減税を-ぶっ壊す!(2025.05.11)
- 5.29PM3ガーベラの風国会イベント(2025.05.05)
- いま考えるべき政治の原点(2025.02.10)
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 大阪市民の積極行動と賢明判断に心からの敬意を表す:
» 2015年5月17日(日)のツイートまとめ・・・沖縄では「戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」、そして大阪市の住民投票は反対が僅差で上回り否決へ [ボヘミアンな京都住まい]
沖縄では本日13時から、辺野古への新基地建設反対を要求する県民大会が、沖縄セルラースタジアム那覇で開催されました。沖縄タイムズ(無料の電子ビューワ号外→http://viewer.okinawatimes.co.jp/books/viewer/app/P000001820/2015/05/17)と琉球新報がそれぞれ号外を出しました。 琉球新報の号外↓[※クリックで拡大] 翁長雄志知事です。「こんなに多く参集いただきいっぺ―にふぇ―で―びる」と切り出し「絶対新基地は造らせない」と訴えました。#heno... [続きを読む]
» 2015年5月18日(月)のツイートまとめ・・・改めて“橋下徹”と“大阪維新の会”を問い直す [ボヘミアンな京都住まい]
昨日の大阪市の住民投票に関して、京都弁護士会所属の弁護士、渡辺輝人さんがY!ニュースに寄稿されていますが、私も概ね彼の意見に賛同します。付け加えるなら、ツイッターでも多数の方が指摘されてましたが、大阪市内でも最も所得水準の高い部類に入る天王寺区と阿倍野区では反対多数だったという事実を看過することはできません。この一帯は地政学上の要所として古代から拓かれてましたし、今でも古くからの住民という方が多いのではないですか? ◆大阪の住民投票結果から見えるもの【Y!ニュース:渡辺輝人 2015年5月18日】&... [続きを読む]