NHKによる預金封鎖特集放映舞台回しの黒幕
NHK=日本偏向協会が2月16日に「預金封鎖」について報道した。
その真意が取り沙汰されている。
一言で表現すれば、2017年4月の消費税再増税実施に向けての財務省企画をNHKが実施したものである。
番組の最終メッセージは次のものだ。
NHKはシンクタンク研究員の口から、財務省=安倍政権のメッセージを発せさせた。
「国として負った借金というのは国民の借金であり、万が一、うまくまわらなくなれば間違いなく、国民にふりかかってくる。
厳しい財政状況を国全体としてきちんと受け止める必要がある」
この発言についてNHKは、
「悪化し続ける国の財政状況に警鐘を鳴らしています」
と補足して伝えたが、第三者風の人物の発言を用いた、単なる政府のプロパガンダ放送に過ぎないと言える。
特集に登場した、現在91歳の大阪市立大学名誉教授の林直道氏の次の言葉が紹介される。
林氏は当時22歳の学生。大阪で母と姉の3人で暮らしていた。
当時、一家の蓄えは3万円あったが、「預金封鎖」で預金を自由に引き出せなくなり、途方に暮れた。
林氏は、手持ちのお金が不足したことで、ただでさえ足りなかった食料がさらに手に入りにくくなり、川の堤防に生えている草をゆがいて、ごく僅かのご飯とともに食べたこともあったと語ったとされた。
特集の最後に、NHKを代表する偏向記者の一人である大越健介氏が次のようにまとめた。
「「預金封鎖」と「財産税」は、今では考えがたい措置で、経済大国となった現代の日本と当時とを安易に重ね合わせるわけにはいきません。
しかし、日本の財政が今、先進国で最悪の水準まで悪化していることを考えると、歴史上の出来事だと片づけてはならない問題だともいえます。
政府は、この夏までに今後5年間の財政健全化計画を策定することにしています。
歴史の教訓を肝に銘じ、同じ過ちを2度と繰り返さないよう現実を直視することが、現代を生きる私たちの責務ではないでしょうか。」
つまり、特集放送の目的は明確なのである。
「預金封鎖」という一般国民に甚大な損害を与える措置が、近未来に実施される可能性があるとの「恐怖」を煽り、消費税大増税を国民に呑ませようとしているのである。
安倍政権が発足して、NHKは完全に政府に私物化されている。
「みなさまのNHK」
というのは大ウソで、
「あべさまのNHK」
というのが実態である。
ピケティの著書がベストセラーになり、安倍政権の経済政策の歪みが一段と際立って見えるようになった。
安倍政権は日本社会における格差が、相対的に大きくはないと強弁しているが、この主張も通用しなくなっている。
財務省に取り入る御用学者は、日本の格差が大きくないとの主張を展開してきたが、これも通用しない。
所得上位10%の所得占有率は、日本で40%を超えている。
米国よりは低いものの、フランスなどよりはるかに高く、いまや日本は世界有数の格差社会に移行してしまっている。
2007年の政府税制調査会報告書は、日本の法人の税および社会保険料負担の国際比較の調査結果を示した。
この報告書は、日本の法人の負担が、
「国際比較上、高いとは言えない」
と結論している。
それにもかかわらず、安倍政権は血眼になって法人税減税を推進し、他方で消費税大増税に突き進んでいる。
要するに、
「官僚と大資本と富裕層の生活が第一」
の政策運営を実行しているのである。
日銀は野放図な量的金融緩和政策を強化しているが、財務省は、最終的にハイパーインフレで政府債務を棒引きすることを目論んでいる。
その意味で、預金封鎖の「脅し」には、一定のリアリティーがあるのだが、それよりも重大な問題は、消費税のさらなる大増税が画策されていることである。
官僚天下りの排除という、
「シロアリ退治」
は少しでも進展したのか。
答えは「皆無」である。
「弱い者は死ね」
と言っているに等しい、安倍政権の弱肉強食推進政策を私たちは糾弾しなければならない。
そして、その片棒を担ぐ日本偏向協会を
NHK=日本偏向協会一刻も早く、解体するべきである。
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第1087号「シロアリ根絶とNHK解体を断行せよ」
でご購読下さい。
『アベノリスク』(講談社)
の動画配信はこちら
著書と合わせてせて是非ご高覧下さい。
2011年10月1日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:525円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。
創刊月2011年10-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。
日本の奈落 (TRI REPORT CY2015)
価格:1,728円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本の真実 安倍政権に危うさを感じる人のための十一章
価格:1,620円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
日本経済撃墜 -恐怖の政策逆噴射- 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
20人の識者がみた「小沢事件」の真実―捜査権力とメディアの共犯関係を問う! 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:日本文芸社 |
オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下 価格:2,100円 通常配送無料 出版社:早川書房 |
アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪 価格:1,575円 通常配送無料 出版社:講談社 |
鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ) 価格:1,470円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く 価格:1,785円 通常配送無料 |
消費税増税 「乱」は終わらない 価格:1,470円 通常配送無料 |
国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る 価格:1,470円 通常配送無料 |
消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す! 価格:1,000円 通常配送無料 |
日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の独立 価格:1,800円 通常配送無料 |
売国者たちの末路 価格:1,680円 通常配送無料 |
知られざる真実―勾留地にて― 価格:1,890円 通常配送無料 |
消費税のカラクリ 価格:756円 通常配送無料 |
戦後史の正体 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 価格:798円 通常配送無料 |
日米同盟の正体~迷走する安全保障 価格:798円 通常配送無料 |
検察崩壊 失われた正義 価格:1,365円 通常配送無料 |
検察の罠 価格:1,575円 通常配送無料 |
「主権者」は誰か――原発事故から考える 価格:525円 通常配送無料 |
原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体 価格:1,680円 通常配送無料 |
« 翁長知事の対応が遅れれば辺野古の混乱は拡大 | トップページ | 大塚家具内紛報じ、政治とカネ報じないNHK »
「消費税大増税=大企業減税」カテゴリの記事
- 日本の光を闇に変えた野田首相(2022.12.26)
- すべてを疑うことから始める(2022.11.29)
- 消費税問題は選挙の道具でなく核心(2020.09.13)
- 不況下大増税強行という世紀の大失策(2020.08.01)
- 深刻化避けられない消費税大増税大不況(2020.02.27)