「自省と自尊」でない「自賛と尊大」では誰にも尊敬されない
曽野綾子氏の産経新聞コラム記事について記述した。
「曽野綾子氏に贈る詩「みんなちがってみんないい」」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2015/02/post-82f2.html
差別主義者の精神構造の中心には強い劣等意識がある。
他者を見る際に常に
優劣意識が支配する。
自分よりも他者が優れていると認識し、強い劣等意識を有するのである。
その激しい劣等意識の裏返しが他者への差別言動になって表れるのである。
差別主義者の行動の特性は、
自分より優位にあると判断する者に対しては卑屈にひれ伏す。
自分より下位にあると判断する者に対しては尊大、横暴に振る舞う。
差別主義者の根本には常に強い劣等意識があることを見抜いておく必要がある。
その曽野綾子氏に金子みすゞの詩を贈ることを記した。
私と小鳥と鈴と
金子みすゞ
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが
飛べる小鳥は私のやうに、
地面を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のやうに
たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
ブログ記事には含まれなかった後半部分を一部再掲する。
白人と黒人と黄色人種。
みんなちがって、みんないい。
アジアにもいろいろな国がある。
日本、韓国、中国
みんな違ってみんないい。
この視点、考え方、感じ方が大切である。
相手に良いところもあれば悪いところもある。
同じようにこちらにも良いとこがあれば悪いところもある。
全体として、こっちが優れているとか、あっちが劣っているとか、考えるのが間違いのもとなのだ。
自分を大切に扱ってほしければ、相手を大切に扱うことである。
強いと感じる者にはひれ伏して、弱いと見る者に尊大に振る舞う。
これは弱い者が取る行動である。
自分には劣っている点もあるが優れている点もある。
他者も同じ。
そうであれば、誰に対してもひれ伏す必要がないし、誰に対しても尊大に振る舞うことができなくなる
自分が大切にされたいと思うなら、他者を大切にすることである。
安倍首相の行動は、まさに強いものにひれ伏して、弱いと見る相手に尊大に振る舞うものであると感じられる。
「類は友を呼ぶ」わけで、似た匂いを持つ人々が集まる。
安倍氏は国会で正鵠を射た指摘を受けるといきり立つ。
ものごとを客観的に捉えて、冷静に、謙虚に自分を見つめることができないように見える。
この安倍首相が敗戦70年の今年、首相談話を発表するという。
かつて村山首相が敗戦50年に際して談話を発表した。
村山談話には次の表現が盛り込まれた。
「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。
私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。
また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。」
安倍首相は村山首相が明示した
「植民地支配と侵略」
の表現を消去したいのだと推察されている。
ドイツの良心と言われたワイツゼッカー元ドイツ大統領が亡くなった。
ワイツゼッカー氏の大統領任期中、ドイツの敗戦40年にあたる85年5月8日に連邦議会で行った演説が歴史に刻まれている。
「過去に目を閉ざす者は、現在にも盲目となる」
私たちは歴史の事実から目をそらすことなく、歴史と向き合い、その上で、より良い未来を築き上げる努力を注ぐべきなのである。
歴史をまっすぐに見つめることなく、正しい未来の道は開けない。
歴史を直視することを回避するために、「傀儡」の有識者会議を創設して、自己の行動を正当化させる手法は、あまりにも姑息である。
続きは本日の
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