村山・鳩山元首相正論を正しく伝えないマスゴミ
4月21日、東京都文京区にある鳩山会館で、「さとやま・草莽の会」第2回会合があり、村山富市元首相、鳩山友紀夫元首相、鈴木宗男元衆議院議員による講演が行われた。
会合には、「さとやま・草莽の会」の呼びかけ人である元参院議員の村上正邦氏、元公明党委員長の矢野絢也氏、元衆院議員の藤井裕久氏が出席し、ゲストとして元衆議院議員白川勝彦氏、早稲田大学教授春名幹夫氏、慶應大学教授小林節氏、元参院議員谷岡郁子氏、一水会代表木村三浩氏、中央大学客員教授稲村公望氏、ジャーナリストの田中龍作氏などが出席した。
私も出席させていただいた。
村山元首相から安倍首相が計画している戦後70年談話についてのコメント、
鳩山友紀夫元首相から、クリミア訪問の真意について話があった。
鈴木宗男氏からは日ロ関係についての概説が示された。
村山富市元首相は、安倍晋三氏の70年談話の意味、趣旨がよく分からないとの発言があった。
村山氏は、安倍氏の言動が「ブレている」ことが問題であるとした。
「村山談話を継承する」
と言いながら、別の場面では、
「村山談話を見直す」
と発言し、ことさらに70年談話への注目が集まるようにしているが、方向がはっきりしないことが問題であるとした。
「村山談話を継承する」なら、基本的な事項を省くことはおかしいが、安倍氏は本音では、「侵略」や「反省」、「おわび」を認めたくないという心理をもっているのではないかとの疑念を示した。
自分でさえすっかり忘れていたような戦後50年の「村山談話」が、いま、ことさらにクローズアップされていること自体に驚きを禁じ得ない心境が吐露された。
鳩山友紀夫元首相は、日ロの関係改善、北方領土問題の解決に向けての行動として、クリミアを訪問したことを説明した。
日本の報道では、ロシアが一方的に悪で、クリミアのロシア編入が悪の政策であるとされているが、先方より訪問の招請があり、実際に現状を自分の目で見て確かめるために訪問したとの経緯が説明された。
日本ではロシアの力による併合とされ、ロシアが一方的に悪役とされているが、現地の人々の大半はロシアへの編入を歓迎しているのが実態である。
ウクライナで政変があり、ウクライナの公用語としてロシア語が禁止される可能性が高まり、ロシア語を使用する住民が多数であるクリミアでは、住民の間から、ロシアへの編入を求める声が発せられ、その声を背景に住民投票が実施され、ロシアへの編入が決まった。
そもそも、ウクライナで発生した政変の裏側には、米国を中心とする外国勢力の介入、画策があったと考えられており、反政府デモが暴徒化してデモ隊と政府部隊の双方に死者が出たが、その銃弾が同一のものであり、いずれもデモ隊の側による殺傷であったとの推察も行われている。
この暴動を契機にヤヌコビッチ政権が倒されて暫定政権が樹立されたが、この暫定政権が、いわゆる「ウクライナ化政策」を実行して、ロシア系住民が迫害される事態が生まれている。
鳩山氏は、こうした事実が、日本をはじめとする西側諸国で正確に伝えられていない点への注意を喚起した。
鈴木宗男元衆院議員は日ロ間の領土問題解決、日ロの平和条約締結に向けての道筋と、その文脈における鳩山氏のクリミア訪問の意義を解説した。
ウクライナ政変およびロシアによるクリミア編入を受けて、米国をはじめとする西側諸国が、ロシアに対する経済制裁を実行し、日本もこの政策に加わったことで、日ロの領土問題解決に向けての動きが頓挫してしまった。
日本政府は冷戦時代においては、北方領土問題について、四島一括返還の主張を示してきたが、冷戦終結後の日ロ関係においては、1956年宣言をベースにしており、四島の帰属を明確にしたうえで平和条約締結に進むという方式が採用されている。
鈴木氏はこの点に対する認識を強く求めた。
2001年3月25日に森喜朗首相とロシアのプーチン大統領が会談し、「イルクーツク声明」が採択された。
「イルクーツク声明」においては、
・1956年の日ソ共同宣言が条約交渉プロセスの出発点を設定した基本的な法的文書であることを確認
・1993年の東京宣言に基づき、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する方向を確認
した。
いわゆる、北方領土問題の段階的解決の道筋が明確化されたことを鈴木氏は強調した。
そのうえで、鈴木氏は安倍首相が日米首脳会談において、対ロ経済政策の中止を提案するべきであると提案した。
ロシアとの関係悪化により、北方領土問題の解決が大幅に遠のいている現状に対する懸念を強調するとともに、鳩山元首相のクリミア訪問が、断絶しかかっている日ロ関係の維持、発展にとって、極めて有効な対応策になったことを強調した。
私たちが気をつけなければならないことは、マスメディアが報じる情報というものが、著しく偏ったものであることを知ることである。
マスメディアが、同質の情報を流し続けると、一般市民は、その情報だけが真実であるかのように受け取ってしまう。
「鳩山元首相のクリミア訪問はけしからん」
「安倍首相が、日本の自虐史観を是正するために、アジアへの「侵略」、「痛切な反省」、「おわび」を否定することは正しい行動である」
などという情報だけが広範に流布されると、知らぬ間に、その主張が「自分の主張」になってしまう。
国民の側の資質の問題でもあるが、このような形で、いとも簡単にマインドkントロール=洗脳されてしまうと、国家は主権者の意思と離れて、暴走を始めてしまうものなのだ。
塩野七生氏が
「ルネッサンスとは一言でいえば「すべてを疑うこと」だ」
と指摘されたが、私たちは、日本の進路を誤らぬために、いま、すべての情報、とりわけ、マスメディアが流布する情報を、
「すべて疑う」
必要がある。
続きは本日の
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