官僚と大資本の生活が第一の株価上昇
日経平均株価が19000円台に乗せた。
筆者が執筆している
『金利・為替・株価特報』
http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html
では、日本株価の見通しを、2月12日執筆の2月16日号で、
「中立」から「上昇」
とした。
2014年の年初に「下落予測」
2014年5月12日号で「上昇予測」
2014年10月14日号で「中立予測」。
を提示してきた。
それを、2月16日号で「上昇予測」
に転換した。
したがって、2月中旬以降の日本株価上昇は予測通りのものである。
今後の見通しについては、
『金利・為替・株価特報』2015年3月16日号
http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html
をご高覧賜りたいが、基本的には堅調な株価推移が見込まれる。
2014年は消費税増税で日本経済が転落した。
「消費税増税の影響軽微」との日本経済新聞の大キャンペーンは完全な誤報だった。
消費税大増税によって日本経済は無残にも撃墜されてしまったのである。
昨年末に、2015年10月の消費税再増税実施を決めていたなら、日本経済はそのまま「奈落の底」に落ちてしまったと考えられる。
『日本の奈落』(ビジネス社)
だが、安倍政権は消費税再増税を先送りした。
この結果として、日本経済は奈落に落ちることを回避できた。
だが、2017年4月に消費税率を10%に引き上げるなら、そのときに再び大きな問題が生じることになるだろう。
消費税再増税は凍結することが正しい選択である。
しかしながら、2017年4月までには、まだ丸2年の時間がある。
したがって、いますぐに問題は顕在化しない。
日本経済は2014年に景気後退に陥ったが、景気悪化は昨年7-9月期で一巡した。
当初の落ち込みが激しかった分だけ、大底に到達するのも早かったのである。
昨年の10‐12月期から、前期比成長率は小幅ながらもプラスに転じた。
4-6月期も前期比成長率はプラスを維持するだろう。
深刻な不況に陥ったけれども、事態は緩やかに改善に向かい始めているのである。
日本の株価が上昇する理由を『金利・為替・株価特報』では三つあげている。
この理由を踏まえれば、日本株価の堅調は当面、維持される可能性が高い。
そして、2014年から2015年にかけて、日本株価の大幅下落が生じなかった最大の理由は、企業収益の好調さにある。
東証1部上場企業について見ると、企業収益の総額は、2014年度が2013年度を上回る見通しなのだ。
不況なのに企業収益が増加するということは、すなわち、所得分配において、労働者の受け取りが大幅に減少したことを示唆するものである。
労働は苦しんだが、資本はほくそ笑んだということなのだ。
とりわけ、大手の輸出製造業の企業収益は大幅に拡大した。
このことが、株価堅調の大きな背景になっている。
労働者の賃金は増えていないが、企業収益が好調であったため、ボーナスは増えている。
所得関連統計を見ても、賃金所得は全体として減少し続けているが、ボーナスだけは増えている。
しかし、ボーナスで大盤振る舞いできるのは、大手企業に限られる。
つまり、分配所得の不平等は実は拡大しているのだ。
街角の声を聞いても、株価上昇に見合う景況感の浮揚は実感されていない。
「格差」の問題が一段と拡大しているのが現状なのである。
メディアは株価が15年ぶりの高値を記録したなどと、政策当局をもてはやすが、一番大事な「国民の生活」が本当に改善しているのかどうかをまったく検証しない。
国民全体が手を取り合って喜べるような経済改善は、実はまったく進んでいないのである。
続きは本日の
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