鳩山元首相への激しい攻撃は巨大影響力の証し
鳩山友紀夫元首相がクリミアを訪問して現地の住民の受け止め方を視察した。
現地で住民の声を聞いて、すべてが分かるわけではないが、百聞は一見に如かずとも言う。
現地に入って、自分の目と耳で現実を確かめるという手法の意義は否定されるものではない。
ウクライナで政変があった。
この政変によって樹立された政権については、その正統性について疑義がある。
このことが背景にあり、クリミアでは住民投票により住民の意思が確認されてロシアへの編入が決定された。
このことについて、クリミアのロシア編入に反対する勢力が、ロシア編入の正統性を認めていない。
しかし、そもそも、問題の原点にあるウクライナの政変についての正統性認定に疑義があるのだから、ウクライナのロシア編入の正統性についても意見対立が生じるのは当然のことであると言えるだろう。
日本がウクライナのロシア編入を認めていないのは、米国がこれを認めていないからである。
クリミア併合後、米国はロシアへの制裁を決めた。
ロシアとの経済的結びつきが強く、ロシアが供給する天然ガスへの依存度が高い欧州は渋々米国主導の対ロシア経済制裁に従ったのである。
安倍政権は鳩山元首相のクリミア訪問について、ロシアによるクリミア併合を認めない立場から激しく非難している。
菅官房長官は、
「総理まで経験した政治家として、あまりにも軽率で極めて遺憾。厳しく批判したい」
と口汚くののしった。
品格を欠く発言である。
安倍氏も菅氏もクリミアのロシア編入について、力による国境線変更で正統性がないと主張するが、歴史的に見れば、
「領土保全」と「民族自決」
のせめぎ合いは数多く存在し、クリミアのロシア編入を国際法違反と断じることはできない。
日本のメディアは、対米追従報道を展開するだけで、もっとも重要な「真実」、あるいは「現実の多様性」をまったく伝えない。
メディアが激しく鳩山元首相を攻撃するのは、鳩山元首相の行動が米国隷従ではないこと、そして、鳩山元首相の影響力が依然として極めて巨大であることを如実に示す証左になっている。
「【日米激怒】鳩山クリミア訪問、モスクワ在住の識者はどう見てる?」
http://www.mag2.com/p/news/10002/2
にも記述があるが、そもそも、ウクライナ自身が、住民の判断で旧ソ連からの分離独立を勝手に決めた経緯を有する。
ウクライナ最高会議がソ連からの独立を宣言したのは1991年8月24日。
ソ連が崩壊したのは1991年12月25日である。
ウクライナはソ連崩壊の4ヵ月前に「中央政府の意志に反して一方的に」独立を宣言したのである。
そして、1991年12月1日に「住民投票」を実施して、「独立」についての住民の承認を得た。
この行動は、当時の中央政府であるソ連政府の意思に反して行われたものである。
このウクライナが、クリミアの行動を非難することができるのか。
このウクライナが、クリミアの独立を国際法違反と避難できるのか。
多くの日本国民は、偏った情報しか入手できていない。
日本のメディアが偏っているから、その偏った情報だけが耳に入り、市民は知らぬ間に「洗脳」状態に陥ってしまっているのだ。
日本のメディアに良心と能力があれば、ものごとについて、多面的、かつ、正確な情報を提供するだろう。
ところが、日本のメディアの大半がコバンザメ、あるいは、茶坊主のような存在ばかりであるため、ものごとについての正確、かつ、多面的な情報を提供できないのである。
ウクライナは旧ソ連崩壊後、東側と西側の対立の前線に立たされてきた国家である。
このために、ウクライナの政情そのものが不安定で、政治権力も右に振れ、左に振れてきた。
ヤヌコヴィッチ政権は親露政権であり、米国にとっては邪魔な存在であった。
米国はCIAなどの諜報機関をも活用して、ウクライナのヤヌコビッチ政権の転覆工作を執拗に仕掛けてきたと見られている。
その結果としてヤヌコビッチ政権が転覆され、ポロシェンコ政権が樹立されたわけだが、基本的には欧米西側陣営の傀儡政権であると言える。
クリミアの住民の多くがロシア系であり、住民多数がウクライナの政変に賛同していない。
この住民が住民投票を実施して、クリミアのロシア編入を決定したのである。
したがって、絶対に一方が正しく、絶対に他方が間違っていると判断すること自体が間違いなのである。
米国のポチ政権が米国の言いなりに行動するのは、むべなるかなというものだが、すべての日本国民が米国のポチになる必要など微塵も存在しない。
鳩山友紀夫元首相は、米国の言いなりにはならない、この国では稀有の、独立自尊の気概を持つ政治家である。
だからこそ、米国も米国のポチも鳩山友紀夫氏を恐れているのである。
鳩山元首相に対する、常軌を逸した批難攻勢は、図らずもこの真実を浮き彫りにするものになっている。
続きは本日の
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